和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

災中。

2011-08-14 | 短文紹介
中公新書ラクレの新刊。
竹内政明著「読売新聞朝刊一面コラム『編集手帳』第二十集」が出ました。
たとえば、読売新聞報道写真集「東日本大震災」に、3月12日から3月31日までの「編集手帳」がまとめて掲載されていたのを思い出します。
さて今度の新書は1月1日から6月30日までが載せられており、私は大震災のところから読み始めました。
そこから引用してみます。

3月29日
「原発危機が終息に向かうかどうかは予断を許さず、1万人を越す不明者の安否も分かっていない。厳密には『災後』の手前、『災中』にある。」

「福島原子力発電所事故対策統合本部」を取り上げた箇所があります。

4月7日
「・・政府と東京電力が全情報を共有して事態に対処する、との触れ込みで震災4日後に発足している。放射能の汚染水を東京電力が海に放出することを農林水産省は事前に知らなかった。当然ながら、漁業関係者には伝わらない。外務省も知らなかったのか、通告なしの放出に憤る韓国政府から抗議を受けた。
政府の各府省と東電が、目と、耳と、口と、脳みそとを、ひとつ場所に持ち寄ってこその『対策総合本部』のはずである。・・・現場作業のような被爆の危険にさらされているわけではない。大事な局面で、やれ『聞いていない』だの、『寝耳に水』だのと内輪でもめる司令基地ならば存在しないのと一緒だろう。・・」

5月18日
「・・そういえば、政府と東京電力が一体となって原発事故にあたる『対策総合本部』の設置(3月15日)よりも、蓮ホウ行政刷新相に節電啓発担当相を兼務させる人事(3月13日)のほうが先というのも、ピントがぼけていた。拍手がもらえそうならば無理にでも『出る幕』をつくってしまう興行師のような最高指揮官では困る。・・・」

最後に5月27日「編集手帳」の始まりの箇所。

「結婚披露宴では来賓も緊張するらしい。ある披露宴で実際に述べられた祝辞より。『新郎新婦のお二人が幸せな家庭を築いていかれることを、私は疑って信じません』固く信じ合い、隠し事をすることなく、手を携えて苦難を乗り越えていく――『統合対策室』を設けて原発事故にあたる政府と東京電力も新郎新婦の関係に似ていなくもない。世間から何かスピーチを贈るとすれば、『あなたがたの発表を、私たちは疑って信じません』・・・」
コメント
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