山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

毎年恒例の三ツ峠清掃登山に参加する 令和3年6月12日

2021年06月15日 | 山に咲く花
 この時期の毎年恒例となっている山梨県山岳連盟主催の三ツ峠清掃登山に参加させていただいた。シダやテンナンショウ属はだいぶ見て回ったと思うが、今年はツツジやウツギなどの樹木類も見て回ってみたいと思う。


    三ツ峠山荘の前から見る富士山。小雨に降られることが多かったが、今年は時折青空が見える曇りだった。


    三ツ峠山荘の中村さんの説明を聞きながらテンニンソウの除去作業を行う。毎年除去しているがしぶとく生えてくるテンニンソウ。


    今年は冬の雨が少なかったためか、花が小ぶりで花数も少なかった。


    保護柵内で元気に茂っているユキザサ


    群生して生える大型のシダは大抵ヤマドリゼンマイかオシダだが、少し違うものが生えていた。


    鱗片の真ん中がこげ茶色。これはミヤマベニシダであろう。

 テンニンソウ除去作業を1時間ほど行った後、三ツ峠山荘に戻って昼食となる。その後、山頂付近の植物観察に出かける。ラン科植物のほかに今回のお目当てのツツジやウツギを見て回る。


    山頂付近に多く生えているシロバナフウリンツツジ。この山以外ではあまり見たことが無い。


    これもこの山でしか見たことが無いムラサキツリガネツツジ


    ムラサキツリガネツツジ


    これは他の山でも比較的良く見かけるベニバナウツギ


    こちらは時々見かけるベニバナツクバネウツギ


    キバナウツギを期待したのだがこれはウコンウツギだった。


    葉が細めで先端が尖るヒメウツギ


    こんなものに出会えるとは思ってもいなかった。


    ニッコウヒョウタンボク。この山に生育していることすら知らず、驚いた。


    ここに咲いているのはグンナイキンポウゲのはずである。


    根生葉は円みを帯びてはいるが、尖っているように見えるものもあり、なかなか自信が持てない。


    探していたのはこのテンナンショウ属。葉軸が1本で花の位置は葉より低いか同じ高さ。


    これはヒロハテンナンショウではないかと思う。

 花の観察会の後に私のスライド上映会が予定されていたのだが、USBメモリーにデータ転送を失敗したようで、転送したはずのデータが入っておらず空のメモリーを持って来てしまった。そのため本日の上映会は中止となってしまい、参加メンバーに申し訳ないことをしてしまった。またの機会に上映したいと思う。

 保護柵の中にも時として鹿が入り込むようで、一部食害を受けた植物や鹿の糞が散見された。大切に保護されている特別な植物は被害を被っていないようである。よくぞこれだけの保護柵を設置し、管理しているものだと、三ツ峠ネットワークを主とするメンバーたちに感心させられる。

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ヒメシャガ(アヤメ科)

2021年06月14日 | その他の絶滅危惧種
 やや乾いた林縁を好んで生育する多年草である。葉は薄くて草質、2列に互生し、長さ20~40cm、幅5~15mmの剣状で光沢は無い。花は径 5㎝程度で淡い紫色、花被片は6個あって平らに開き、外側の3個の花被片には青紫色の脈や黄色の斑紋がある。内花披片はさじ型。地下茎は横に這って分岐する。花期は 5 ~ 6 月。山梨県では御坂山系、大菩薩山系、南アルプスの限られた場所に生育し、個体数は少ない。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA 類(CR) 2017年環境省準絶滅危惧(NT)


