和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

藤原正彦新刊新書。

2015-01-22 | 短文紹介
週刊誌はめったに買わない。
そのためか、気になる連載があると
惹かれます(笑)。
週刊新潮1月22日号に藤原正彦氏の
連載「管見妄語」があり、第281回の
題名は「間違い探しの迷い道」。

こうはじまります。
「小保方晴子さん発見のSTAP細胞は
理研により完全に否定された。疑わしい
点は論文のあちこちにあったらしいが、
最大の理由は再現性がなかったということだ。」

こうして、再現確認の手続きの例として
山中伸弥教授。数学者の高木貞治。
そしてご自身のことにまで及びます。
それが簡潔に充実してまとめられております
(うん。この真中へんが読みどころ)。

さて、コラムの最後はというと

「研究者、特に若手のさらされている激しい
ストレスは同情に余りある。例えば理研研究員
の何と八十八%は任期付きだ。不安定な身分や
激烈な研究費獲得競争がこのまま続けば若手は
年月のかかる大きなテーマに取組まなくなる。
そもそも前途有望な少年少女がかくも苛酷な
境遇の研究者を志さなくなるだろう。」

このコラムが印象に残ります。
さて、月刊雑誌「新潮45」2月号。
特集の最初に、藤原正彦氏の文がある。
7頁の文。その前半が素敵でした。
そこに
「教養とは何か、
その根本を考えてみると、私は、
自分を変えずに、あるがままの
自分を完成するための手助け
みたいなものだと思います。
つまり、生まれた時から持っている
その人の個性というものを生かしたまま、
人格を段々と完成していくために必要な
ものです。」(p21)
とある。

同じページに
「教養についてのより詳しい話は、
いずれ稿を改めて、一冊の新書に
まとめるつもりです。」
とある。どうやら、
新書を一冊書き上げているらしい。

うん。雑誌の文を読んでいると、
新書一冊にまとめるための、
知的溶鉱炉の熱が持続され、
その熱気が伝わってくるような。
そんな明快な文となっていて、
読みどころとなっております(笑)。

私は何を言ってるのだろう。きっと、
明快な文章に酔ったのかもしれない。
もっとも、後半はいただけない。
ただ、筆がすべっているようで、
私は前半のすばらしさを買います。
コメント
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