Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

遺伝子レベルの問題?

2022年04月20日 06時30分33秒 | Weblog
Chimpanzee Cannibalism | Planet Earth | BBC Earth(チンパンジーの共喰い)(閲覧注意)
The massacre in the town of Bucha by the Russian Army has shocked the world. (ブチャでの虐殺)(閲覧注意)
The Third Chimpanzee
Why rehearse these familiar depressing facts? And why try to trace the animal origins of our destructive qualities? If they really are part of evolutionary heritage, that seems to say that they are genetically fixed and hence unchangeable.
 「どうして気が滅入るようなこれらのお馴染みの事実を詳細に語るのか?また、どうして我々の破壊的な性質の動物的な起源を辿ろうとするのか?もしそれらが本当に進化における遺産の一部であるのならば、それは、こうした性質が遺伝子的に固定されており、変えることの出来ないものであると述べているように思われる。」(p4)

 まだ数ページしか読んでいない本について語るのは気がひけるけれど、「第三のチンパンジー」は、今私が最も読む必要を感じている本の一つである。
 その理由は、上に挙げた映像と写真を見れば一目瞭然だろう。
 亡くなった人たちに合掌。
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君のシニフィアンは(2)

2022年04月19日 06時30分06秒 | Weblog
オペラ対訳ライブラリー プッチーニ トゥーランドット 小瀬村幸子 訳/髙崎保男 協力
 トゥーランドット「この宮殿に、今や幾千年になる昔、絶望の響きがひびいた。そしてその叫びは、子々孫々を経てここに、私の魂に宿った!」(p50)
 名を秘めた王子「貴女は私の名をご存じない!私に私の名をお告げなさい、夜明けまでに!」(p58)

 東京春祭プッチーニ・シリーズ vol.3《トゥーランドット》(演奏会形式/字幕付)は無事開催されたが、私は、なぜ「ワーグナー・シリーズ」の方で、2018年に公演があったばかりの「ローエングリン」が今年の演目に採用されたのかが分かったような気がした。
 「ローエングリン」では「私の名を問うな!」(禁問)がテーマであるのに対し、「トゥーランドット」では「私の名を当ててみなさい!」がテーマとなっており、この2つの演目は対を成しているのである。
 興味深いのは、魂(anima)の同一性を判定する際に、「名」(nome)、ざっくり言えばシニフィアンを用いているところである。
 なので、私は、やはり「君の名は」(君のシニフィアンは)を思い出してしまうのである。
 
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国家と社会

2022年04月18日 06時30分24秒 | Weblog
【舛添直言】プーチンはなぜこれほど冷酷になれるのか
東方正教会文明圏の特質であるが、ロシア正教界のトップ、モスクワ総主教のキリルは、ロシアの内外の敵と戦うために、プーチンと共に団結せよと訴えている。ウクライナ正教会はこれと真っ向から対立している。今や東方正教会も分裂してしまった。
 プーチンは東方正教会文明が生み出した現代のツァーリであるという認識が必要である。ヨーロッパの政治家とは違うのである。
」 
ロシアでの独立系の世論調査で、プーチン支持率が83%と高いのは、単に政府のプロパガンダが効いているのみならず、ロシア人のナショナリズムを刺激しているからである。ロシア国民は、現代のツァーリ、プーチンに絶対服従なのである。
 ハンス・モーゲンソーは、その古典的名著『国際政治』の中で、ロシアの国民性に触れて、1851~52年にロシアに駐在したアメリカ公使の言葉を引用している。
 「ロシア人が世界を征服する運命にあるという奇妙な迷信が、ロシア人の間で行き渡っている。こうした運命観とその光栄ある報酬という考えに基づいて軍人に訴えれば、それが無駄に終わることはめったにない。最大の苦境のまっただなかにおかれているロシア兵を特徴付けている、あの驚くべき忍従と持久力は、この種の甘受に原因があった」
 これは、現在のロシア人にも十分に当てはまるものである。


 国家と社会の関係は、非常に難しい問題を含んでいる。
 「国家は(一部のエリートによる)政治に関わるが、社会は全国民の経済生活全般を包摂する」とか、「市民社会を基盤として、その上に統治機構としての国家が乗っている」という見方は、余りにも皮相である。
 この種の単純な二元論/二分論が通用しないことは、既に第一次大戦の時点で明るみになっていたはずだし、その後のナチスの台頭を見れば、「社会が国家を食い破る」現象があることも理解出来るはずである。
 ちなみに、わが国では、「国家が社会を利用して全体主義の強化を図る」という状況がみられた(台所からキッチンへ(8))。 
 ところが、このような見方だけでは不十分であり、「市民社会の地下ないし外」からの作用も考慮する必要がある。
 そうしない限り、ナチス発生のメカニズムやジェノサイドなどの分析は出来ないからである。
 端的には、例えば宗教(もっと広く言えば(集団的な)死生観)は重要であり、舛添氏はまさにそのことを指摘している。
 こうした視点がないと、「なぜロシア兵はウクライナの民間人に対してあれほどまでに残虐な行為をしてしまうのか」を理解するのは難しい。
 さらに、私見では、集団のレベルでの残虐性だけではなく、個人のレベルにおける残虐性についても分析する必要があると思う。
 ワイマール体制下のドイツ国民/市民や現在のロシア国民/市民の分析は重要だが、ヒトラー個人あるいはプーチン大統領個人の分析、つまり、「どうしてある種の人間は、他の人間に対してここまで残虐になってしまうのか」という問題意識も必要だと思うわけである。
 そうすると、またもや「闇」(無意識?)の世界に入り込むおそれがあるけれども、不健全な自我の拡張、典型的には「自己愛性パーソナリティ障害」というキーワードが浮かび上がってくるのである。
 このことは、日常的にパワハラ・モラハラやDV事件に対処している私としては、やはり指摘しておきたいところである。
 ・・・ところで、DVと言えば、こういうニュースがありましたよ。
 「敵は我にあり」?

過去のDV被害を明かした片山さつき担当相、対策強化に注力
 「第4次安倍晋三改造内閣唯一の女性閣僚の片山さつき男女共同参画相(59)が、ドメスティック・バイオレンス(DV)対策の強化に注力している。2月には、DV被害者が一時的に避難する民間シェルターへの支援策を協議する検討会を立ち上げ、女優の生稲晃子さんらをメンバーに選定した。片山氏は、今年に入って自らの過去のDV被害と立ち直った経験を明かしただけに、対策にかける思いはひときわ強いようだ。
 
 
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何かが起こる(4)

2022年04月17日 06時30分07秒 | Weblog
【重要】「東京・春・音楽祭2022」一部公演中止のお知らせ(4/14更新)
 「東京・春・音楽祭2022では、ブリン・ターフェル(バス・バリトン)が来日前のPCR検査で陽性と判定され来日できなくなったことを受け、誠に残念ながら4月16日「東京春祭 歌曲シリーズ vol.35 ブリン・ターフェル(バス・バリトン)&アナベル・スウェイト(ピアノ)」、及び4月19日「ブリン・ターフェル Opera Night」の2公演の中止を決定いたしました。公演を楽しみにしていただいていた皆さまには、大変申し訳ございません。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 今年は比較的順調に来ていた「東京春音楽祭」だが、ここにきてやはりアクシデントが起こってしまった。
 フィナーレの「ブリン・ターフェル Opera Night」の主役であるブリン・ターフェルが、PCR検査で陽性と判定され来日できなくなったのである。
 例えていうなら、「紅白歌合戦」でオオトリが出演できなくなったようなものである。
 これは残念というほかない。
 「神々の黄昏」のときにジークフリート役が降板した際、急遽ドイツから代役を呼び寄せるようなことも、コロナ禍のため不可能である。
 というわけで、フィナーレは来年に期待したい。
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眠くならないバッハ

2022年04月16日 06時30分17秒 | Weblog
ミュージアム・コンサート 東博でバッハ vol.58 三浦謙司(ピアノ)

 バッハと言えば、おそらく一般の人にとっては「眠くなる音楽」の代名詞のように思われているかもしれない。
 私も実際、「平均律集」のリサイタルで聴衆の約3割が寝ているのを目撃した記憶がある。
 なぜ眠くなるのか?
 私見では、その原因は、バッハの音楽が「舞踊」をベースにしているところにあると思う。
 バッハの組曲などでは、序盤は軽快なダンス風のテンポで音楽が展開していく。
 もちろん、この辺りでは眠くならない。 
 だが、人間は、ずっと踊り続けることは出来ず、どこかで休息が必要になる。
 というわけで、バッハは、中盤付近にゆっくりとしたテンポの、多くは短調のメロディーのパートを持ってくる。
 これが、おそらくは催眠術のように効いてくるのではないかと思うのである。
 そういう観点からすると、まず三浦さんの選曲が素晴らしく、いずれも「催眠術パート」が最小限に抑えられた曲となっている。
 加えて、東博平成館という会場の選択もよい。 
 狭い会場なので居眠りするとすぐバレるし、パイプ椅子なので後ろにもたれかかることも出来ないのだ。 
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袋小路(3)

2022年04月15日 06時30分48秒 | Weblog
Le chasseur noir Formes de pensée et formes de société dans le monde grec Pierre Vidal-Naquet
 ”Le <<cru>> et le <<cuit>> ont été tout simplement le cru et le cuit. Il n'est pas besoin de deduire.”(p22)
((古代ギリシャにおいて)「生の」と「煮た」は全く単純に「生の」と「煮た」という意味であった。(それを超えて)推論する必要はない。)
 
 これは、古代ギリシャ史・パリ学派の重鎮であるピエール・ヴィダル=ナケによる、レヴィ=ストロース的な思考とそのエピゴーネンであるジャン=ピエール・ヴェルナンマルセル・ドゥティエンヌらに対する批判(というよりはほぼ全否定)である。
 個人的には、「アドニスの園 ギリシアの香料神話」は面白く読めたのだけど、「こじつけによるコードの物神化」という批判を食らうとひとたまりもないことは確かである。
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袋小路(2)

2022年04月14日 06時30分32秒 | Weblog
クリティック再建のために 講談社選書メチエ
 「・・・近親婚のタブー等を極点とする婚姻ルールや神話がなぜ存在するのかと言えば、それはコードを再生産するためである、というのである。」(p202)
 「さて、問題はそうするとそのコードなるもののステータスである。レヴィ=ストロースはまさにこのコードをこそ社会構造であると定義する。・・・とはいえ、それこそが社会的実体のコアであるというのならば、甚だしい混乱である。実際、具体的な分析になると、陳腐さが際立つのである。その社会で発生している具体的な問題の特定に結びつかない。ましてそのような問題の分析や解決には全く繋がらない。」(p203~204)

 クロード・レヴィ=ストロースの思考に対する痛烈な批判である。
 おそらく最大の問題は、この種の”具体的な個人を超越する主体”(彼にとっての『コード』)を仮構するような思考がなぜ生じてしまうのかであり、「コードの物神化」によって自らそのような思考を助長してしまうようでは、袋小路に入り込むことが最初から目に見えていた。
 いわば「木乃伊取りが木乃伊になる」わけであり、さすがに本末転倒だろう。
 少なくとも、現在のロシアについてレヴィ=ストロース流の分析をしてみても、得られるものは乏しいのではないだろうか?
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袋小路

2022年04月13日 06時30分30秒 | Weblog
クリティック再建のために 講談社選書メチエ
 「しかるに、もちろん、クリティックの先端が袋小路に陥っていると考えるのには理由がある。例えば私が専門とする歴史学の第一線の研究において、ジェノサイドのような問題、エスニックな集団が惹起する深刻な問題、がようやく俎上に上りながら、これに有効に対処する方法、とりわけ史料操作ないし史料批判の方法、が構築されないということがある。かつてファシズムやナチズムについて真剣な方法的な試みがなされたが結局なかなか明確な結果に至らなかった、ということに比べても、現在の社会が抱える深刻な問題を歴史学は扱えないでいる。…多くの場合、社会のどこか深いところ、つまり人々の意識のなかなか説明できないレヴェルの部分、から問題が発生している。そしてまさにその領分に切り込めないのである。」(p8)

