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和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

老骨の使命。

2015-02-18 | 前書・後書。
伊藤正雄著「文章のすすめ」(春秋社)
その前・後篇の2冊セットで
古本400円。

「文章のすすめ」なんて、
いかにも、どこにでもありそうな題名で、
最初は、買うのを躊躇したのですが(笑)。
よく見ると、著者・伊藤正雄とある。

伊藤正雄といえば、
「忘れ得ぬ国文学者たち」(右文書院)の
著者じゃないか。と注文。


ふるほん上海ラヂオ(京都市北区衣笠)
他にも、こまごまと合計で2000円買ったので
送料がサービスとなりました(笑)。

伊藤正雄著「文章のすすめ」の
すっきりとした「はしがき」には


「私は常に、

『文章とは、
だれでも言える言葉で、
だれもが言えぬ事を、
だれにも納得ゆくように
書くべきものだ』

と信じている。
本書はそうした信念から、
できるだけ自己の体験を土台にして、
率直な意見を、特に若い読者に聞いて
もらうつもりで筆を執った。文例も、
自作の文を挙げた場合が多い。
よかれあしかれ、著者個人の体臭が
フンダンに発散しているのが、
類書と一味違うところである。

本書は、福沢諭吉の言説を引いた
ところが随所にある。福沢は、
明治の思想家として抜群だった
のみならず、その平明達意の名文は、
彼の啓蒙主義的文章観と相俟って、
今日にも多大の示唆を与えるものがある。
いわば本書は、福沢流の実学的文章論の
現代版を目ざしたものとも言えよう。
題名『文章のすすめ』も、福沢の
『学問のすすめ』に倣ったこというまでもない。」

うん。この古本を得て、うれしい。

そういえば、
読了したばかりの原田種成著「漢字の常識」も
先生で、今回の伊藤正雄氏も先生。
ということで、
「はしがき」の最後も引用しておきます。

「不文不才、取るに足らぬ一教師ながら、
五十年に亙る教壇と文筆との経験は、
幾ばくかの年輪を私の人生に加えた。
学生の文章をはじめ、新聞・雑誌・著書・
テレビ・ラジオなどを通して得た所感と、
自らの体験との集積が本書である。
多年世に訴えたいと思っていた所見を、
こうした形で発表し得ることは、
老骨の使命の一つを果たし得た満足感に
耐えない。老婆心ならぬ老爺(ろうや)心が、
今後の世代に何ほどかのお役に立てば
本懐である。
 昭和52年   」


うん。この「はしがき」も素敵(笑)。
コメント
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