Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

イエv.s.疑似イエ、あるいはもう一つの大井競馬第3レース(8)

2024年09月10日 06時30分00秒 | Weblog
 今のところ、本命視されているのは追い込み馬の④:K.S.号であり、私も本命=◎を付けて良いと思う。
 K.S.号は、一見すると”イエ”の原理を体現した世襲政治家(四世)ではあるものの、「祖霊ナイン」の子孫ではないという点を見逃してはならない。
 曾祖父:小泉又次郎は地元の請負師で、藩閥とは無縁であり、この出自からしてA.T.厩舎とソリが合うはずがない。
 なので、K.S.号は地元のS.Y.調教師のもとに入厩(地縁結合)しており、そのことは調教師自身も公にしたばかりである。
 なお、S.Y.調教師は、かつて「世襲禁止」を強く主張したこともある「アラブの星」で、官僚OBでもなく、あえて言えば党人派として頭角をあらわした人物である。
 つまり、”疑似イエ”である「政党」を基盤としている。
 しかも、この調教師は、①:I.S.号とも友好関係にある。
 I.S.号も、”イエ”の原理を体現した世襲政治家(二世)ではあるものの、「祖霊ナイン」の子孫ではない。
 父:石破二朗は地元の農家の子で、帝大→内務官僚→政治家(鳥取県知事、参院議員)という、藩閥とは無縁の出自・経歴をもつ。
 このI.S.号は、マスコミの調査などによれば、対抗=〇の位置づけのようである。

 「自民党の石破茂元幹事長は17日、文芸春秋のオンライン番組で、菅義偉前首相との間に一定の信頼関係があるとの認識を示した。9月に想定される党総裁選で菅氏らの協力を得る考えがあるかを問われ、「菅氏とは一緒にいろんな苦労を共にしてきた。苦労を共にしたのは一つの信頼の要素ではないか」と述べた。

 さらに、S.Y.調教師は、ここに来て、ライバル:A.T.厩舎と提携していた⑪:M.S.号とも接近しているという情報がある。
 M.S.号は、「祖霊ナイン」とは無縁でかつ世襲でもない、いわば「党人派」なので、S.Y.調教師とは親和性(”疑似イエ”結合)がある。

 「「茂木敏充幹事長が麻生氏を見限って“菅詣で”を始めました。8月20日の夜、菅氏と都内の中華料理店で1時間半ほど会食。その後、茂木氏は“日本の将来について、とても良い話ができた”と喜色満面でしたよ」  
 茂木氏は決選投票で菅系候補を支援する見返りに、自身の要職への起用を求めたとみられるが、 
 「茂木氏はこれに先立つ14日に麻生氏と会食し、支援を要請して断られた。店から出た時の不機嫌な表情からも明らかでしたね」

 この情勢だと、「2位までに自分が”乗れる馬”を食い込ませる」というA.T.調教師の戦略は奏功せず、S.Y.厩舎の勝利ということになりそうである。
 以上をまとめると、今回のレースの構図はおおむね以下のとおり。

単なる馬どうしの競争ではなく、実態は調教師どうしの覇権争い:A.T.調教師 v.s. S.Y.調教師である。
イエ”(KON.T.号やK.S.号など)と”疑似イエ”(KOB.T.号やM.T.号など)の対立という単純な図式は当てはまらない。
その本質は、「祖霊ナイン」の子孫たち(A.T.調教師や出走を回避したK.F.号など)と「アンチ祖霊ナイン」(S.Y.調教師、K.S.号、I.S.号など)の対立である。

