Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

カマリナ沼

2022年01月28日 06時30分12秒 | Weblog
偶像の薄明 著者 ニーチェ
 「私自身ギリシアの諺を使って「沼を動かす」と呼んでゐるものを、ワグネリアンはしまひにはリズミカルだと呼ぶようになる。」(p53)
 
 古代ギリシャの格言に、「カマリナ沼をかき回すなかれ」というのがあるらしい。
 ちなみに、これはエラスムスの「痴愚神礼讃」の中でも引用されているそうだ(■「カマリナの沼はかき回さず」)。
 カマリナ沼の泥は瘴気を生じさせるとされており、かき回すと病気を発生させてしまう。
 だから、かき回さず、黙って通り過ぎるのが賢明だというのである。
 ニーチェは、ワーグナーの音楽は「沼を動かす」ものであり、「趣味の腐敗」を生むものであると厳しく批判している。
 言われてみれば、人間というものは、ワーグナーに限らず、ちょっと不気味な、腐敗臭のあるものに惹かれる傾向があると思う。
 これを、フロイト先生ならば「死の欲動」と呼ぶことだろう。
 もっとも、人間の暗部に切り込む精神分析学や文化人類学(民俗学も含め)などは、おそらく「カマリナの沼をかき回す」学問なのかもしれないので、こういう指摘をすること自体控える方がよいのかもしれない。
 
コメント
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