林望著「日本語は死にかかっている」(NTT出版)は、楽しい会話を聞いているような気分になる本です。ところどころ、林氏の意見見識を、それとなく聞けるような、そんな楽しみ。そのなかに、こんな箇所がありました。
「日本の皇族方は決して大金持ちではなく、その邸宅なども質素なものである。そうして皇室の財産はどちらかというと国有財産に近く、日々の出費などは皇室費という国費で賄われているのだから、そういうありようからして、セレブリティというような範疇には入らない。むしろ日本の皇族は、質素を旨として常に民のことを思う、ということが仕事だといってもいい、世界にも稀なコンセプトの王族なのである。
そういう意味でいうと、日本にはセレブなんてものは存在しない。大金持ちといったって、みんな一代叩き上げの成金家族で、三代目になるともう凋落する、なんてことが普通である。・・・・
ことばというものは、生まれつきでかなりの部分が決まってしまうので、少しの時間ならごまかせるかもしれないが、長い時間話していると、どうしても化けの皮がはがれてしまう。そうなったら、なまじセレブぶって話しているのは、ほんとうに哀しい虚栄の姿に見える。むしろ、ありのまま、飾らずに自分にとってふつうのことばで、淡々と話すというほうが、はるかに上品なのである。」(p119~120)
林氏はよく御存知なのでしょう。「その邸宅なども質素なものである」という感じが伝わります。ところで、こちらでは、1月5日は消防団の出初式。
寒くなければいいのだけれど、丘の上のグランドが会場なので、寒くて風など吹いていると堪りません。整列して祝辞とか挨拶とかを聞くのです。そこには、代読というのがあったりする。本人がこないで、代わりの人が来て読みあげる。それがまた、長かったりします。代読される方が、前置きを話したりするのには、もう笑うしかなかったりするのでした。せめて、聞くに値する内容であれば。と願うわけです。
毎年。元旦の新聞には、天皇陛下のお言葉が掲載されております。代読ならば、これを、朗読してくださるとよい。と私は思うわけです。それが、かなわないのならば、せめて、ここに引用しておきましょう。
ちなみに産経新聞が「天皇陛下 新年を迎えご感想」とあり、
そのご感想(全文)が載っておりました。そこからの引用。
「昨年は、台風の上陸もなく、自然災害による犠牲者の数は、例年に比べれば少なかったのですが、岩手・宮城内陸地震及び岩手県沿岸北部を震源とする地震によって、山間部に大きな被害がもたらされ、人命が失われたことは痛ましいことでした。日本の厳しい自然のもとでは、皆が防災に対する認識を更に深めることが大切であると思います。・・・・・・・・・・・(真ん中省略)・・・・
今年は、私が即位してから満20年、そして私どもが結婚してから満50年にあたりますが、歳月の流れにいろいろと思いを致しております。皇后と共に、これからも、国と国民のために尽くしていきたいと思います。」
天皇陛下のお歌には、
【岩手・宮城内陸地震】
災害に行方不明者の増しゆくを心痛みつつ北秋田に聞く
というのが、印象に残りました。
「日本の皇族方は決して大金持ちではなく、その邸宅なども質素なものである。そうして皇室の財産はどちらかというと国有財産に近く、日々の出費などは皇室費という国費で賄われているのだから、そういうありようからして、セレブリティというような範疇には入らない。むしろ日本の皇族は、質素を旨として常に民のことを思う、ということが仕事だといってもいい、世界にも稀なコンセプトの王族なのである。
そういう意味でいうと、日本にはセレブなんてものは存在しない。大金持ちといったって、みんな一代叩き上げの成金家族で、三代目になるともう凋落する、なんてことが普通である。・・・・
ことばというものは、生まれつきでかなりの部分が決まってしまうので、少しの時間ならごまかせるかもしれないが、長い時間話していると、どうしても化けの皮がはがれてしまう。そうなったら、なまじセレブぶって話しているのは、ほんとうに哀しい虚栄の姿に見える。むしろ、ありのまま、飾らずに自分にとってふつうのことばで、淡々と話すというほうが、はるかに上品なのである。」(p119~120)
林氏はよく御存知なのでしょう。「その邸宅なども質素なものである」という感じが伝わります。ところで、こちらでは、1月5日は消防団の出初式。
寒くなければいいのだけれど、丘の上のグランドが会場なので、寒くて風など吹いていると堪りません。整列して祝辞とか挨拶とかを聞くのです。そこには、代読というのがあったりする。本人がこないで、代わりの人が来て読みあげる。それがまた、長かったりします。代読される方が、前置きを話したりするのには、もう笑うしかなかったりするのでした。せめて、聞くに値する内容であれば。と願うわけです。
毎年。元旦の新聞には、天皇陛下のお言葉が掲載されております。代読ならば、これを、朗読してくださるとよい。と私は思うわけです。それが、かなわないのならば、せめて、ここに引用しておきましょう。
ちなみに産経新聞が「天皇陛下 新年を迎えご感想」とあり、
そのご感想(全文)が載っておりました。そこからの引用。
「昨年は、台風の上陸もなく、自然災害による犠牲者の数は、例年に比べれば少なかったのですが、岩手・宮城内陸地震及び岩手県沿岸北部を震源とする地震によって、山間部に大きな被害がもたらされ、人命が失われたことは痛ましいことでした。日本の厳しい自然のもとでは、皆が防災に対する認識を更に深めることが大切であると思います。・・・・・・・・・・・(真ん中省略)・・・・
今年は、私が即位してから満20年、そして私どもが結婚してから満50年にあたりますが、歳月の流れにいろいろと思いを致しております。皇后と共に、これからも、国と国民のために尽くしていきたいと思います。」
天皇陛下のお歌には、
【岩手・宮城内陸地震】
災害に行方不明者の増しゆくを心痛みつつ北秋田に聞く
というのが、印象に残りました。