和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『 美 』の2割増し。

2023-12-16 | 絵・言葉
「藤森照信の特選美術館三昧」(TOTO出版・2004年)。
はい。わたしは3ページほどの『まえがき』で満腹。

そのはじまりと、さいごとを引用。

「日本の美術館は、世界的にみると、きわめて特異である。
 質のことはひとまず置いといて、量がちょっと変わっている。
 多いのだ。とにかく美術館の数が多い。・・・    」

なかごろには
「富が大衆化すれば文化も大衆化し、そして美が大衆化したのである。」

そして、そそくさと最後を引用。

「大衆化した美術館のこの先にはなにが待ち受けているのか。
 ・・・・・マイ美術館の時代だろう。・・・・

 かつてしかるべき家には茶室がついていたように、
 しかるべき家には小さな美術館、というか美術室が、
 縮めれば美室が設けられるようになる。

 茶室が美室としてよみがえるのである。
  当たるも八卦、当たらぬも八卦。    」

こうして目次をみると、27の美術館が見取り図と写真入りで紹介されております。ちなみに、私が行った美術館は、3~4館。

う~ん。目次に従ってひらくと、この箇所も引用したくなりました。
「天竜市立秋野不矩美術館」のはじまりの言葉。

「 美術館は建物と展示品のふたつの美からなる、
  という宿命を負わされている。

  美術好きの人は展示品だけで十分と考えているかもしれないが、
  それはちがいます。

  人は、ひとつのものを見つめるとき、かならず
  周囲の環境を無意識に感じ取りながら、見ている。

  壁の様子、落ちてくる光、隣り合う作品、足の下の床、
  天井の高さ、そして背後の空気。獲物を前にしたネコ科の
  動物(ヒョウなど)と基本的に変わらない。

  作品の美は、展示の空間によってそうとう印象が変わる。
  体験でいうと、2割くらい変わるんじゃないかと思う。  」(p232)


そうすると、展覧会のカタログだけ見てる私は、
いったい何割引きの、『美』を見てるのだろう。


 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 庭掃除から思う露地。 | トップ | 庭いじり。美術館。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

絵・言葉」カテゴリの最新記事