産経歌壇1月18日は、伊藤一彦・小島ゆかりの二人の選者が最初に選んでいた歌。
老いてなお忘れぬものに幼な日の貰い湯帰りの澄みし星空 神戸市 藤原 勇
苛々のつのる師走の真夜中に凍れる月をじつとみてをり 堺市 鈴木 武雄
今日の産経新聞一面には、古森義久氏の文が載っておりました。
そこを少し引用してみたくなります。
「20日午前11時半からの就任式をみるために当局の事前の指示に沿い、午前8時前に連邦議会議事堂前の会場に入ると、限定区域の座席はもう大方が埋まっていた。後方のモールと呼ばれる広い散策路に延びる自由区域にも、大観衆が集まっていた。氷点下7度の切るような寒気の中、未明からみなオバマ大統領の誕生を待ち受けたのだ。そうした熱心な参加者たちはどの方向をみても、アフリカ系米人とも呼ばれる黒人の老若男女が多数派を占めていた。議会堂のバルコニーからそう遠くない記者(古森)の席も、周囲はみな黒人だった。ミシガン州からきたという中年の夫婦は・・・『自分たちの生涯で黒人大統領をみる機会はないと思っていたのに夢が実現しました。その就任の光景を絶対にみたいと思い、なにがなんでもと、やってきました』 すぐ後ろはニューヨーク州在住の黒人一家だといい、車イスの高齢女性を含む7人ほどが、これまた興奮した様子でオバマ夫婦を礼賛していた。式の終了後、パレードの沿道を3時間以上も歩いたが、観衆は黒人が明らかに半数以上を占めているようにみえた。しかもだれもが喜ばしげ、誇らしげなのである。」
ここには、実際の現場にいる記者の様子が、リアルです。
日本にいながら、大統領の演説の言葉をなぞっている方々とは、
明らかに違った視点を提供してくれており、読み甲斐があるという手ごたえがあります。
さて、古森義久氏の後半を引用しましょう。就任演説の内容に触れてゆきます。
「・・オバマ大統領が米国民全体の12%しか占めない黒人の地位向上の象徴だけに甘んじることができないのも自明である。・・その進路について新大統領は多数の『挑戦』や『危機』を列記して、もっぱら対応の難しさを強調することで一般の期待のレベルを引き下げようとするかにみえた。解決策については『責任の新時代』とか『平和の新時代』という標語での抽象的な構えをみせるにとどめ、具体策は示さない。・・オバマ氏のこれまでの主要演説にくらべてずっと平板であり、聞く側を刺激し、鼓舞する内容のようには響かなかった。米国が内外で直面する現状はそれほどに厳しく、その米国を動かすオバマ大統領の立脚点も、もはや『変革』と『希望』を語ることだけではまったく対処できない真剣の実務の世界に入ったということであろう。」
何か日本の大統領就任演説の新聞記事とは、ギャップがある、現場報告になっております。
現場といえば、思い出すのは、『年越し派遣村』でした。
週一回産経新聞に連載されている『花田紀凱(かずよし)の週刊誌ウォッチング』を思いうかべました。1月10日に「朝日新聞がさかんに書き立てているからというわけでもないが、あの『年越し派遣村』というやつ、どうも腑におちない。」とあり、1月17日には「今週は各誌、派遣村レポートが出揃った。『週刊文春』(1月22日号)「『年越し派遣村』でハシャグ政治家、大マスコミのイヤ~な感じ」・・『文春』によると【約五百人の村民と約千七百人のボランティアが集まった】が、村の内実は報道とは少し違っていて【村民全体のうち「派遣切り」の被害者は約21%に過ぎず、日雇い派遣の失業者が約16%、非派遣の失業者が約20%、ホームレスも約9%含まれていた】」。
テレビや朝日新聞の情報を鵜呑みにすると、馬鹿を見ることになりかねない。
情報選択を常に試されているようであります。
それにしても、この冬空の下、現場感覚を持たない言葉ほど、恐いものはありませんね。