    ヒメシャガ 令和3年5月 大菩薩山系で撮影


    同上。良く見かけるシャガに比べるとひと回り小さく華奢な感じ。


    花弁は6枚あり、淡紫色。3枚の外花被片には青紫色の脈や黄色の斑紋が入る。


    分布は限られており個体数は少ない。


⇒2018年版山梨県レッドリストの植物 ~絶滅危惧ⅠA類(CR)~

➡山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

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カモメラン咲く黒岳 令和3年6月11日

2021年06月14日 | 山に咲く花
 早朝から甘利山のレンゲツツジを見て回ってきたため寝不足で眠い。中央道の双葉サービスエリアに立ち寄って仮眠すると、1時間ほど意識を失っていたようである。目を覚ませば10時半になっていた。自宅に帰って寝ようかとも思ったが折角の晴れの天気なのにもったいない。今年は保護柵の修復に行っていないが、そろそろ見ごろを迎えているであろうカモメランが気になる。エナジードリンクを飲んで目を覚ましてから見に行ってみることにした。


    現地に行く前に、気になっていた林道脇に咲くこの花を見てから行く。


    サンショウバラ。盛期を過ぎて痛み始めていた。


    シダを見ながら登る。ヤマイヌワラビであろう。ソーラスはまだ付いていなかった。


    形は似ているがちょっと違う。


    楕円形のソーラスが付いている。これはイッポンワラビであろう。


    これも似ているが違うシダ。


    ソーラスは長楕円形ないしは三日月型。ミヤマシダであろう。


    葉軸が黒く鱗片も黒い。これはミヤマクマワラビであろう。


    真ん中から昨年の胞子葉が残って出ている。イヌガンソクであろう。


    これも気になっていたキンポウゲの仲間。


    根生葉を見ると先端が円みを帯びているように見える。グンナイキンポウゲではないかと以前から思っているが確信は持てず。


    山頂に到着。


    山頂に生えているヒロハヘビノボラズ。


    ユモトマムシグサ


    展望台から見る富士山。一時姿を消していたが再び見えるようになってきた。

 さて、保護柵を見に行ってみると、一部倒れかけているところはあったがなんとか破損無く立っており、食害は受けていなかった。カモメランはちょうど満開であったが、冬の雨が少なかったためか、今年は花付きがきわめて悪い。しかし葉はしっかりと出してくれていた。


    倒れかけているところもあったがしっかりと立っていた保護柵。直してくれている登山者が居るようで感謝である。


    柵の中のカモメラン。一見して昨年よりも花数が少ない。


    今年はあまり咲いてくれなかったが、昨年まで咲いていなかった場所に咲くようになっていた。


    2ヶ所目の柵内もやや花数が少ないが良く咲いている。心配なのは増殖しているカニコウモリに負けてしまいそうなところ。


    唇弁の斑点が濃いものが多く咲く場所だが、今年はそうでは無いものが多かった。


    昨年保護柵が破損して食害に遭った柵内はさすがに花が咲かない。ユキザサが消滅しショウマ類もほとんど見当たらない。


    咲いたのはこの1株のみだったが、周辺に葉はたくさん生えており、今後に期待したい。


    保護柵の外はほぼ壊滅的である。花は木の根の間に咲いたこの1株しか見当たらなかった。


    ヤシャビシャクは結実し始めていた。

 山肌はさらに乾燥化が進んで下草がほとんど生えておらず、保護柵の中以外は殺伐とした様相を呈してきていた。囲った中は辛うじて無事といったところだが、決して安心出来るような状況では無かった。このままの状態だと、いずれはカモメランは消失してしまうのではないかといつも危惧している。