 要するに、今回のレースは、「藩閥存亡ステークス」なのである。
 このことを踏まえて予想を行うと、現状は、前述のとおり、「アンチ祖霊ナイン」が優勢である。
 このまま「アンチ祖霊ナイン」が勝利を収めた場合、「祖霊ナイン」の子孫たちは、非主流派に転落するか、派閥を実質的にも解散するか、ひいては引退せざるを得ない状況に追い込まれる可能性もある。
 その場合、「祖霊ナイン」の子孫たちは、党外に活路を求め、立民競馬場や国民競馬場、はたまた維新競馬場との提携を模索することになるかもしれない。
 ここで私が注目しているのは、「祖霊ナイン」の子孫たちと維新競馬場との連携が成るかどうかであるが、これについては、今のところは否定的に見ている。
 そもそも、「維新」とは”祖霊リセット”の意であり、かつての藩閥が行なったのは、まさしくこれだった。
 なので、藩閥の存続を志向する「明治維新」と、(明治以来の)既得権勢力の退場を求める「令和維新」とが両立することはあり得ない。
 短期的には提携可能かもしれないが、長続きはしないと思われる。
 かくして、可能性として残るのは、「祖霊ナイン」の子孫たちと立民競馬場又は国民競馬場との提携(連立?)ということになる。
 これが決して突飛な予想でないことは、既に一部の官庁が「立・国シフト」を敷いてきたことから理解出来ると思う。
 ・・・さて、結果はどうなりますことやら?
 普通に考えると、今回のレースは、馬券的な妙味は乏しいようである。
 だが、この11月にも予想される「政権交代ステークス」の方は、かなりの高配当となる予感がする。
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イエv.s.疑似イエ、あるいはもう一つの大井競馬第3レース(7)

2024年09月09日 06時30分00秒 | Weblog
 学歴で注目すべきは、私見では、中等教育と部活動である。 
 多くの場合、これで人間の思考・行動の傾向の大半が決まると思う。
 すると、(もちろん例外的な人も多くいるけれど、)日本有数の"勇ましい"学校と、これまた集団志向・集団思考を涵養し軍事化イニシエーションを多用する運動部(カタリーナ、スケープゴート、フィロクテーテース(7))という、究極のコラボレーションが発見された!
 しかも、この学歴(+運動部歴)と職歴との間には、極めて強い結びつきがある。
 Wikipedia:大蔵省から引用すると、
  「東京大学運動会漕艇部は、大蔵官僚予備軍ともいわれており、大蔵省の指定コースになっている。竹内道雄(元次官・1944年入省・東大法)と吉瀬維哉(元次官・1946年入省・東大法)が、東京大学に入学したばかりの長岡実(元次官・1948年入省・東大法)を漕艇部に勧誘し、そのまま大蔵省まで連れてきたことが始まりだとされる。それ以降、東京大学運動会漕艇部と大蔵省は密接な間柄になった。
 この省に限らず、中央官庁では、新人を”家畜”扱いしてシゴき抜くタイプの軍事化イニシエーションがなされることが多いが、こうしたやり方は、漕艇部OBなどが導入したのではないかと推測する。
 職歴について言えば、多くの「官庁」も「枝分節」の性格を有しており、「政党」と同じく、”疑似イエ”と言って良いと思う。

 「・・・さらには実際に儀礼的な競技が行われもする。こうした儀礼にいったん参加させることによって社会の成員は枝分節組織内のそれぞれの地位に収まっていくのである。一般に”rite de passage”と呼ばれるものはその一種であり、その経過で生じる儀礼=無分節状態への参加を人類学者はしばしば”initiation”と呼ぶ。そこに無分節の契機、”mystique”な契機が存在するのは当然である。そしてそれは軍事化に役立てられる。」(p118)

 「財務省の特徴はですね、一言で言うと、『超エリート』。・・・絵に描いたような経歴、・・・〇〇高校、東京大学法学部、みたいな・・・」(1分50秒付近~)
 「北朝鮮と、それから財務省は、よく似てて、財務省を国にしたようなものが北朝鮮みたいな感じなんですね。・・・よく大学で、『4年になると神になる』とかあるじゃないですか。あれがね、すごく定着してるんですよ。」(4分35秒付近~)

