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和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

橙(だいだい)。

2009-01-16 | Weblog
1月は、日の出も鮮やかで、夕日もまた、我を忘れて見入るほどにきれいです。
青空の一日。夕方4時45分ごろから、5時にかけて、夕日が、
山並みというか、丘並みにしずむ頃。青空の下、まるで、鏡餅の上の蜜柑のような色がひろがります。
ちょうど、家の前が直線の道で、家を出ると、道路の左側に夕日が落ち始めます。道路の右側から通る車は、フロントガラスが橙色に染まりながら、まぶしそうに運転してゆきます。この時期は、ちょうど道路の正面に日が落ちるので運転はしにくいばかり。車だけでなく家々も橙の色で、二階の窓も、染まっています。

そういえば、中原中也に

    やがても蜜柑の如き夕陽、
    欄干(らんかん)にこぼれたり。

という2行がありました。北村太郎著「うたの言葉」(小沢書店)は日経新聞に連載されたコラムの集成です。そのはじまりは「しづか」と題して、元日の夕べをとりあげておりました。
「一年三百六十五日のうちで、世間がいちばん静かなのは、元日、それも夕方から夜にかけての時刻だろう。・・・・折口信夫に、山で迎えた新年の歌がある。

 道を来て、しづかなりけり。元日の夕づく日かげ広くさしつつ

 正月の山に しづるる雪のおと――。かそかなりけり。ゆふべに聴けば

『しづるる』は、滴り落ちる意で、いまは使われていないが、いい言葉だ。しずか、しずる、しずくのシズ、すべて語源は同根らしいのがおもしろい。沈むのシズも同じである。」 

そういえば、平成15年歌会始の題は「町」で、
その時の美智子皇后さまのお歌は、

 ひと時の幸(さち)分かつがに人びとの佇むゆふべ町に花降る

「たたずむゆふべ町に花降る」というのは、
そのままに、花が降っているというよりは、
何かしら、橙色が降り染まっている様子じゃないかと思ってみるのでした。
ということを思い出しながら、1月15日に産経新聞に掲載された歌会始の
皇后さまの歌を見ておりました。


 生命(いのち)あるもののかなしさ早春の光のなかに揺り蚊(ユスリカ)の舞ふ

お題は「生」でした。


   
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