    ついでにオオヤマサギソウの保護柵内も見てくる。昨年の穂の脇に出た今年の株。


    こちらは新参者2株。

 オオヤマサギソウの保護柵内は昨年以上に期待できそうに思う。保護柵は全く破損が無く。おそらくは管理人さんたちが手入れしてくれているのではないかと思う。感謝である。

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レンゲツツジ三昧 甘利山 令和3年6月11日

2021年06月13日 | 番外編
 前夜はテレビを見ながらうたた寝をしてしまい、目を覚ましたら未明の3時だった。外に出て空を見上げると星が輝いている。これならば甘利山から富士山が見えるのではないだろうか?まだかなり眠いが来週からは梅雨入りしそうなのでレンゲツツジと富士山を撮影するには今日が最後のチャンスとなるかも知れない。甘利山に行ってみることにするが、表側の道路の県道甘利山線は落石があったらしく工事のため通行止めになっている。裏側の御座石鉱泉側林道を行くが、これが曲がりくねっていて距離が長い。日の出には間に合うだろうと思っていたのだが途中で日が昇り始めてしまう。駐車場に到着すると車が30台以上、たくさん止まっているのに驚いた。しかもほとんどが県外ナンバーである。カメラマンはみなさん泊まり込んで撮影に臨んでいるのだろうか?


    レンゲツツジはほぼ満開の見頃。


    霞んでいるが富士山が姿を現している。


    たくさん居るカメラマンの間を縫って三脚を立てて撮影する。


    コメガヤとレンゲツツジ


    こんな霞んだ富士山もこの季節らしくて良い。


    レンゲツツジも見ごろ。


    良い景色を堪能する。


    ダケカンバと富士山


    しかし、レンゲツツジの花付きがいまひとつ少ないのは残念である。


    冬場の雨が少なかったのが影響しているかも知れない。


    黄色い花が混じっていた。


    黄色いレンゲツツジと千頭星山


    甘利山のレンゲツツジ


    たっぷりと楽しませていただきました。


    結実したヒメスゲ


    ツマトリソウ群生


    キンポウゲが満開

 そのうち撮ってやりたいと思っていた甘利山のレンゲツツジと富士山、今年はいちばん良い日に訪問出来たのではないかと思う。

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カイジンドウとフナバラソウ 令和3年6月10日

2021年06月13日 | 山に咲く花
 そろそろ行きつけの草原ではカイジンドウやフナバラソウが咲いている頃だと思う。新しい花の情報も仲間からいただいたことだし、見に行ってみることにする。


    植林帯の樹林の下ではこの花が見ごろを迎えていた。


    コアツモリソウ


    クモキリソウはまだ蕾だった。


    咲き始めたばかりのカイジンドウ。冬の雨が少なかったためか、今年は大株が見当たらない。


    満開のこの花


    フナバラソウ


    赤紫色の地味な花。蟻がたくさんたかっている。


    コウヤワラビが生えていた。

 さて、新しく見つかった花はさほど難しい場所に咲いているわけでは無いはずだが、いくら探しても見つからない。花仲間2人に電話して場所を確認するが、何度往復しても見つからない。あきらめて帰ろうとしたときに、別のところにそれと思わしき踏み跡を発見した。辿ってみるとあっさりとその花が現れた。探し場所を間違えていたようである。


    本日見たかったのがこの花。


    サワルリソウ。沢の周辺に生育しているのかと思っていたが、これは林の中に生えていた。


    初めての出合い、サワルリソウ。地味に美しい花である。

 森の中が暗くなってきた6時少し前になってやっと本日の一番の目的だったサワルリソウに出会えた。探し場所を間違えてやや広範囲にこの森の中をさまよったが、咲いているのはこの1ヶ所しか発見出来なかった。花仲間に感謝したい。

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サツキ咲く 南部町 令和3年6月8日

2021年06月11日 | 里に咲く花
 南部町に咲くサツキは山梨県では数少ない自生のサツキで、山梨県自然記念物に指摘されている。そろそろ咲いているか、あるいは少し遅いかも知れない。午後から訪れてみる。


    河原は外来種が多数生育。これはビロードモウズイカであろう。


    多数のムシトリナデシコの中に変わった花が混じっていた。これはアレチハナガサという外来種と思われる。


    オオカワヂシャ。これも外来種。


    こちらは在来種のカワヂシャかもしれないが、葉の切れ込みが少ない。


    これはアケボノソウの葉か?


    比較的多く見られるイヌドクサ


    咲き残っていたシラン


    対岸の岩壁を覗き込んでみると赤い花がちらほらと咲いているのが見える。


    100㎜レンズではこれくらいしか捉えられない。どうやら探し物のサツキのようである。


    岩壁に生育しているサツキ。この視野で4株見える。あの場所も山梨県のはずである。


    こちら側にもサツキが咲いているのを発見。思っていたよりも花が大きく、色鮮やか。


    ちょうど見頃だったサツキの花


    こちらはもう終わりかけである。


    ヤシャゼンマイが生えたいた。胞子葉は見当たらず。


    前回訪問時に何だか分からなかった草。


    カヤツリグサ科では無く、イグサ科のイグサらしい。


    もう1種類、見ておきたかったのがこの花。


    小さなリンドウの仲間、コケリンドウ。


    咲き残りの花がわずかに残っていてくれた。来年はもっと良い時期に是非見に来てみたい。


    偶然見つけたマンネングサの仲間。あまり見かけない葉の形をしている。


    調べてみるとこれはコモチマンネングサのようだ。初めて見るがあまり珍しいものでは無いらしい。

 今回の一番の目的は自生のサツキの花を確認することだった。個体数はあまり無いがしっかりと咲いていてくれた。そしてもうひとつが、花仲間が見つけ出してきてくれたコケリンドウである。富士山の植物図鑑の記述を見ると富士山麓の草地に生育しているらしいが花仲間に聞いても見たことがある者はいなかった。山梨県ではレアもののリンドウとみて良いであろう。もう1ヶ所回りたかったが、撮影に時間をかけ過ぎて時刻は5時を過ぎてしまい、本日はこの1ヶ所のみで撤退となった。


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湖の湖畔に生えるカヤツリグサを探索 令和3年6月7日

2021年06月11日 | 番外編
 山中湖も河口湖も流域面積が広く、スゲを探して廻ったのはまだほんの一部だけである。忍野のバイカモを見て時刻は午後4時になったが、日没にはまだ時間がある。山中湖のまだ巡っていない場所の探索に行ってみる。あまり深い場所まで探索する予定では無かったので仕事を終えたままのスラックスを履いて湖畔に行ったのは大きな間違いで、背の高い葦の藪をかき分けることとなり一苦労してしまった。


    湖畔に生えていたアブラガヤ


    アゼナルコ。これは普通に生えていることが分かった。


    探していたのはこの背の高いカヤツリグサ科の植物。


    フトイ


    湖畔や湿地を好んで生える大型のカヤツリグサ科植物。車で湖畔を走りながらそれらしきものを見つけ、確認に来た。


    花の咲き始めで先端部に雌しべが見える。

 無事にフトイを発見して葦の藪から抜け出てきた。帰り際に、まだ少し日没まで時間があったので何度か訪れている河口湖に立ち寄ってみる。


    元気なジョウロウスゲ


    今がいちばん見頃なのではないだろうか。


    先端の雄小穂がまだしっかり残っている。


    カワヂシャもまだ咲き残っていた。


    スジヌマハリイも近くに生えていた。


    根元の鞘を確認する。赤紫色をしていて、スジヌマハリイで間違い無さそうである。


    もうひとつ、茎が三角形のカヤツリグサ科植物を発見。


    花茎が無くカンガレイのように見えるが、根元が束のようになっておらずこれはサンカクイの可能性が高い。


    別株を見てみると花茎が出ているものがあった。やはりサンカクイのようだ。まだ花芽が出たばかりで花茎が伸びていないようだ。

 探していたフトイに無事出会うことが出来た。これで今年の春の間にに見ておきたかった絶滅危惧のカヤツリグサ科植物はハシナガカンスゲを除いてほぼ見終わったことになる。いよいよ6月下旬から鳳凰山、北岳等の高山帯に入ることとなる。天候に恵まれることを願いたい。平地ばかり歩いているので体力も少し(いや、かなり)心配である。