 むむむ、ということは、ずっと勤め上げれば、場合によっては「第一書記」にもなれるということか?
 ・・・とはいえ、この学歴と職歴だけでは、この「政党」のトップになることはまず出来ない。
 確かに、戦後、吉田茂、芦田均、岸信介、(池田勇人)、佐藤栄作、福田赳夫、(大平正芳)、伊東正義、中曽根康弘、宮澤喜一という、東大(京大、一橋)→官僚というコースで総理大臣になった馬たちはいるが、(内閣総理大臣臨時代理だった伊東号を除外すれば)芦田号、福田号、大平号及び中曽根号を除き、いずれも”祖霊ナイン”の子孫であることに注目すべきである。
 つまり、”祖霊ナイン”の血統(すなわちサラブレッド)でない限り、この「政党」のトップになることはまず出来ないのである。
 分かりやすい例が、「総理に一番近い男」と呼ばれ続けた加藤紘一号である。
 加藤号は、確かに東大卒の外交官で、世襲ではあるけれど、”祖霊ナイン”の子孫ではなかった。
 「プリンス」と呼ばれ、さんざんもてはやされたものの、サラブレッドではなかった。
 なので、総理大臣の座をライバルの小泉純一郎号に奪われたあげく、非主流派にとどまり続けたのである。
 恐るべし、”祖霊ナイン”(=藩閥)の呪い!
 このように、かつて多くの官僚政治家を生み出したこのK池会ですら、”祖霊ナイン”の子孫でなければ、領袖になることは出来ないか、なったとしても途中で亡くなったり(大平号)、派閥が分裂してしまったり(加藤号)したのである。
 そしてついに、近年では、官僚出身のアラブを厩舎にリクルートすることも少なくなってしまった。
 さらに、この「政党」全体、世襲が多くて受け入れ可能な厩舎が減ったこともあって、昭和末期から平成にかけて、官僚OBたちは他の「政党」の厩舎(アラブでも受け入れ可能)に登録して出走するようになったのである。
 ところが、この間隙を突いたのが、旧N階厩舎だった。
 もともと中曽根号のようなアラブが領袖を務めたこともあるこの厩舎は、”祖霊ナイン”の子孫でない(つまり、アラブの)官僚OBも受け入れ可能だったのだが、N階調教師の代になって、積極的に受け入れを行うようになったようである。
 こうしたリクルート方針を受けて、アラブであるKOB.T.号も、この厩舎に入ったのではないかと思われる。 
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イエv.s.疑似イエ、あるいはもう一つの大井競馬第3レース(6)

2024年09月08日 06時30分00秒 | Weblog
 今回、「(レース)展開」を作ったのは、逃げ馬の⑥:KOB.T.号と、追い込み馬の④:K.S.号であり、偶然にも二頭とも四十代である。
 KOB.T.号は、レース前は一般には余り知られていなかったが、あっという間に24人の「応援団」を集め、他の出走予定馬、とりわけ⑧:T.S.号を驚かせた。

  「高市氏が意識しているのは小林氏だ。小林氏は、21年の総裁選では高市氏の推薦人だった。高市氏と政治信条が近く、保守系の支持基盤がかぶる。そのため高市氏の支援者が小林氏に流れ、高市氏が総裁選に出馬するための推薦人確保が思うように進まなかった。

 また、KOB.T.号が逃げ馬として先陣を切ったことにより、年長の有力馬たちが一斉に出走を表明することとなった。
 そうしなければ、世代交代で一掃されてしまうと焦ったのだろう。
 まさしくペース・メーカーであるが、これによって、大井競馬第3レースではお馴染みの、「(そこそこ)多頭数によるレース」という舞台が整った。
 もっとも、このKOB.T.号については、ナゾが多い。
 第一のナゾは、いったいどの厩舎に所属しているのか、すなわち調教師は誰かという問題である。
 最大公約数的な答えは、現時点ではA.T.調教師(但し、担当者はA.A.調教助手)ということのようだ。

 「ポイントは、小林氏が旧二階派所属という点。
「対立する菅さんが石破茂さん(元幹事長)や進次郎を擁立すれば、そこに岸田総理が乗り換える可能性も。となると、麻生さんらは非主流派に転落しかねません。麻生さんは、自派の大物で経済安全保障族を仕切る甘利明さん(元幹事長)を通じて、彼の子分の小林を一本釣りすることにしたワケ」
 甘利氏と菅氏は、長年にわたって神奈川県で覇権を争うライバル同士だ。
「38人の旧二階派は、菅さんに近い親武田(良太元総務相)派と反武田派に割れています。小林の擁立で揺さぶられれば、菅さんと距離を置く反武田派は小林支持で動きますし、展開次第で派閥全体が麻生派に同調することもある。菅さんの復権を警戒する甘利さんの意向に沿う、現実的かつ巧妙なやり方といえます」

