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和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

昼寝人。

2011-08-22 | 詩歌
しまいこんで読まずにあった文庫本。
といいましょうか。寝かせてあった文庫が、ちょうど読み頃となっておりました。
朝日文庫の「中村草田男集」(現代俳句の世界6)を、この涼しくなった日頃に読んでおりました。

 五十年そのまま窓中昼寝人  草田男   p199


そういえば、司馬遼太郎は「草田男は明治34年の生まれでしたか、松山の人であります。大学生であることを30歳ぐらいまで続けていた暢気な人でして・・・」(p163「『昭和』という国家」・NHK出版)と語っております。

草田男というと夏。今回
読みながら思い浮かんだのは
「心頭滅却すれば火もまた涼し」という言葉。

草田男と『涼しい』というテーマ。
たとえば、「川崎製鋼所にて」と書いてある句

  極まればすずし鉄の湯流れ次(つ)ぐ  (銀河依然)

最初期の句には、「仁和寺にて」とある

 ふと涼ししきゐを越ゆる仁王門    (長子)

こんなのもあります。

 車窓金星一途なるものすずしけれ   (銀河依然)

 をみな等も涼しきときは遠(をち)を見る  (銀河依然)


句集「母郷行」に、チンドン屋と「すずむ」が並んでいました。

 白塗り十指そよがしチンドン屋すずむ

 チンドン屋と半学者なる詩人すずむ

 チンドン屋すずむ半男半女(はんなんはんにょ)姿

 チンドン屋緑蔭に吐息紅脚絆
 
 チンドン屋すずむヒタと世寂(しづ)かになし

 汗が糸ひく紅を血と拭きチンドン屋
 
 チンドン屋前後の荷解き緑蔭へ

 単身のチンドン屋の音ほそく涼し


ということで、草田男の「涼し」は、読み甲斐あり。

 いつもすずし末子(ばつし)二寸の下駄の音  (美田)


うん。今日はこのくらいで。あと一句。


 気は若からず心が若し夏の月    (美田)


この頃、曇り空で
いつも見ていた月が、
見れないさびしさ。

 

コメント
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