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咲き始めたバイカモ 忍野八海 令和3年6月7日

2021年06月10日 | 里に咲く花
 何度か見に行っているバイカモであるが、2度書いた記事には大きな間違いがあったことに気付かれていた方が多かったと思う。忍野の川の流れに漂っている水草は実はバイカモでは無かったのである。5月中旬に訪問した際に書いた記事で何かおかしいと思い調べたところ、バイカモは藻なので細い葉しか出さないことが分かり間違いに気付いた。記事はそのままになっているのでご注意いただきたい。そして今度こそはバイカモのある場所に行ってみることとなる。


    今年3度目の訪問となる忍野八海。


    オランダガラシ(クレソン)が満開


    前回・前々回ともこれがバイカモだと思って記事を書いていたが、大きな間違いだった。


    色が違うが同じものだろう。花芽のようなものが付いている。この草の名前は知らない。


    バイカモが映える池に到着。この池を訪問するのは初めてである。


    池のほとりにはユキノシタがたくさん咲いていた。


    この池から流れ出る用水路にバイカモがたくさん生えていた。


    まだ咲き始めたばかりのバイカモの花


    蕾が多い。


    白飛びしてしまいなかなかうまく撮影出来ないバイカモの花


    咲き始めの花は少し黄色味がかっているようである。


    水の流れに咲くバイカモの花


    これはユキヤナギだろう。


    ネズミモチの花だろう。

 ようやく見ることが出来たバイカモ。もっと簡単に見られるはずだったのだが、勘違いでだいぶ遠回りしてしまった気がする。

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西沢渓谷を再訪する 令和3年6月6日

2021年06月10日 | 渓谷
 4月下旬に一度訪問している西沢渓谷であるが、そこに生育していたスルガスゲと思わしきスゲがまだ確認できていない。それと、そろそろホテイシダが元気に葉を伸ばしている頃であろう。クモイコザクラのその後の葉の変化も気になる。午前中は天候がいまひとつだったが午後になると青空が広がってきた。周回するには出発時間が遅すぎるため、途中で折り返して戻ることにして、入山者が少なくなる午後1時に西沢渓谷駐車場を出発する。


    大きなミズナラの木にホテイシダが茂っている。右上にはヤシャビシャクの姿も見える。


    結実してイガグリ状の実を付けているヤシャビシャク


    青々としてまだ若いホテイシダ。


    ホテイシダとシノブ。ホテイシダにはソーラスの痕跡が見える。


    コカンスゲはもう終焉で花穂が散っている。


    たくさん穂を出していたヒナスゲも終盤。穂はほとんど無くなっていた。


    ヒナスゲの雌花。このスゲは雌雄異株である。


    こちらが雄花。


    渓谷の流れ


    竜神の滝


    これは大型のカンスゲ


    そしてこちらがお目当てのスルガスゲと思わしきスゲ。大部分は穂が千切れて終わっていた。


    しかし、これは本当にスルガスゲなのかどうか?


