和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

古本の虫干し。

2013-06-02 | 本棚並べ
雑誌「WILL」7月号に
坂崎重盛・岡崎武志対談「粋人はどこへ消えたのか」が掲載されていて、司会の花田紀凱も加わって、新刊の坂崎重盛著「粋人粋筆探訪」(芸術新聞社)を楽しく語っております。
それが、あんまり楽しそうなので、購入することに。

新刊をパラパラとめくると、あれれ、安藤鶴夫著「落語鑑賞」もきちんと紹介されてる。
そこには、こうあります。

「苦楽社版『落語鑑賞』の刊行は昭和24年だから、敗戦後間もない。物資不足の時代に、よくぞ、こんな贅沢な仕事をしてくれました!自慢ですが、実は、この苦楽社版のかなり保存状態のいい『落語鑑賞』を持っているのです。・・・・この本を入手できたときは、心から(ああ、生きていて本当によかったなあ)と、感じたものでした。」(p110~111)

その装丁画も、ちゃんとありました。
その下に「これぞ『苦楽』の連載が単行本として刊行された安藤鶴夫『落語鑑賞』のカバー。この『落語鑑賞』は後に何度も他社から復刊されるが、この最初の苦楽社版が木村荘八の装丁画によって最高の造本。本文表紙から見返し、扉、後見返し、裏表紙が、寄席の入口から下足、中の様子、楽屋出口という流れで描かれている。木村荘八のなんともうれしい企みだ。」(p109)

ああ、そうなのか、最近古本で購入した苦楽社の「落語鑑賞」には、もとはカバーがついていたのだ。そうだったんだ。まあ、私が買ったのは安い値段なのでしかたない(私が買ったのは、おまけに静岡管理部・移動図書の印つき)。カバーがついていたと、新刊で教えられるとは思いもしなかったのでした。


「粋人粋筆探訪」の「まえがき」は
ついつい引用したくなります。

「・・・万年床をぐるっと囲むように立つ本棚を見やると、高校生のころに手に入れた本や、オトナになってから少々懐に痛い思いをさせて獲得した本の背文字を認めることができる。それらをボーッと眺めていると、本そのものは昔の姿のままに本棚に納まっているのに、それを買い求めたその店は、とっくになくなってしまっているということも珍しくない、ということに気づく。思えば、本は火にも水にも弱い、紙でできているのに意外と長寿で、それを所有する本人よりも何倍も長生きしたりする。
ぼくも、地を這う蟻のように、せっせと自分の部屋に運び込んだ愛しの雑本類を残したまま、早晩、この世を去るだろう。しかも、ご多聞にもれず(?)集まってしまった本のほとんどは、きちんと読んでないし、ザッと目を通したとしても、その内容は、われながら面白いくらいに忘れている。
そんな古本買いや雑本遊びをしていると、いつともなく本の群れが生じ、やがて、あるテーマが浮かび上がってくる。本たちが示し合わせて、ぼくに囁きかけるのだ。・・・」


今日は午後から晴天。なにやら古本の虫干しをしているような気分になりました。


追記  古本購入
    太田書店(静岡市葵区)
    苦楽社「落語鑑賞」
    2625円+送料300=2925円なり

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする