竹中郁・採集「子供は見ている」(東都書房・昭和34年)を
読めてよかった(笑)。いろいろなことを思います。
せっかくなので、一篇の詩を引用。
それは小学四年生・平井健允の詩「雪」。
雪
詩を書いていると
雪が降ってきた
えんぴつの字がこくなった
この詩に添えた竹中郁の文は
「日本人特有の繊細な感覚に注目したい。
はじめ鉛色にみえた鉛筆の文字が、
雪の白さになじんだ目には、
次には一段と濃くみえたのである。
貴い感覚とほめてやるべきだ。」
ゆっくり、ページをめくっていると、
ここから、思い浮かぶ詩があります。
雪 井上靖
―― 雪が降って来た。
―― 鉛筆の字が濃くなった。
こういう二行の少年の詩を読んだことがある。
十何年も昔のこと、『キリン』という童詩雑誌で
みつけた詩だ。雪が降って来ると、
私はいつもこの詩のことを思い出す。
ああ、いま、小学校の教室という教室で、
子供たちの書く鉛筆の字が濃くなりつつあるのだ、と。
この思いはちょっと類のないほど豊饒で冷厳だ。
勤勉、真摯、調和、
そんなものともどこかで関係を持っている。
これは詩集「運河」にあります。
うん。そういえば、井上靖の最初の詩集「北国」には、
子供と少年とが、ところどころ登場しているのでした。
おかげで、詩集「北国」は色褪せず読めるのでしょうか?
読めてよかった(笑)。いろいろなことを思います。
せっかくなので、一篇の詩を引用。
それは小学四年生・平井健允の詩「雪」。
雪
詩を書いていると
雪が降ってきた
えんぴつの字がこくなった
この詩に添えた竹中郁の文は
「日本人特有の繊細な感覚に注目したい。
はじめ鉛色にみえた鉛筆の文字が、
雪の白さになじんだ目には、
次には一段と濃くみえたのである。
貴い感覚とほめてやるべきだ。」
ゆっくり、ページをめくっていると、
ここから、思い浮かぶ詩があります。
雪 井上靖
―― 雪が降って来た。
―― 鉛筆の字が濃くなった。
こういう二行の少年の詩を読んだことがある。
十何年も昔のこと、『キリン』という童詩雑誌で
みつけた詩だ。雪が降って来ると、
私はいつもこの詩のことを思い出す。
ああ、いま、小学校の教室という教室で、
子供たちの書く鉛筆の字が濃くなりつつあるのだ、と。
この思いはちょっと類のないほど豊饒で冷厳だ。
勤勉、真摯、調和、
そんなものともどこかで関係を持っている。
これは詩集「運河」にあります。
うん。そういえば、井上靖の最初の詩集「北国」には、
子供と少年とが、ところどころ登場しているのでした。
おかげで、詩集「北国」は色褪せず読めるのでしょうか?