    ヒメカンスゲに良く似ている。


    根元の鞘は赤紫色。図鑑にはザラつくと書かれているが何度触ってもザラつきは不明である。


    先端部の雄小穂は赤紫色、雌小穂の鱗片は果胞より短く、鋭頭。果胞には縦向きの筋が入る。


    葉は深い緑色で地面に近い低い位置に伸びる。葉の中央の脈および辺縁は触れるとザラつく。

 以上の所見から見て、このスゲはスルガスゲと見て間違い無さそうである。葉のざらつきについてはヒメカンスゲなどはまだ触っておらず、今後検討してみたいと思っている。


    オオクボシダ


    前回発見出来なかったオオクボシダの群生を今回は確認出来た。


    ヒメスギラン


    前回は人数が多かったので多数発見できたが、今回は単独入山で見たのは3株のみだった。


    クモイコザクラの葉と茎。葉は平坦になって窪みは少ないが葉脈はしっかりしている。


    茎には毛が多い。


    一方、ダイモンジソウの葉は平坦で葉脈が目立たない。茎には毛が無いか少ない。


    渓谷の脇に生えるモミジカラマツ


    キバナウツギ発見、と思ったが・・・


    花茎がはっきりしており、これはウコンウツギのほうだろう。

 5時近くまで渓谷内をうろつき、駐車場に戻ったのは少し薄暗くなった6時半ごろだった。私が一番最後かと思いきや、私の後ろから5~6人の団体さんが帰って来た。装備から見て西沢渓谷では無くて東沢か鶏冠山に入山したのではないかと思う。スッキリと宿題が片付いたというわけでは無いが、一番確認したかったスルガスゲはおそらく間違い無いであろう。

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タチヒメワラビ(ナヨシダ科)

2021年06月10日 | シダ類
 山地の林縁にポツポツと立って生育する夏緑性のシダである。根茎は長く這い、葉をまばらに出す。葉は淡緑色、柔らかい草質。葉身は広披針形、基部は狭まり、2 回羽状に深裂する。羽片の下部は、無柄で水平に開出し、軸に重なるようにつく。植物全体に星状毛や針状毛を密につける。最下羽片の上側第一小羽片は突出して大きい。胞子嚢群は、辺縁と中肋の中間より辺縁近くに着き、胞膜はない。生育地は山梨県内に散在し、個体数は少ない。笹に飲み込まれて消滅した場所もある。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2017年環境省-


    タチヒメワラビ 令和3年5月 甘利山で撮影


    同上 まだ葉を十分に展開していない若い個体。


    最下羽片の上側第一小羽片が突出して大きい。


    茎には星状毛や針状毛を密に付け、茶色い薄い鱗片を付ける。


    令和3年6月 同じ場所で撮影。だいぶ大きくなったがまだソーラスは付けていなかった。


    平成24年6月 アツモリソウとともに写り込んでいたタチヒメワラビ。令和3年現在、アツモリソウは消滅しておりタチヒメワラビも風前の灯。

 ⇒山梨県の絶滅危惧ⅠB類のシダ類(画像付き)

 ➡山梨県の絶滅危惧のシダ類一覧に戻る

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ヒメサジラン(ウラボシ科)

2021年06月09日 | シダ類
 林下の沢沿いの湿った岩上にコケと群生する常緑性のシダである。根茎はやや長く這う。葉は単葉で長さは 5 ~ 10㎝、葉身は倒披針形で先端の近くで広がる。葉柄は不明瞭で葉質は革質。鱗片は葉柄基部に多いが、葉身は無毛。胞子嚢群は長楕円形~線形で中肋よりに約 25 度の角度で着く。山梨県では県南部に生育しているが、生育場所の斜面の崩落などにより減少傾向にある。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2017年環境省-


    ヒメサジラン 令和3年3月 南部町で撮影


    同上 渓谷沿いの苔の生えた岩や岩壁を好んで生育する。


    葉は倒披針形で先端の近くで広がる。先端部はやや尖る。


    ソーラスは楕円形ないし線形で、中肋寄りに約25度の角度で付着する。


    下から覗き込むヒメサジラン群落

 ➡山梨県の絶滅危惧のシダ類一覧に戻る

 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

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これがアカンスゲ 乙女高原 令和3年6月6日

2021年06月09日 | スゲの仲間
 アカンスゲは北海道のほかに本州では岩手県、栃木県、長野県、そして山梨県に隔離的に分布する貴重なスゲである。何度か訪問している乙女高原であるが果期にならないと区別が難しいため、まだ確認が出来ていない。特徴的な雌花の形なので結実していれば見分けるのはさほど難しく無いはずである。天候がいまひとつで時折小雨が降るが、時期を逃すと実が落下して見られなくなってしまうため、小雨の中を傘を持ちながら見に行ってみる。


