9月1日にポール・マッカートニーの名古屋ドーム公演のチケットを購入してから2つの心配事があった
一つは腰と股関節の具合がその日までに回復しているかどうか
地下鉄の駅からドームまで距離はあの時の体調では長く感じて、果たして無事に歩くことができるか
そしてもう一つは終電の時間に間に合うかどうか
新城市から名古屋ドームに行って、ライブを終えてその日のうちに帰るのは、結構スリリングなことと思っていた
ポールのライブはだいたい3時間で、6時半スタートとしても終わるのが9時半
帰りは出口が混雑するだろうからモタモタすると電車に間に合わなくなってしまわないかと、、
でも心配していても仕方ない、その時はその時、、と覚悟を決めて(大げさな)でかけた
ポール・マッカートニーのライブを見るのは3回目で前回は5年前の東京ドーム公演
その時は入場者の年齢は自分らと同じくらい、、つまり年配の人が多かった
ところが昨日の入場者の年齢は想像以上に若かった
入場待ちで自分の前の二人も一緒に並んだ彼も若かった
それで話しかけてみると、彼は20歳でポール・マッカートニーを良いと感じたのは
ロンドンオリンピックの開会式のヘイ・ジュードを偶然見た時からという
自分の時間感覚からすると、それはほんの最近のことに思えてくる
と同時に自分も年齢を重ねているんだ、、と改めて実感
彼は大学の授業をサボって来たという
その大学というのは北海道にある大学
ただ出身はこちらなので泊まるのは実家にして、交通費とチケット代を奮発したということだ
そこまでする行動力が羨ましいのと、ポール好きの自分としては若い人が興味を持ってくれたのは
他人事ながらどこか嬉しい
始まりは6時半だが、結局ワクワク感を抑えきれずに早めに入場した
会場は自分たちの演奏ではない録音されたものが流されていた
前回の東京ドームのときもそうだったが、流されている曲はまるでシャッフルされているかのように
いるんなアルバムから適度につまみ食いされている
ホワイトアルバムからのものもあればウイングス時代のものも、
ただ全体的な印象としてはその全てがハードロックぽい味付けのものばかりだった
前回の時はもう少しテクノ・ポップ的な要素の記憶があった
それとジョン・レノンの曲も割合多く選ばれていた
これは何かを暗示してるような思いを持ったが、、
やはりというか開演は少し遅れた
この会場に流れる音楽があのサージェント・ペパーズの最後の「ジャーン」という大音響に変わった時
そしてこれもやはり「the love you take is equal to the love you make」という文字がディスプレに現れた時
いよいよ始まるんだという期待感と、その音楽的な効果に少し泣きそうになった
セットリストは調べずにおいた
その場で次は何をするんだろうとワクワクしながらのほうが絶対楽しめるからだ
しかしフト「イエスタデイが演奏されなかった理由」などという記事が目に入ってしまった
当然それは読まないでおいたが、心にひっかかった
冒頭は「ア・ハード・デイズ・ナイト」ジョンとの共作だがジョンぽい曲
次に珍しい「ジュニアーズファーム」EP版で発売されたストレートロックの曲
それから「キャント・バイ・ミー・ラヴ」と続く
このあたりで今回のライブの傾向がわかってきた
選曲も音作りもハードロック系の感じが強くなっている
前回はもう少し音色がポップぽい感じなところがあったが、今回のポールは前のようにMCで時間を取ったり
楽器をあれこれ頻繁に取り替えて、時々ひょうきんなところを見せて笑いをとったりすることはなかった
(今回もあるにはあったが、前回ほどじゃないという印象)
それよりはロック音楽の演奏家ポール・マッカートニーというコンセプトで構成されているような印象をもった
「レッティング・ゴー」も重いロックの音色で進められる、ただ途中でこの曲がライブで取り上げられた理由がわかった
それは今回同行している金管楽器奏者の存在だ
曲の中間部分の繰り返しは金管で思いっきり吹かれると身体的な快感を感じるようだ
もしかしたら似たテイストでよく演奏される「レット・ミー・ロール・イット」は今回は無いかなとと勝手に想像した
(この曲はその後少ししたらやった)
次に新アルバム「エジプト・ステーション」から「フー・ケアーズ」
この曲は実演でやれば盛り上がるだろうなとCDを聞いたときから思っていたが、それは大当たり
このあたりで、今回これほどまでにハードロック系の構成にしているのは、
ポール自身の声の変化によるものではないかと思い浮かんだ
根っからの音楽バカ・ライブ好きのポールは喉を酷使し年齢も重ねたため以前のような優しそうな
そしてハモるのに効果的な音質の声は出なくなっている
