Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

カタリーナ、スケープゴート、フィロクテーテース(14)

2023年12月04日 06時30分00秒 | Weblog
(ネタバレご注意!)

 ネオプトレモスは、オデュッセウスの指示通り、フィロクテーテースが発作に陥った隙に彼から弓矢をだまし取った。
 フィロクテーテースは。弓矢で鳥獣を撃って命を繋いでいるため、これを奪われると生きていくことが出来ない。
 良心に苛まれたネオプトレモスは再びフィロクテーテースのもとに向かい、「一緒にトロイアに行こう」と説得を試みる。
 ここからのセリフの応酬は圧巻で、何度読んでも涙が出そうになる。
 このくだりは、おそらくシェイクスピアの全作品(とはいっても全部読んだわけではないが)を超える(と思う)。

ネオプトレモス「もうよい、呪いは。さあこの弓矢をうけとってくれ。
ピロクテテス「なに!まだわしを翻弄するのか。
ネオプトレモス「違う。神聖なるゼウスの、たぐいない御名にかけていうのだ。
ピロクテテス「おお、その言葉、まことならば嬉しいのだが。
ネオプトレモス「渡すのだ、うそ偽りはない。右手を出して、あなたの弓をとるがいい。
〔弓矢がピロクテテスに手渡されたとき、やにわにオデュッセウスがあらわれる〕
オデュッセウス「ならん!神よ証あれ、アトレイダイとアカイア人の名にかけて!
ピロクテテス「おおだれだ、倅、オデュッセウスではないか!
オデュッセウス「わしだ、見えないか!その小倅がなんといおうと、この手できさまを、トロイアまで引き立てていく!
ピロクテテス「だが、もうそうはいかぬ、この矢尻が眼にはいらないか!
〔ピロクテテス、ヘラクレスの弓を満月のようにひきしぼる。とっさにネオプトレモスがその狙いを制する〕
ネオプトレモス「ああ待て!それはならぬ、神々にかけて、その矢を射ることは許さない!
(p442~443)

 最後のネオプトレモスのセリフは、現代の刑事ものだと、弓矢が拳銃に変わって、
 「やめろ!撃つなら俺を撃て!
という感じになるところだろう。

 
コメント
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