    当初はこの島状になった大きな葉のものがアカンスゲだと思っていた。


    ようやく穂が出始めたものを見てみると、どうやらこれでは無いようだ。これはイネ科の植物らしい。


    本物のアカンスゲは細い葉のほうのようである。前回5月下旬の訪問時に雄しべと雌しべを出していたものがアカンスゲだった。


    これがアカンスゲだ。


    アカンスゲの小穂


    マクロ撮影。まだ結実したばかりの穂。


    こちらはしっかり結実している穂。特徴的な形をしている。


    湿地の辺縁には比較的多数生育していることが分かった。


    やっと確認出来たアカンスゲ。ほっと一安心である。


    別のスゲが花を咲かせていた。タニガワスゲだと思っていたがどうも違うようである。


    雌鱗片が茶色く無くて緑色をしている。


    こちらは同じものなのか、別物なのか?


    雌鱗片は辺縁が茶色い。

 別の場所に立ち寄ってみる。こちらに生えているのも当初はタニガワスゲだと思っていたのだが、結実したものを見るとそうでは無いようである。


    別の場所に生えていたスゲ。


    さて、これは何?雄小穂を伸ばした頃に見た時はタニガワスゲだと思っていたが違うようである。


    雌小穂の拡大。鱗片は辺縁が茶色で先端部は尖り、小さな芒がある。


    ヤチボウズのようになっているものがあった。


    これもおそらくは同じもの。画像を拡大して見てみると、先端部の鱗片は辺縁が茶色だが根元のほうは緑色をしている。辺縁茶色も緑も同じものではないかと思う。

 さて、このスゲは何者であろうか?勝山輝男先生の著書「日本のスゲ」を見てみると、オタルスゲという山梨市で採取されたスゲの果胞と果実の写真が掲載されていた。その図鑑の画像を見てみると今回見たスゲはこのオタルスゲにきわめて良く似ている。花の咲いていたものもおそらく同じものと思われ、これらはオタルスゲではないかと推測される。そのような目で見直してみると、先日八ケ岳美ヶ森で見てきたテキリスゲと思わしきスゲもこのオタルスゲではないのかと思えてくる。とにかくまだカヤツリグサ科は分からないことだらけで課題が増えて行くばかりである。しつこくまた訪問してみたいと思う。


    小さなハリスゲの仲間があった。


    これはコハリスゲなのか、それともサトヤマハリスゲなのか?やっぱり分からない。

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甘利山近傍の高層池に生育するスゲを確認に行く 令和3年6月5日

2021年06月09日 | スゲの仲間
 カヤツリグサ科の植物は花を咲かせた時と結実した時期で全く違う姿を見せるため、花の時期に見ても何だか分からないことがほとんどであることは何度も訪問してみて身をもって感じている。山中湖で見たスゲで花の時期にカサスゲであろうと思っていたものは結実した頃に再訪してみるとだいぶ様子が変わっていて、オニナルコスゲであった。では、甘利山近傍の高層池で見たカサスゲは本当にカサスゲなのか?という疑問が湧いてくる。椹池に生えるスゲもアゼスゲか、ヌマアゼスゲか結論は出ていない。甘利山まで来たことだし、時間もあったので確認のため立ち寄ってみる。


    まずは椹池の湖畔に生えているこのスゲ。


    結実して判別するには良い時期になっていた。


    さて、鱗片と果胞を見てみる。鱗片は果胞と同じくらい長く、先端部は尖っている。どうやらこれはアゼスゲのようである。


    別の池に立ち寄る。水量が増えてきた。


    湿地にたくさん生えているこのスゲは本当にカサスゲなのか?


    穂はだいぶ痛んでいて頂部の雄小穂はほとんど残っていない。


    辺縁が茶色くて先が尖っている鱗片と波打っている果胞。カサスゲで間違い無さそうである。


    別のスゲが混じっていた。


    雌小穂の辺縁が茶色い鱗片と先端部の芒、全体的に円柱形の雌小穂の形から、これはゴウソと思われる。


    ヒゴクサに似ているが少し感じが違う。


    雌小穂にほとんど柄が無い。これはエナシヒゴクサと思われる。


    良く分からないのがこのたくさん茂っているスゲ。アオスゲの仲間(ヌカスゲ節)であろうことは想像がつく。


    鱗片は先細りだが芒は短い。図鑑で見比べるとイトアオスゲが最も近そうだが、果胞にあまり毛が生えていない。クサスゲなのか?