 新潮の記事からすると、KOB.T.号も、A.T.調教師にとっては”乗れる”馬ということになる。
 A.T.調教師とA.A.調教助手の狙いは、
T.S.号支持層を切り崩す(旧S和会の一部を取り込む)
旧N階厩舎の一部ないし全部を取り込む(併せてS.Y.調教師を牽制する)
といったところにありそう。
 まさに、ダーク・ホース(ダーク・ホーク?)!
 第二のナゾは、「サラリーマン家庭の子」であり、血統的には見るべきところのないこの馬(サラブレッドではなく、アラブ?)が、どうして”疑似イエ”である「政党」の中でトップ候補に名乗りを上げるところまで来たのか、という問題である。
 このナゾに対する答えは、馬柱の「戦績」(学歴、職歴)と、形式上属している旧N階厩舎のリクルート戦略にあると思われる。
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イエv.s.疑似イエ、あるいはもう一つの大井競馬第3レース(5)

2024年09月07日 06時30分00秒 | Weblog
 血統の次にどのファクターを重視するかは、予想家によって様々である。
 私見では、「(レース)展開」が重要だと思う。
 
 レース展開には、「前残り」「前崩れ」「その他」の3種類があり、これはそれぞれ上位1・2着に入線した馬の脚質によって分類されます。ともに「逃げ」「先行」で決着したレースは「前残り」、ともに「差し」「追い」で決着したレースは「前崩れ」、その他の組み合わせを「その他」とします。
 レース展開はペースの影響を受けやすく、スローペースならば「前残り」が発生しやすく、ハイペースならば「前崩れ」が発生しやすいという特徴があります。この前提が覆るときは、馬の能力の特徴によるものと考えられます。レースのタイプ分類と、レース展開の基本形の両方を併用することにより、馬の能力の特徴について言及することも可能となります。

 「(レース)展開」が重要なのは、これ如何によって、馬が持っている能力がフルに発揮出るか、あるいは全く発揮できずに終わるかが決まることがあるためである。
 例えば、「逃げ馬」(【このレースがスゴい!】大逃げ編 | JRA公式)の場合、ほかに競り合ってくる馬がいなければ、自分のペースで走れるので、「前残り」で勝つ確率が高まる。
 だが、そうでなければ、ハイペースとなって「前崩れ」となり、「追い込み馬」(このレースがスゴい!】追い込み編 パート1 | JRA公式)の勝機が出て来る。
 こうした観点から今回の「(レース)展開」を読むと、おおむねスローペースという印象である。
 というのも、9/6の時点で出馬表明したのは6名であり、各馬ともまだエンジンが十分稼働していないと思われるためである。
 そうなると、「逃げ・先行有利」で「前残り」の展開になるかと言えば、必ずしもそうとは言えない。
 「逃げ・先行」の馬は、活動期間を長くすることが可能である反面、その間に失言などが出て来て自滅したり、他の馬からターゲットにされるため、スキャンダルをリークされたりする可能性が高まる。
 つまり、ボロが出やすく叩かれやすい。
 このレースもまさしくそうで、真っ先に出馬を表明した ⑥KOB.T.号を筆頭として、逃げ・先行の馬たちは基礎体力などに難点があり、直線で息切れしそうな気配を感じる。
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イエv.s.疑似イエ、あるいはもう一つの大井競馬第3レース(4)

2024年09月06日 06時30分00秒 | Weblog
 「明治から現在まで続く世襲家系図」によれば、(私が勝手に付けた呼び名)「祖霊ナイン」(生年順)とその代表的な産駒(子孫、但し姻族や養子縁組による繋がった親族を含む。)は以下のとおり。
 (さすがにイニシャルというわけにはいかないので、実名を記載する。)

① 西郷隆盛(薩摩藩士の子)・・・鳩山由紀夫
② 大久保利通(薩摩藩士の子)・・・橋本龍太郎、麻生太郎、安倍晋三
③ 広澤真臣(長州閥のトップ)・・・池田勇人、鳩山由紀夫
④ 岩崎彌太郎(土佐藩の郷士)・・・鳩山由紀夫
⑤ 徳川慶喜(徳川イエ出身の最後の将軍)・・・平沼赳夫、細川護煕、麻生太郎
⑥ 山尾庸三(長州藩の重臣の子、長州ファイブの一人)・・・池田勇人、鳩山由紀夫
⑦ 後藤象二郎(土佐藩士の子)・・・鈴木善幸、宮澤喜一、岸田文雄
⑧ 伊藤博文(長州藩士、松下村塾出身)・・・安倍晋三
 「安倍晋三元首相のルーツ」が分かりやすい。
⑨ 桂太郎(長州藩士)・・・安倍晋三