 このくだりを読んでから現在の国際情勢に目を移すと、「袋小路」の行きつくところがよく分かるように思う。
 人間はどうしてこれほどまでに残虐になり得るのだろうかと、暗澹たる思いに沈んでしまう。
 ちなみに、私は、人間には「チンパンジーへの退行」もあり得ると思うので、次のような現象がなぜ発生するのかについて、生物学者がどのように説明するか、非常に関心がある。
【※閲覧注意※】共食いするチンパンジー・微笑ましいチンパンジー・猿を襲って食べるチンパンジー動画
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盛り合わせ交響曲

2022年04月12日 06時30分03秒 | Weblog
東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.9 マーラー《交響曲第3番》
 第4楽章:「ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語り』からこの歌詞は取られている。その書物が発表されたのは、マーラーが第3番を作曲する約十年前。つまり、当時としてはほぼ最新の思想と呼んでかまわないだろう。・・・
 第5楽章:「この楽章の歌詞は『子供の魔法の角笛』に由来する。・・・」(公式プログラムp54)

 マーラーの3番は、彼の交響曲の中では一番長いらしいが、登場する演奏家と合唱隊の人数も多い。
 最前列のヴァイオリン奏者などは、ちょっと動くと舞台から落ちそうな勢いである。
 さて、この交響曲の第4楽章では、「ツァラトゥストラ」の「日の出前」が引用されている。
 歌詞とメロディーもよく調和していて、いい感じである。
 ところが、第5楽章で唖然とする。
 なんと、合唱隊と、第4楽章でソロパートを歌ったばかりの女性とが、「ペテロには罪がない」などと、イエスによる救済を高らかに謳っているのである。
 ニーチェがキリスト教を敵視・弾劾していることは周知のとおりだが、どうやら、マーラーは「ツァラトゥストラ」を斜め読みして、歌詞に使えそうなところを、あまり考えずに引用したように思える(深読みすると、ニーチェとキリスト教を、交響曲において「和解」させようとしたのかもしれないが・・・。)。
 このカップリングはおそらく最悪で、「盛り合わせ交響曲」の欠点が出てしまったようである。
 卑近な例でいうと、社員旅行で部屋割りを失敗し、犬猿の仲にある二人の幹部を同じ部屋に配置してしまったような、気まずい雰囲気を感じる。
 もっとも、マーラーのような大音楽家に対して、日本のサラリーマンのような「人間関係を読む」配慮(忖度?)を求めるのは、筋違いの話かもしれないのだが・・・。
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循環する

2022年04月11日 06時30分57秒 | Weblog
魔の山 (下)
 「「・・・体の表面はこごえているが、動きまわったおかげで、体のなかには熱がたくわえられている。だから、ああ循環して(umkommen)、ヒュッテからヒュッテへぐるぐる回りはしたが、動きまわったのは全然むだではなかったのだ。・・・『循環する(umkommen)』とは、なんという言葉なんだろう?・・・」(p247)

 ハンス・カストルプは、ひとりで山にスキーに出かけたものの、吹雪に見舞われ、しかも道に迷ってしまい、ぐるぐる回っていることに気づく。
 (ちなみに、私はスキーでこういう経験をしたことはないけれども(これはまともに滑れないのが幸いしている)、山登りのとき、道に迷ったり途中で行き止まりに気づいたりして途方に暮れる経験ならときどきしている。)。
 この「第6章」の「雪」は、作者自身が「最も重要な部分」と呼んでいる。
 したがって、ここのメタファーないしアレゴリーを理解できるかどうかが、この長い小説における読解のかなめと言えるだろう。
 もちろん、小説の解釈に正解などあるわけないのだが、私見では、このくだりには、作者によるフロイト批判&パロディー(これは上巻の時点ではっきりと出ている)と、ニーチェに対するオマージュが秘められていると解する。
 それにしても、こういう長編小説は、十代の時に読むべきではないと痛感する。
 私も十代後半で「カラマーゾフの兄弟」を読んだけれど、おそらくドス(ドストエフスキーの愛称)からの重要なメッセージには、殆ど気付かないままスルーしたのではないだろうか?
 かといって、これから再読するにはなかなか時間がとれないし、また、「循環する」?ようで気が進まない。
 長編小説を読むのが難しいのは、学生時代に読むと誤読や空回りが多いし、社会人になると、今度は読むための時間が乏しくなってしまうからなのだ。
 
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