Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

カイシャ人類学(12)

2022年05月11日 06時30分43秒 | Weblog
 この種の人たち(チンパンジーもそうだが)は、一人で生きていくことが出来ないため、集団を形成しようとする。
 他者/他の集団に依存して生きていこうとするわけである。
 ところが、厄介なことに、実態は”依存”なのに、必ず”支配”(私のお気に入りの表現だと、「他者/他の集団に向けて自我を拡張し、対象を自分の身体のように動かそうとすること」)という形式・体裁をとろうとする(おおざっぱに言えば”プーチン的”である。)。
 この種の人たちは、霊肉二元論的な思考に基づき、モノには”マナ”という(永続する)精霊が宿っていて、もとあった所(原所有者)に戻ろうとする性質を持っていると考え、この性質を利用して、他者/他の集団を支配しようとするのである。

 「・・・しかしこのような贈与や凄まじい消費、さらに度を外れた富の浪費や破壊は、特にポトラッチの諸社会において、利益追求と全く無関係な契機によって行われるのではない。首長とその部下のあいだ、部下とさらにその追従者とのあいだで、こうした贈与によって階層性が作られるのである。与えることが示すのは、それを行う者が優越しており、より上位でより高い権威者(magister)であるということである。」(p275~276)

 ここで、「階層性」(hiérarchie)という「枝分節集団」の1つの要素が指摘されている(”枝”という語が用いられるゆえんである。)。
 1人の人間を頂点とする、ピラミッド型の階層を成す集団なのである。
 本来、échange による上下関係は暫定的・可変的なもののはずである(なので、義理チョコの返礼として高級化粧品等を贈ると、この上下関係は逆転する。)。
 だが、ポトラッチ、あるいは、それには至らないものの返礼困難な贈与を用いることによって、この上下関係は恒久的なものとなる。
 つまり、部下は従属関係から脱け出せなくなる。
 こうして”階層性”が生じるわけである。
 
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