司法が依拠すべき「科学」とは~乳腺外科医事件で最高裁弁論
「本件では
①被害者の胸を警察官がガーゼで拭って採取した微物についての警視庁科学捜査研究所による鑑定は科学的な証明力を有するか
②被害者の訴えは、手術後の「せん妄」による幻覚だった可能性があるか否か
――が主たる争点になっている。
①について弁護側は、本件では付着していたDNAの量が問題になっているのに、科捜研技官がDNA量の検査結果を示す客観的データや、再検査のために残しておくべきDNA抽出液を廃棄したことを問題視。唾液の付着を調べるアミラーゼ検査も、色調の変化を証明するための写真など、客観的なデータがないと指摘した。」
「科捜研による鑑定は信用できるか」が大きな争点となっている。
もちろん、ここでは「科捜研は専門家だから間違いない」という発想をいったん捨てた上で吟味すべきところだが、記事を読んだ限りでは、かなり杜撰な方法で鑑定がなされているように見える。
ちなみに、上の事件とは性質が異なるけれど、「科学的証拠」に全面的に寄りかかることの危険性を示す事件の一つとして、高隅事件(鹿児島夫婦殺し事件)が挙げられる。
捜査中、警察は被告に任意提出させた陰毛の一部を紛失していたが、その紛失した毛が、いつの間にか「被害者の遺体から検出された毛」として鑑定に回されたのではないかと疑われた事案である。
過去にこういう事案があったので、「検体の唾液は、本当に被害者の胸に付着していたのか?」という疑念すら生じてしまうのである。
「本件では
①被害者の胸を警察官がガーゼで拭って採取した微物についての警視庁科学捜査研究所による鑑定は科学的な証明力を有するか
②被害者の訴えは、手術後の「せん妄」による幻覚だった可能性があるか否か
――が主たる争点になっている。
①について弁護側は、本件では付着していたDNAの量が問題になっているのに、科捜研技官がDNA量の検査結果を示す客観的データや、再検査のために残しておくべきDNA抽出液を廃棄したことを問題視。唾液の付着を調べるアミラーゼ検査も、色調の変化を証明するための写真など、客観的なデータがないと指摘した。」
「科捜研による鑑定は信用できるか」が大きな争点となっている。
もちろん、ここでは「科捜研は専門家だから間違いない」という発想をいったん捨てた上で吟味すべきところだが、記事を読んだ限りでは、かなり杜撰な方法で鑑定がなされているように見える。
ちなみに、上の事件とは性質が異なるけれど、「科学的証拠」に全面的に寄りかかることの危険性を示す事件の一つとして、高隅事件(鹿児島夫婦殺し事件)が挙げられる。
捜査中、警察は被告に任意提出させた陰毛の一部を紛失していたが、その紛失した毛が、いつの間にか「被害者の遺体から検出された毛」として鑑定に回されたのではないかと疑われた事案である。
過去にこういう事案があったので、「検体の唾液は、本当に被害者の胸に付着していたのか?」という疑念すら生じてしまうのである。