 ちなみに、長州閥と薩摩閥は,明治の頃から婚姻や養子縁組によって拡大を図ってきたが、このやり方は最近まで続いていたようである。

 「山口県は初代の伊藤博文以降、これまでに全国最多の8人の首相を輩出。8人の通算の首相在任期間は2019年11月20日時点で1万5268日となり、初代の伊藤が就任した日からの4万8911日のうちの31.2%を占める。"首相の座"占有率では、山口県が東京を圧倒する。

 「時代はやがて大正、昭和となり平成となった現代ではもはや旧国名や藩名を云われても若い世代はピンとこない人が多くなりました。そうなると、「長州閥」「薩摩閥」なんていうものは古色蒼然と…と、思いきや、上記の系図のとおり現在の政治の中心にいる安倍首相や麻生太郎氏はまさに長州藩、薩摩藩の末裔です。
 そして、その親戚関係にはご覧のとおり歴代総理大臣の名前が多数みられます。先ほど、安倍首相と麻生太郎氏の親戚関係の中で「いとこの奥様の…って、意外と遠い関係」という旨を書きましたが、実はこの配偶者(婚姻)こそが有力家同士を結び付けている訳です。

 こうした事実を見る限り、
 「藩閥政治は護憲三派内閣(加藤高明内閣)の成立とともに終焉をむかえた」とか、
 「藩閥は山縣有朋の死によって衰退・消滅した
などという記述は、将来の日本史の教科書では訂正される可能性があるだろう。
 つまり、「藩閥」v.s.「政党」という大正期に見られた対立状況は、実は表層のものに過ぎず、数十年を経て、「藩」が内包する”イエ”の原理が、「政党」の中にも浸透してきたのかもしれない。
 現在の政界の状況を、例えば原敬が見たとすれば、
 「なんだ、ハンバツがハバツに置き換わっただけじゃないか!いや、ハンバツが復活してるじゃないか!
と怒りを露わにするかもしれない。
 かくして、派閥の連合体である「政党」も”イエ”化したのだと思われる。
 但し、「政党」は、派閥の領袖などを中心として、”イエ”を組成する構成員を内包しているが、全体としてみた時は、「藩」のような純然たる”イエ”とも違う。
 なぜなら、トップの地位は世襲されず、レース(選挙)で決せられるからである。
 なので、この種の集団を、”疑似イエ”と呼ぶことにしたい。
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イエv.s.疑似イエ、あるいはもう一つの大井競馬第3レース(3)

2024年09月05日 06時30分00秒 | Weblog
 さて、本来であれば、次にもう一つの「人」の要素である「騎手(ジョッキー)」について検討すべきところだが、今回はこれに相当するものが見当たらないので割愛する。
 こうしてようやく「馬」(候補者)の検討に入るわけだが、高本公夫氏のような予想家は別として、やはり、「血統」は最も重要なファクターであると考えられている。
 今回のレースでも、①、②(但し、娘婿)、④、⑨、⑩ の5名(5頭)が「血統」のすぐれた「世襲候補」であり、とりわけ④(K.S.号)は、元首相の息子として大きな注目を浴びている。
 この「血統」だが、”イエ”と言い換えた方が本質を捉え易いと思う。
 この”イエ”は(ついでに言うと、派閥ないし党という集団も)、基本的に「枝分節」の性質(ものすごく大雑把に言うと、主体間の関係が非対称的(優位/劣位)であること)を持っていると見てよいだろう(なお、「枝分節」の正確な定義は「政治の成立」p82以下をご参照)。
 私見では、日本で長らく猛威を振るってきた枝分節集団は”イエ”であり、日本人が集団を組成する場合は、中学校の部活であれ、刑務所内のグループであれ、だいたい”イエ”の原理が作用していることが多いと思う。
 しかも、これは、集団の組成・維持・拡大のための行動原理であるだけでなく、一種の宗教でもある((カイシャ人類学(8)))。
 そして、先に挙げた5名(5頭)は、もろに”イエ”の原理を体現しているのである。
 面白いのは②(K.K.号)で、「娘婿」でも”イエ”の当主になることが出来ること、すなわち西欧の”agnati”(父系)原則をとらないという、”イエ”の特殊性をあらわしている。
 さて、柳田國男の指摘によれば、”イエ”にはいわゆる「祖霊」が存在する。
 そして、現在の政界につながる「祖霊」の始祖は、19世紀前半に誕生した、薩摩・長州・土佐の藩士又はその子孫8名と(意外だが)徳川慶喜の計9名である(以下、便宜的に「祖霊ナイン」と呼ぶことにする。)。
 しかも、彼らの子孫が、現在の政界(と財界)でも猛威を振るっている。
 誤解を恐れずに言うと、
藩閥政治は今も続いている
のである。
 これがウソだと思う人は、「世襲議員という巨大な差別 差別の歴史を遡ってわかった! 」の、末尾の「明治から現在まで続く世襲家系図」を見てみると良い。
 念のため補足すると、江戸時代に存在した最大の”イエ”は、「藩」だった。
 ”イエ”は「入れ子構造」を成しており、個々の”イエ”は、より上位の”イエ”に組み込まれる形となっていたが、その最上位に「藩」が位置していたのである。
 (なお、ここでは、江戸時代の統治体制を「各藩による連合国家」とみる立場を採用している。)
 
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イエv.s.疑似イエ、あるいはもう一つの大井競馬第3レース(2)

2024年09月04日 06時30分00秒 | Weblog
 大まかな馬柱(出馬表)が出た時点ですぐに馬の分析に入るのは、素人がやることである。
 プロの予想屋であれば、おそらく、馬を見る前に、それを走らせる人を見るはずである。
 すなわち、厩舎、調教師(派閥の長、あるいは背後にいる人物)である。
 この観点からすると、このレースでは、いわゆる「多頭出し」をしている厩舎があることに気付く。

 「現在のところ、志公会では、甘利明前幹事長ら4人が小林鷹之・前経済安全保障担当相を支持しており、山東昭子前参院議長ら3人以上が上川氏を支持しているが、いずれも1回目の投票で勝ち残れるかどうかは微妙なところ。もっとも麻生氏が推す河野氏が確実に勝利する保障もないから、こうして派閥の票を「ばらして」いくつもりなのだろう。  
 麻生氏が「敵」とするのは、麻生氏とキングメーカーの座を争う菅義偉前首相と、2009年に“麻生降ろし”の急先鋒を担ったと言われる石破茂元幹事長だ。

  • 大前提として、多頭出しの有無に関わらず穴馬の方が期待値は高い
  • 格言どおり、同一厩舎内では下位人気の馬ほど期待値が高い傾向がある
  • 同一厩舎内1番人気の馬は、レース全体でも最上位人気であれば期待値が高い
  • 同一厩舎内下位人気の馬は、全体的に期待値が高い傾向にあるが、大穴馬の場合の期待値は低い
 私にも、A.T.厩舎は、「票を割って保険をかける」という戦略をとっているように見える。
 具体的には、明示的に支持しているKON.T.号だけでなく、I.S.号(過去の遺恨あり)、K.S.号(最大のライバルが調教師)、N.S.号(バックが地元の宿敵)の3頭を除く全ての候補が、おそらく”乗れる”候補と思われる。
 なので、”乗れる”候補が2位に食い込んできた場合、決選投票で票をまとめてその候補を勝たせるという戦略を描いているように見えるのである。
 そして、「多頭出し」の場合、データによれば、最上位人気馬も、穴馬も、どちらも来る確立が高いようなのだ。
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イエv.s.疑似イエ、あるいはもう一つの大井競馬第3レース(1)

2024年09月03日 06時30分00秒 | Weblog
 「国民民主党の榛葉賀津也幹事長は21日の記者会見で、約10人が出馬に意欲を示す自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)の情勢について、「本命が見えない。競馬で言ったら『◎』(=本命)や(2番目に勝つ可能性が高い)『〇』がなく、(3番目に勝つ可能性が高い)『▲』、(2着になりそうな)『△』ばかりで、予想屋も予想できない大井競馬の第3レースみたいに誰が来ても分からない」と語った。

 2週間ほど前に有力馬が出走回避を発表してからというもの、テレビもネットも毎日競馬のニュースばかり。
 と言っても、大井競馬場で開催されるレースのことではなく、永田町で開催されるレースの方である。
 出走が予想されるのは、以下の11頭。
① I.S.号
② K.K.号
③ K.Y.号
④ K.S.号
⑤ KON.T.号
⑥ KOB.T.号
⑦ S.K.号
⑧ T.S.号
⑨ N.S.号
⑩ H.Y.号
⑪ M.T.号
 このうち、いわゆる「世襲」のカテゴリーに入るのは、①、②(但し、娘婿)、④、⑨、⑩の5名。
 東大卒も、②、③、⑥、⑦、⑩、⑪の6頭と多い。
 面白いと思ったのは、海外留学経験のある出走馬が多いことで、③⑥⑦⑩⑪(ハーヴァード大ケネディ・スクール)、④(コロンビア大SIPA?)、⑤(ジョージタウン大、但し学士)と7頭もいる。
 意外なことに、⑧は海外での勤務歴はあるものの、海外では学位を取得していないようである。
 こういう状況なので、予想屋としても、「血統」や「実績」一辺倒ではなく、「海外留学経験」、「海外勤務経験」などの要素も加味する必要があるだろう。
 なお、女性は、③、⑧、⑨の3頭が出馬。
 
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辞めた人にも優しい組織

2024年09月02日 06時30分00秒 | Weblog
 「エチュード」
振付:ハラルド・ランダ―
音楽:カール・チュルニー/編曲:クヌドーゲ・リーサゲル
東京バレエ団初演:1977年5月4日、東京文化会館
8/31(土) 秋山 瑛、宮川新大、秋元康臣(ゲスト)
9/1(日) 秋山 瑛、宮川新大、池本祥真
 「ドリーム・タイム」
振付:イリ・キリアン
音楽:武満徹
東京バレエ団初演:2000年5月27日、東京文化会館
沖香菜子、金子仁美、三雲友里加、宮川新大、岡崎隼也
 「かぐや姫」よりパ・ド・ドゥ 
演出振付:金森 穣
音楽:クロード・ドビュッシー
東京バレエ団世界初演:2023年10月20日、東京文化会館
かぐや姫:秋山 瑛
道児:柄本 弾
 「ロミオとジュリエット」第1幕よりパ・ド・ドゥ 
振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
東京バレエ団初演:2022年4月29日、東京文化会館
ジュリエット:足立 真里亜
ロミオ:池本 祥真
⑤「ボレロ」
音楽:モーリス・ラヴェル
振付:モーリス・ベジャール
東京バレエ団初演:1982年7月19日、東京文化会館
メロディ:上野水香(ゲスト・プリンシパル)

 NHKホールで開催される東京バレエ団の公演に行くのは、これが初めてである。
 東京バレエ団の”ホーム”は東京文化会館だが、近いうちに建て替えが予定されているため、今のうちに臨時の”ホーム”をいくつか作っておきたいという狙いがあるのかもしれない。 
 だが、本当のところはよく分からない。
 第一部の演目「エチュード」が始まるや、普段と違う会場ということもあってか、登場するダンサーの緊張ぶりが目につく。
 群舞のダンサーたちの足元が震えているだけでなく、主役どころの一部ですら、普段はまず見られない着地で足元がブレる場面が見られた。
 題名のとおり、「バレエの練習風景」を描いたものだというが、これほど激しい動きを毎日レッスンでやることはまず考えられない。
 最後は皆さん肩で息をしているような状況であるが、びくともしない秋山さんの安定ぶりが光る。
 第二部の最初の演目「ドリーム・タイム」は、武満徹の音楽に乗せて夢幻的な世界をダンスで描写したもの。
 音楽にコリオがよくマッチしているが、キリアンと武満は仲が良かったらしく、二人で訪れたオーストラリア旅行での体験がモチーフとなっている。
 ちなみに、キリアンは、東京バレエ団のレパートリーに入っている「小さな死」でもそうだが、「地面に寝そべった男性が女性を持ち上げる」コリオが大好きで、この演目でも頻出する。
 続く「かぐや姫」のパ・ド・ドゥでは、またしても秋山さんが登場し、安定したダンスを見せる。
 結構スリリングなリフトなどもあるが、安心して観ていられる。
 第二部のラストは、ジョン・クランコ版ロミジュリのバルコニーのパ・ド・ドゥ。
 8月は世界バレエフェスティバルでマクミラン版を2回観ているが、いずれも音楽は生演奏で素晴らしかった。
 今回の東バは、東京シティ・フィルが来ているにもかかわらず、なぜか録音音源を使ったのだが、その分ダンスの迫力が落ちる。
 やはりこの演目は生演奏が必須だろう。
 第三部(というかトリ)は、言うまでもなく水野さんの「ボレロ」だが、今回は生演奏である。
 ダンサーの呼吸と音楽のリズムがマッチしており、録音音源版より優れているが、欲を言えば、金管楽器をもっと増やすとラストの迫力が増したと思う。
 カーテンコールには、新団長、新芸術監督やスタッフさんたちも登場。
 ところで、今回の公演で印象的だったのは、既に退団している水野さんや秋元さんが主役を務めたことである。
 こういうところから、このバレエ団は「辞めた人にも優しい組織」であることが窺える。
 今期の退団者の数をみても、東バは他の大手バレエ団よりかなり少ないのだが、退職者が少ない組織というのは、普通に考えるとよい組織なのだろう。
 ・・・そういえば、対照的な組織もある。
 辞意を告げた社員に対し、人事担当者が「二度とうちの敷居は跨がせないぞ!」と凄むカイシャもあるのだ(敷居を股がせない)。
(ちなみに、このカイシャは、はるか昔には、辞める社員に上司が「戻りたかったらいつでも戻ってこい」と声をかける、比較的まっとうな組織であったようだ(「「超」文章法伝えたいことをどう書くか」野口悠紀雄 著p223。その後、20~30年で異質な思考を持った勢力に乗っ取られたのだろうか?)。
 いや、フィクションの世界ではあるが、もっとすごいのがある。
 組織(とは言っても、3人組の掏摸グループ)から脱退するメンバーに塩を撒くだけでなく、恐喝をしてくる三次のような人物もいるのだ(6月のポトラッチ・カウント(2))。
 
