Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

カイシャ人類学(2)

2022年05月01日 06時30分52秒 | Weblog
2回目のドラマ化『悪女(わる)』。30年前の日本企業に驚愕する原作と読み比べ!【3巻無料公開】
 「物語のはじまりは、巨大商社オウミの入社式。大勢の新入社員の中に、田中麻理鈴(まりりん)の姿もありました。この名前は、父がマリリン・モンロー好きだったことから付けられたものでした。麻理鈴いわく、三流大学を四流の成績で卒業し、父の友人のコネでこの会社に入社することになりました。
 「女性は結婚までの腰掛けで、出世なんて考えられない時代でしたが、麻理鈴は真面目に働いて社会人としてどこまでいけるか、そして出世すれば名前も知らない彼にたどり着くことができるのでは、と思い、峰岸さんの誘いに乗ることを決意。

 ”(一般職女性社員の)コネ入社”、”腰掛け”などというワードを聞くと、私などは余りの生々しさにちょっと引いてしまう。
 30年前の(一部の)カイシャでは、殆どの女性たちはこういう風に見られていたのだ。
 これを人類学的な観点から考察してみる。
 (コネで入社した腰掛けの)「一般職」という言葉は、彼女らが当該集団における恒久的な構成員ではないことを意味しており、麻理鈴は、オウミ(平成版のドラマでは「株式会社近江商事」)という集団において、échange(エシャンジュ)の客体として扱われていたことを意味する。
 その麻理鈴が「出世」を目指すということは、彼女が、échangeの客体たる地位を脱して、その主体たる地位に昇格することを意味する。
 だが、その動機は「運命の彼」(落としたコンパクトを拾ってくれた男性社員)に再会したいというもので、要するに社内恋愛だった。
 どうやら、オウミ(又は「株式会社近江商事」)は、(先日私はちょっと誤解したけれど)社内恋愛をタブー視しない、”非exogamy型”集団のようである。
 そういえば、平成時代の総合商社では、社内恋愛/結婚がかなり多かったという記憶がある。
 ちなみに、私の観察(フィールド・ワーク?)によれば、社内恋愛/結婚をタブー視する集団(”exogamy型”集団)は、一般に相応の資金力・権限を有していて、「自己増殖力」があるため、集団の拡大を志向することが多い。
 そして、この種のカイシャは、外部の集団との関係を強化する狙いから”族外婚”を奨励する傾向がある。
 カイシャの構成員が政・官・財界の重要人物の令嬢と結婚し、母系的(cognatique:コニャティーク)ネットワークを作って集団の自己増殖を図るわけである。
 対して、社内結婚は、集団の自己増殖の機会を喪失させるものであるし、この種のカイシャにおける社内恋愛は不倫の可能性が高いため、いずれもタブー視される。
 ・・・もっとも、以上は全くの私見である。
 
コメント
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