和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

読み尽くせない本。

2015-02-21 | 前書・後書。
伊藤正雄著「忘れ得ぬ国文学者たち」(右文書院)
の新版(平成13年)の解説は、坪内祐三氏。
その解説のはじまりは

「なかなか読み尽せない本がある。
私にとって、伊藤正雄の
『忘れ得ぬ国文学者たち』は、
そういう一冊である。」

この意味が、今年、私なりに
何となく、わかりかけてくる(笑)。

この本『忘れ得ぬ国文学者たち』の
終りの方に、伊藤氏ご自身を語った
『よろめき一代』という文がありました。
そこから引用。

「あえてひそかに誇りとする点をいえば、
著書と論文とを問わず、ごく僅かな例外を
除いては、自分の心から書きたいもの、
あるいは書く必要を感じたものしか
書かなかったことである。
他から注文があっても、それ以外の原稿は
引受けなかった。そのため私の著作は、
多くの場合、印税や稿料にはならなかったが、
時間や分量や内容に制限を受けることなく、
少なくともその時点で最善を尽したと信ずる
ものしか発表せずに済んだ。執筆者としての
私の信条は、『読者への親切心と責任感』の
一語に尽きる。したがって、文章の平易と
趣旨の明白とを念頭より忘れたことはない。
浅学非才による不備はやむを得ぬとして、
たとい二、三枚の雑文といえども、
推敲の手を抜いたやっつけ原稿を
編集者に渡した覚えはない。
この事だけは、閻魔の庁でも広言できると思う。
売文に身を汚さず、筆の純潔を保ち得た
境遇に感謝している。」
(p394~395)


この新版が出てすぐ購入したまま、
私は、トンチンカンな理解のままでした。

それでも、本は寝かせるものですね。
今年、めでたく
読み頃をむかえることとなりました。
このチャンスは、大切にいたします。
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