和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

小説も悪くない。

2015-01-25 | 短文紹介
注文してあった新刊新書が届く。
「中学生からの大学講義1」とあります。
「何のために『学ぶ』のか」。
桐光学園+ちくまプリマー新書編集部・編。

7名の文が並び、
各人が最後に「若い人たちへの読書案内」を
何冊か推薦しておりました。

私が購入したのは、
最初の文が、外山滋比古氏だったから。
その外山氏の推薦本は3冊。

 寺田寅彦随筆集
 夏目漱石「坊っちゃん」
 内田百随筆

うん。ここには、
漱石の「坊っちゃん」の推薦の言葉全文。

「どういうわけか私は小説があまり好きでない。
せっせと読んだ時期もあったが、心にしみる
という作品がない。作り話にどれだけの価値が
あるか、といった不遜なことを考えたりした。
そんなとき、たまたま読んだ漱石の『坊っちゃん』
に心をうばわれた。こんなおもしろいのが小説
なら小説も悪くない。明るいのがいい。
ざっくばらんな文章が魅力である。
恵まれているとは言えなかった漱石の生い立ちを
こういう明朗な世界にするのは、やはり
文学の力だろうと考えた。実は、私自身、
あまり幸福でない幼少の時代をすごしていた
のにひびき合うものがあったのかもしれない。
後年になってから気付いたことだが、
生きる力がおとろえているときに
『坊っちゃん』を読むと、おのずから
心が明るくなり、元気が出る。」
(p37~38)

うん。私はここだけで満足(笑)。
コメント
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