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発見、再発見

2024年09月01日 06時30分00秒 | Weblog
《ロシア・アリアの恋の調べ》
・リムスキー=コルサコフ『サトコ』より
   "リュバーヴァのアリア"
・チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』より
   "オネーギンのアリア"
・ボロディン『イーゴリ公』より
   "ヤロスナーヴナのアリア"
橋爪ゆか、古川精一、金子みどり
[ピアノ] 小笠原貞宗
《ヘンリー・パーセルのイギリス歌曲》
・H.パーセル
   「暫しの楽の音が」
   「薔薇より香しく」
   「もし音楽が恋の糧ならば」
   「私の苦しみ全てをもってしても」
   「愛しいアストリアの姿から」
   「私の全て、私の光」
   「永遠に心塞ぎて」
   「トランペットを吹き鳴らせ」
太田三美、大原一姫、髙草木玲子、野崎由美、藤永和望、松堂美枝子、水野しのぶ、水野由加里、橋爪万里子、多田羅迪夫
[指揮]佐々木正利
[ピアノ] 古野七央佳

 二期会のコンサートはかなり行っているつもりなのだが、「駅伝コンサート」に行くのはこれが初めて。
 平日、しかも4時間半の長丁場なので、なかなか行けないのも当然ではある。
 曲目が沢山あって、聴いたことのない曲も多い。
 なので、新たな「発見」がいくつかある。
 驚いたのは、演奏機会の少ないリムスキー=コルサコフの「サトコ」やボロディンの「イーゴリ公」の中に、珠玉のような美しい曲があること。
 橋爪ゆかさんは、「サトコ」の”リュバーヴァのアリア”を完璧に歌い上げたし、金子みどりさんの”ヤロスナーヴナのアリア”も、びっくりするほど美しいメロディである。
 H.パーセルの歌曲を聴くのもこれが初めて(のはず)。
 陰影に富む歌詞が印象的だが、「私の全て、私の光」”My dearest, my fairest”を聴いていて、既視感を覚えた。

 「・・・ああ、なぜ愛の喜びはあまりにはかなく、あまりに甘いというのでしょう、・・・
 けれど、ああ、もしあなたが心変わりしたら
 ああ、そんなことはないと言って
 だめ、決して、私の光、
 だめ、だめ、私の全て、だめ、だめ
 
 日本語訳にするとちょっと笑ってしまうが、セリフは「卒塔婆小町」の詩人のそれと似ている。
 「没落現象回避型」(喪失恐怖症)の思考の持ち主を「再発見」したようである。
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