和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

雑誌の知恵。

2009-01-13 | Weblog
Voice2月号。
スラスラと読めて、ああそういうことか、と納得できる特集です。
いろいろな顔ぶれがいるのですが、私が読んだのは、

養老孟司・渡辺昇一対談「WASP精神は地に堕ちた!」
日下公人「『もののあはれ』と新製品」
野村克也・二宮清純対談「ID監督論」
李登輝「『学問のすすめ』と日本の伝統」

と、わかりやすそうなものばかり。
まずは、養老・渡部対談より。

【渡部】 いま、金融危機も大きな問題ですが、そもそも何がおかしかったかといえば、1971年にニクソン・ショックが起き、アメリカが金本位制を守れなくなったことではないでしょうか。戦後30年近く続いた金本位制が崩壊して、ペーパーマネーが『基準』になった。そうなれば、基本が紙なんですからやがては『刷ればいい』ということになって、どうやっても極端まで行ってしまう。日本でも江戸時代に各藩で小判が足りなくなると藩札を刷ったものですが、それがいまでは世界的な藩札制度になってしまった(笑)。

   う~ん。さりげなくも、
   日本の例を持ち出すところが、うまいですね。
   これを、うけて養老さんが語ります。

【養老】ニクソン・ショックは、やはり戦後世界史の大転換です。そのあとドルが、世界の基軸通貨になって世界中に回るようになりましたが、世界中で流通している膨大なドルがもしアメリカ国内に還流したら、どうなるか。アメリカとしてはそれに見合うサービスと物を国外に提供しなければなりませんが、そんなことはできるはずがない。
ただでさえ赤字続きのアメリカを下支えしていたのが、日本であり、アジアの新興国でした。しかし皆、いずれ紙切れになるということは知っているわけです。あとは、それがいつかということが問題です。今度の金融危機はその走りでしょう。・・・

   ちなみに、対談の題名にある
   WASPとは、何かも説明しております。
「元来アメリカの文化はWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)で、聖書を厳格に重んじるピューリタンたちです・・・」
   さて、渡部氏は続けます。

【渡部】・・やはりアメリカは、金本位制を捨ててから無責任感が出てきました。それからもう一つ大きかったのは、日本の儲けたお金をスッとアメリカの懐に還流させる仕組みをつくったこと。あれから彼らは悪いことを考えはじめましたね。ここ十年ほどで、サブプライムをはじめ、訳がわからないものを膨れさせた。それ以前はまだ、われわれにもわかる経済でした。ところが金融工学などという訳のわからないものが出てきた。『どうもわからない、いったい何だ』と見ていたら、要するにインチキだったわけです(笑)。


それでは日下氏の文章を次に引用してみましょう。アメリカを取り上げた箇所(p66)

「アメリカのやっていることがインチキであり、アメリカが信用できない国家であることは、日本もようやくわかってきた。正体がわかれば、それにふさわしい対応もできる。日本経済が生き血を吸われることは、これからはかなり減る。一方、さんざん生き血を吸ってきたアメリカ経済は、もう戻りようがない。新たな血を吸う相手が必要で、これは中国しかない。ブッシュ大統領やオバマ次期大統領が、北京を重視する理由もそこになる。ただし中国は、日本のようにお人好しではない。今後、米中関係は面白い展開を見せるだろう。米中接近は日本にとって望ましくないといわれるが、むしろ逆である。これは、さそりと蛇が噛み合うようなもので、日本は仲裁するふりをして、何ならもっとけしかけてもよい。」


なんとも、テレビの討論番組では、聞けない話ばかりなり。
コメント
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