和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

主人(うち)と他所。

2015-01-15 | 短文紹介
清水きん著「夫山本周五郎」(福武文庫)では、
語りをおこしたものだからでしょうか
主人と書いて、(うち)と読ませております。

ということで、一箇所引用。

「『・・・あの着物は、ここへ来るまえに、
かあさんが汗水たらしてこしらえたものだ。
それをみんな質草にさせてしまったのは
ぼくがわるかった』。『いいの。わたくし、
着物になんの未練はないのよ』とだけ
答えるほかありませんでした。食べるのに
困ったから、など弁解がましく言ったりすると、
主人は自分の怠けぶりをアテつけられたのじゃ
ないかと思ってまたおこりだす性分でしたから。
ひと言答えるにも、そういうふうに考えて
返事しなくちゃいけない。それとも知らん顔を
したほうがいいのだろうか、いつもちょっと
考えてしまうのです。扱うコツを心得てしまえば
そんなにむずかしい人ではありませんでしたが、
そこがのみこめるまではやはり並み大抵では
ありませんでした。しかし、こういうことは
うちばかりのことではないでしょうし、
他所(よそ)さまのお宅でも多少なりと
あることなんじゃないかと思います。」(p55)


神社の狛犬ならば、
あ・うんの呼吸とでもいうのでしょうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする