和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

大本営と餃子。

2009-01-26 | Weblog
1月25日の新聞一面に「中国製ギョーザ」とあります。
産経新聞を引用してみましょう。
「昨年1月に発覚した中国製冷凍ギョーザによる中毒事件後、製造元の国有企業『天洋食品』(河北省石家荘市)が売れ残った大量のギョーザを、地元政府の斡旋で同省内の鉄鋼工場に横流しし、新たな中毒事件を引き起こしていたことが24日までに分かった。『中国国内での毒物混入はない』と断定した中国当局の発表を信用したためで、同省関係者もギョーザを食べた従業員も危険性について認識していなかったようだ。」(北京=矢板明夫)
一面の記事の最後には、こうありました。
「鉄鋼工場で起きた新たな中毒事件について、中国当局は昨年夏ごろにはすでに把握し、外交ルートを通じて日本に伝えた。しかし、中国国内では、その事実は伏せられ、まったく報道されておらず、工場周辺では、いまだに『日本人犯人説』が独り歩きしているのが現状だ。」

あれ、これはどこかで聞いた覚えがあるなあ。
と思ったのでした。たとえば、鼎談での鶴見俊輔氏の言葉を思い浮かべました。

太平洋戦争の時代のことです。
「・・ドイツ語の通訳。ドイツと日本はつながってますからね。・・・潜水艦基地がジャカルタにあって、そこへ海軍武官府といって、海軍の小さいステーションがあったんです。陸軍基地の中の海軍のステーションですね。・・そこで勤務したんです。そしたら、海軍は作戦の必要があって、ステーションの長が、『敵の読むのと同じ新聞を作ってくれ』といったんです。そうでないと困るんですね。『大本営発表』でやったら、撃沈したっていわれる船が向こうから出てくるんだから。それで私は、毎日、新聞を作ったんです。夜中を過ぎると短波(ラジオ)で、ロンドンとアメリカ、インド、中国、オーストラリアの放送を聞いて、メモを取るんです。重複するところを除いて、朝、一日の新聞を書くんです。・・・私の両側にタイピストがつくんです。それで、すぐにタイプにして、昼までにその日の新聞ができるんです。毎日新聞を作った。・・一生で、あんなに働いたことはない。私の作った新聞だけで、こんなにあるでしょう。昼飯に降りてくると、手がブルブル震えたね。・・・」

これは「同時代に生きる」(岩波書店)の鼎談。
p51にあります。ここから、話は母親のことに言及したりと面白くなるのですが、それはそれとして、ここにあの『大本営発表』が登場している。
『大本営発表』と『中国当局の発表』。
二つの共通点と相違点というのは、興味深いテーマ。

ところで、こういうのは、建前と本音ということで、
いつでも、どこにでもあることなのだとしたらならば。
それじゃ、政府の建前を翻訳するのに、天下りの方を必要としたりするかもしれない。
そうすると、天下りを廃止すると、政府発表を真に受けるという、誤解が生じるかもしれない、そのロスを計算に入れての天下り廃止じゃないと、おかしなことになるんじゃないか。などと変に心配になったりします。

コメント
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