このように、「加入礼」の”失敗”は「悲劇」につながることがある。
他方で、「加入礼」の”成功”が副作用を生むケースもある。
「本誌は、日大アメフト部で青春を送ったOBに今の思いを尋ねた。すると、驚くべき事実を明かした。
「報道が出た朝6時ころ、同期から『廃部になった』と連絡が入って、切なさを覚えました。そして、OB・OGに対して、マスコミの取材に応じないよう求めるLINEのメッセージも回ってきました。
薬物報道が出たとき、僕からすると『ついにバレちゃったんだ』という感じでした。僕が所属していたときから、すでにアメフト部のメンバーは大麻を吸っていました。
外国人選手が吸っていることの影響が大きく、吸っているのは上級生がメインでした。試合終わりやオフ前日に、屋上で吸っていましたね。僕も含め、ほかのメンバーは黙認している感じでした。
内田監督がいるときは、部内でトラブルがあっても監督の力で揉み消されたりしたんですが、監督が退いてからは幹部の力がなくなり、アメフト部の不祥事が表に出るようになりました」 」
軍事化イニシエーションの狙いは、「感覚麻痺化」と「無分節化」にあるのだが、この効果が度を超して、「感覚麻痺」+「無分節」の状態となった集団(いわば「麻薬を使用して一体となった集団」)が暴走するケースがある。
例えば、日本大学フェニックス反則タックル問題を思い出すとよい。
A選手は、監督やコーチの「相手のQB(クオーターバック)を1プレー目で潰せ」 という指示を「絶対」だと信じ、これを文字通り実践し、公衆の面前で傷害行為を行った。
これは、「(集団的)感覚麻痺」の状態にあって「チームのために」行われた行為であり、軍事化イニシエーションの副作用と言ってよいと思う。
こういうとき、おそらく選手の脳の中では、脳内麻薬が分泌されているのではないだろうか?
(ちなみに、松本俊彦先生によれば、リストカットなどによって分泌される脳内麻薬は、一時的には鎮痛効果をもたらす(「切るとスッとする」)が、鎮痛効果には慣れが生じやすく、自傷がエスカレートして自殺に至るケースもあるそうである。)
この種の現象は、「集団ヒステリー」と呼ばれることもある。
「自分があの場にいたら、(改ざんに)断固反対するという選択は、とても難しいと思うんですね。初めに局長に全部の資料を上げていなかったとしたら、自分にも後ろめたいところがあると思う人もいるでしょう。賢い人が集まって愚かな選択をするはずがないという人もいる。だけど、エリートが集まった集団ほど、答弁の整合性とか短期的な最適化を図った結果、大きな意味での不合理を行ってしまうことはある。財務省独特のヒエラルキーと、あの空気の中で集団ヒステリーみたいなものがあるのではないでしょうか。」
この事件に限らず、軍事化イニシエーションが奏功しすぎて、「集団ヒストリー」に陥った集団が不合理な行為に走ってしまう(しかも歯止めが利かない)ケースは多い。
ナチス・ドイツしかり、「昭和陸軍」しかり、大阪地検特捜部しかり、S銀行しかり、B.M.社しかり・・・・・・。
軍事化イニシエーションがその根本原因だとすれば、これを”解く”(リセットする)ことによって、暴走を防止することも出来そうに思える。
そのためにはどうすればよいのだろうか?