 椹池のスゲはアゼスゲ、高層池のスゲはカサスゲであろうということは分かってきた。しかし、そのほかにもまだ結論が出せないものが多数生育している。何度か通っていれば、そのうち答えが出てくるのではないかと思う。焦らずにじっくりと取り組んで行きたい。

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クリンソウ咲きほこる 甘利山・大笹池探索 令和3年6月5日

2021年06月09日 | 山に咲く花
 甘利山のレンゲツツジが咲き出している頃だと思う。大笹池まで行けばクリンソウが見ごろを迎えている頃だろう。探索に行ってみる。


    咲き出していた甘利山のレンゲツツジ。富士山は見えず。


    咲いていたのはほんの一部だけでほとんどが蕾。見ごろは来週あたりになりそうだ。


    コメガヤがたくさん生えていた。


    ハルガヤだと思うが?


    毛が生えているとか生えていないとかでミヤマハルガヤと区別するらしいが、どこを見れば良いのか?勉強不足。


    大笹池に下りてみる。クリンソウが満開。


    クリンソウ


    池のほとりに生えていたミゾホオズキ


    ホタルイのようだがだいぶ細くて華奢である。


    おそらくミヤマホタルイと思われる。


    あまり見慣れないシダを発見。


    おそらくテバコワラビではないかと思われる。ソーラスが付いた頃に確認してみたい。


    ユモトマムシグサが生えていた。


    こっちは何だろう?


    付属体が棍棒状で薄紫色。ムラサキマムシグサというのがいちばん近そうに見える。


    たぶんホソバテンナンショウ


    別の場所のクリンソウ群生地があった。


    白花のクリンソウ


    この場所のクリンソウは色とりどり、様々な色の花が咲いている。


    見たかった花のひとつ、ベニバナヤマシャクヤク。


    まだ固い蕾。開花は1∼2週間先になりそうである。

 数日前に甘利山で家族と訪れていた高齢の女性が行方不明になっているらしく、警察官数名が捜索に訪れており、登山者に目撃情報の提供をお願いしていた。約1週間経ったがまだ見つかっていないようで心配である。甘利山のレンゲツツジと富士山の景色をいつか撮ってやろうと狙っているものの、なかなか好天の日が無いうえに日程が合わず撮れないでいる。いつかそのうち、と思いつつ、もう何年も経ってしまった。いつかそのうち、撮りに行きたい。

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ミゾコウジュ(シソ科)

2021年06月05日 | 絶滅危惧種
 湿った草地、溜池畔、畦、河川敷などの日当たりのよい湿った場所に生育する越年草(2年草)。茎は高さ30 ~ 70㎝、四角形で直立し、まばらに分枝して下向きの細毛がある。茎葉は短い柄があり、長さ3 ~ 6㎝、幅 1 ~ 2㎝、縁は鈍い鋸歯があり、脈は凹んで葉面は細かいしわがあり、細毛が生える。花穂ははじめ短いが、後に長く伸びて 8 ~ 10㎝となる。花冠は淡紫色で長さ4 ~ 5㎜、下唇は大きく、紫色の斑点がある。雄蕊 4 個のうち下側の葯は不稔である。

 2018年山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU) 2017環境省準絶滅危惧(NT)


    ミゾコウジュ 令和3年5月 甲府市積翠寺町で撮影


    同上


    茎には毛があり、輪散花序をつける。


    田畑の湿地に生育していたミゾコウジュ

⇒山梨県の絶滅危惧のシソ科植物一覧

➡山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

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