トランスビュー発行の、鷲尾賢也著
「編集とはどのような仕事なのか」を
今年読めてよかった(笑)。
ということで、そこから少し引用。
その姿が浮かんでくるような個所。
「長期連載ではなんといっても、
安岡章太郎『僕の昭和史』であろう。・・
カンヅメになっていただくこともあった。・・
調子にのると、安岡さんはおかしな格好になる。
相撲の蹲踞(そんきょ)のように腰を浮かせて
書くのである。そうなったらしめたもので脱稿も
間近い。催促をかねた電話なのだが、ついつい
長島野球のことなど長ばなしすることが多かった。
一時間ぐらい平気でやっていた。・・・」
そうそう。向井敏氏も登場しておりました。
そこも引用しておきます。
「本といえば谷沢永一さんの書庫もすごかった。
戦前の雑誌など、見たこともないものが膨大に
並べられていた。結局、谷沢さんとは一冊も
仕事をしなかった。その代わりというのもおかしな
はなしだが、谷沢さんと学生時代からの友人で
ある向井敏さんとは長く仕事をさせていただいた。
おそらく谷沢さんのご紹介だったと思う。電通に
在籍していたか辞めた直後かはっきりしないが、
すぐさまPR誌『本』の連載エッセイをお願いした。
お目にかかったとたん、本読みのプロであることは
よく分かった。時代小説からミステリー、海外小説
まで、古典から歴史までその読む幅がひろく、
よい・悪いという嗅覚は非常に鋭かった。・・・
ただ困ったのは、声がとても小さかったことだ。
電話は苦労した。また筆圧がよわいため、
鉛筆での原稿がFAXでは読みとれないという
ことがままあった。原稿はあまり早くなかった。
というより遅かった。そういう人に書き下ろしで
新書を書いてもらったのだから、あきれられて
当然である。よくパーティで向井さんから、
あの頃の苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)は
すごかったよと、なつかしくいわれるのは
なんとも面はゆかった。その向井さんも突然、
鬼籍に入ってしまわれた。」
うん。こういう本は
通読すると、つい見過ごしやすい個所が満杯。
時にパラリとひらく方が、味読できそうな
気がしてきます。ということで本棚へ。
そのまま、埃をかぶらずに、
また、来年もひらきますように(笑)。
「編集とはどのような仕事なのか」を
今年読めてよかった(笑)。
ということで、そこから少し引用。
その姿が浮かんでくるような個所。
「長期連載ではなんといっても、
安岡章太郎『僕の昭和史』であろう。・・
カンヅメになっていただくこともあった。・・
調子にのると、安岡さんはおかしな格好になる。
相撲の蹲踞(そんきょ)のように腰を浮かせて
書くのである。そうなったらしめたもので脱稿も
間近い。催促をかねた電話なのだが、ついつい
長島野球のことなど長ばなしすることが多かった。
一時間ぐらい平気でやっていた。・・・」
そうそう。向井敏氏も登場しておりました。
そこも引用しておきます。
「本といえば谷沢永一さんの書庫もすごかった。
戦前の雑誌など、見たこともないものが膨大に
並べられていた。結局、谷沢さんとは一冊も
仕事をしなかった。その代わりというのもおかしな
はなしだが、谷沢さんと学生時代からの友人で
ある向井敏さんとは長く仕事をさせていただいた。
おそらく谷沢さんのご紹介だったと思う。電通に
在籍していたか辞めた直後かはっきりしないが、
すぐさまPR誌『本』の連載エッセイをお願いした。
お目にかかったとたん、本読みのプロであることは
よく分かった。時代小説からミステリー、海外小説
まで、古典から歴史までその読む幅がひろく、
よい・悪いという嗅覚は非常に鋭かった。・・・
ただ困ったのは、声がとても小さかったことだ。
電話は苦労した。また筆圧がよわいため、
鉛筆での原稿がFAXでは読みとれないという
ことがままあった。原稿はあまり早くなかった。
というより遅かった。そういう人に書き下ろしで
新書を書いてもらったのだから、あきれられて
当然である。よくパーティで向井さんから、
あの頃の苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)は
すごかったよと、なつかしくいわれるのは
なんとも面はゆかった。その向井さんも突然、
鬼籍に入ってしまわれた。」
うん。こういう本は
通読すると、つい見過ごしやすい個所が満杯。
時にパラリとひらく方が、味読できそうな
気がしてきます。ということで本棚へ。
そのまま、埃をかぶらずに、
また、来年もひらきますように(笑)。