老いてなお忘れぬものに幼な日の貰い湯帰りの澄みし星空 神戸市 藤原 勇
苛々のつのる師走の真夜中に凍れる月をじつとみてをり 堺市 鈴木 武雄
今日の産経新聞一面には、古森義久氏の文が載っておりました。
そこを少し引用してみたくなります。
「20日午前11時半からの就任式をみるために当局の事前の指示に沿い、午前8時前に連邦議会議事堂前の会場に入ると、限定区域の座席はもう大方が埋まっていた。後方のモールと呼ばれる広い散策路に延びる自由区域にも、大観衆が集まっていた。氷点下7度の切るような寒気の中、未明からみなオバマ大統領の誕生を待ち受けたのだ。そうした熱心な参加者たちはどの方向をみても、アフリカ系米人とも呼ばれる黒人の老若男女が多数派を占めていた。議会堂のバルコニーからそう遠くない記者(古森)の席も、周囲はみな黒人だった。ミシガン州からきたという中年の夫婦は・・・『自分たちの生涯で黒人大統領をみる機会はないと思っていたのに夢が実現しました。その就任の光景を絶対にみたいと思い、なにがなんでもと、やってきました』 すぐ後ろはニューヨーク州在住の黒人一家だといい、車イスの高齢女性を含む7人ほどが、これまた興奮した様子でオバマ夫婦を礼賛していた。式の終了後、パレードの沿道を3時間以上も歩いたが、観衆は黒人が明らかに半数以上を占めているようにみえた。しかもだれもが喜ばしげ、誇らしげなのである。」
ここには、実際の現場にいる記者の様子が、リアルです。
日本にいながら、大統領の演説の言葉をなぞっている方々とは、
明らかに違った視点を提供してくれており、読み甲斐があるという手ごたえがあります。
さて、古森義久氏の後半を引用しましょう。就任演説の内容に触れてゆきます。
「・・オバマ大統領が米国民全体の12%しか占めない黒人の地位向上の象徴だけに甘んじることができないのも自明である。・・その進路について新大統領は多数の『挑戦』や『危機』を列記して、もっぱら対応の難しさを強調することで一般の期待のレベルを引き下げようとするかにみえた。解決策については『責任の新時代』とか『平和の新時代』という標語での抽象的な構えをみせるにとどめ、具体策は示さない。・・オバマ氏のこれまでの主要演説にくらべてずっと平板であり、聞く側を刺激し、鼓舞する内容のようには響かなかった。米国が内外で直面する現状はそれほどに厳しく、その米国を動かすオバマ大統領の立脚点も、もはや『変革』と『希望』を語ることだけではまったく対処できない真剣の実務の世界に入ったということであろう。」
何か日本の大統領就任演説の新聞記事とは、ギャップがある、現場報告になっております。
現場といえば、思い出すのは、『年越し派遣村』でした。
週一回産経新聞に連載されている『花田紀凱(かずよし)の週刊誌ウォッチング』を思いうかべました。1月10日に「朝日新聞がさかんに書き立てているからというわけでもないが、あの『年越し派遣村』というやつ、どうも腑におちない。」とあり、1月17日には「今週は各誌、派遣村レポートが出揃った。『週刊文春』(1月22日号)「『年越し派遣村』でハシャグ政治家、大マスコミのイヤ~な感じ」・・『文春』によると【約五百人の村民と約千七百人のボランティアが集まった】が、村の内実は報道とは少し違っていて【村民全体のうち「派遣切り」の被害者は約21%に過ぎず、日雇い派遣の失業者が約16%、非派遣の失業者が約20%、ホームレスも約9%含まれていた】」。
テレビや朝日新聞の情報を鵜呑みにすると、馬鹿を見ることになりかねない。
情報選択を常に試されているようであります。
それにしても、この冬空の下、現場感覚を持たない言葉ほど、恐いものはありませんね。