和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

写、一遍にしかず。

2015-02-16 | 地域
先頃、民俗学の方の講演を録音して、
それを活字におこしたことについて書きました。

何ぶんにも、耳バカなもので、
自分の都合で、気分次第でもって、
飛び飛びに聞いていた講演です。それを、
いざ、声を活字にかえる段になると、
丁寧に、言葉をなぞることになり、
言葉の道筋を、あらためて辿り。
意味の深みへと降りてゆくことと
なりました(笑)。

さてっと、これは何なのか?
たとえば、読書でもただ読むだけでなく、
それを、書き写すことがよいといわれます。
この格言は、
私には、何ともピンとこなかったのですが、
今回の、録音から活字おこしをしていると、
その気分が、よく分る気がしました。

たとえば、こういう箇所を引用してみます。

「良い言葉づかいや、うまい表現を学ぶには、
良い文章を書き写すのが一番よい。古人も
『読、十遍は、写、一遍にしかず(十遍読むより
も一遍書き写すほうが勝っている)』
と言っている。書き写すということは、
一字一字、筆を進めて行くときに、
次にはどういう言葉を用いるかというところで、
原作者が執筆しているときに近い状態になる
ことができる。これは、表現を養う上において、
殊に有益で、単に読んでいるだけでは得ることの
できないものである。・・・」
(原田種成著「漢字の常識」p173)

うん。
同じ講演を録音で十回聞きなおすなら、
一回、それを活字に直してみる。
ということなら、ピンとくるものがあります。
私なら、
『講演、十遍は、写、一遍にしかず』と
いうように直したくなります(笑)。

むろん。講演自体が印象深く、惹かれる
内容だったからなのでした。
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