Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

若手とベテラン

2023年12月07日 06時30分00秒 | Weblog
 ピアニストの滝澤志野さん「私がウィーン国立バレエで仕事を始めて、最も印象的だったダンサーの一人が、オリガ・エシナです。「こんな美しいダンサーがこの世にいるのか」と感動を覚えました。」(公演パンフレットより)

 会場に着くと、掲示があり、「オリガ・エシナは11月21日のリハーサル中の怪我により、本日の公演には出演出来なくなりました」と書かれている。
 その直後に上の記述を読むと、彼女の踊りを観れないのがいかにも残念という気がした(もっとも、その後Bプロには出演していたらしい。)。
 さて、当然ながら見どころは多いのだが、私が特に注目したのはベテラン勢:アリーナ・コジョカル&ワディム・ムンタギロフ「眠りの森の美女」第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ」、アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ&エルネスト・ラティポフ「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ」である。
 前者は、例によって軽々としたリフトやジャンプ、ソロを踊った後すぐに袖に引っ込まずパートナーのダンス開始を確認してから退場するところなどが印象に残った。
 後者は、ヴォロンツォーワの「両手腰」のグランフェッテが圧巻で、片手リフトのラティポフも安定感があり、二人とも軽やかな演技という印象。
 ベテラン勢は、ダンスを難しそうに重々しく見せるのではなく、さらりと軽快に見せる技術や、定番の演目は少しひねって新機軸を加える工夫があるようだ。

 「新国立劇場バレエ団初の試みとして、若手ダンサーにスポットライトを当てたガラ公演をお届けします。古典バレエ作品のパ・ド・ドゥの他、コンテンポラリー・バレエ界の鬼才ナチョ・ドゥアトによる『ドゥエンデ』を8年ぶりに上演。

 こちらは若手主体のプログラム。
 「バレエの美神」の数日後に同じ演目を観ると、さすがに素人でも若手とベテランの腕の差に気づく。
 ベテランの演技と比べると、若手は「重く見える」のである。
 ジャンプやリフトが重く見えるし、ジャンプやフェッテのときのふとした表情などに、余裕のなさが透けて見える瞬間がある。
 おそらくこれは、舞台経験を積むことによって克服していくべきものなのだろう。
 今回、芸術監督が敢えて若手ダンサーに古典の定番を踊ってもらうことにした狙いは、そのあたりにあるように感じた。
 他方、ナチョ・ドゥアトの「ドゥエンデ」は、ドビュッシーの音楽とパーフェクトにマッチしたコリオで、彼が「鬼才」と呼ばれる理由が分かる。
 若手の皆さんは、かなりアクロバティックなところも見事にこなし、息の合った素晴らしいダンスを披露した。
 初台駅のプラットフォームで聞える会話からすると、観客も大満足だったようである。
コメント
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