それを自覚しているので現在できることの良い方法は太くたくましくなった声にふさわしい音楽を
選ぶこととしたに違いない、、きっと間違いない、、などと勝手に決めつけた
そしてジョンの影響を今になって感じているような、、
しかし、そうはいうもののポールの中には最初っからジョン的なものがあったのかも知れないとも考えたりする
音楽は聴いていて時に歌ったりするが、お得意の連想はあっちこっちに飛翔する
ビートルズ初期の「ラブ・ミー・ドゥ」「フロム・ミー・トゥ・ユー」は懐かしいが
やっぱりジョンの影響の強い曲を選んでいるのは、何故なんだろうとまた疑問が湧く
この日、3回ほど泣きそうになったが、1回目はライブのはじまりのとき
そして2回目は「エリナー・リグビー」をポールが歌い始めた時
突然理由もなく涙が出てきた
これまでとは違ってシンプルな編成で、声の掛け合いを中心にメロディを大切にした歌いっぷり
隣の隣の若者も大きな声で「Ah look at all the lonely people」と歌ってた
もちろん最初から最後まで、それにつられて自分も、、でも自分の声は大音量のせいで聞こえない
3回目は定番の「ヘイ・ジュード」の時
始まると、なんと美しい音楽なんだろう、、これまた理由もなくうるっと来た
会場も演奏者も一体となって例のコーラスを何回も繰り返す
会場の人は聴きに見に来ているのではなく、音楽に参加しに来ている
音楽に参加しているのは「ヘイ・ジュード」だけでなく「オブラディ・オブラダ」ときもそう
「Obladi oblada life goes on brahhh Lala how the life goes on」と大声で参加する時の気持ちよさ
ところで、帰り時間を気にしてるのは自分だけではなく隣りに座った女性もそうで
「ヘイ・ジュード」みんなで歌うところが済むと席を立った
(きっと時間が気になったんだろう、でもあのアビーロードメドレーを聞かないなんてもったない)
全体の流れからするとポールの代表曲「イエスタデイ」も「ロング・アンド・ワインディング・ロード」も
「マイ・ラブ」も、この日のテイストには合わない感じがして、それらが演奏されなかったのはなんとなく理解ができた
「ヘイ・ジュード」で一旦終了
アンコールでヘビメタの「ヘルター・スケルター」のあと、とうとうアビーロードメドレーになる
「ゴールデンスランバー」「キャリー・ザット・ウェイト」「ジ・エンド」とつながる音楽は
本当に効果的で楽しくて美しい(ギタープレーの掛け合いも楽しい)
このライブ全体を通して、ほっこりやさしい気分になれそうなのは、ひょうきんな
(もしかしたらモーツアルトもこういう性格じゃなかったのかとも思ったりする)
ポール・マッカートニーの人柄によるもののように思える
彼は「また来るよ、、」と言ってたみたいだけど、、、
いつもチケットを取る時は「これが最後」と思ったりしている、、
果たして次はあるのか、、、
会場がとても曲に合わせてきれいだったのは「レット・イット・ビー」のときのこの光景
スマホの明かりをみんなんでかざして、夜空に浮かぶ星みたいできれいだった
※撮影はフラッシュを焚かなければいいことになっていた(動画・録音は禁止)
大勢の人の姿をどこかのテレビ局が撮影したいた
みんなが立ち止まって、それぞれが撮影しやすいように前を空けて気を使っていたのがこの場所
※結局電車はギリギリで間に合い、その日のうちに自宅に帰ることが出来た
名古屋ドームのセットリストは
A Hard Day’s Night
Junior’s Farm
Can’t Buy Me Love
Letting Go
Who Cares
Got to Get You into My Life
Come On to Me
Let Me Roll It
I’ve Got a Feeling
Let ‘Em In
My Valentine
1985
Maybe I’m Amazed
I’ve Just Seen A Face
In Spite of All the Danger
From Me to You
Love Me Do
Blackbird
Here Today
Queenie Eye
Lady Madonna
Eleanor Rigby
Fuh You
Being for the Benefit of Mr. Kite!
Something
Ob-La-Di, Ob-La-Da
Band on the Run
Back in the U.S.S.R.
Let It Be
Live and Let Die
Hey Jude
Encore:
Birthday
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
Helter Skelter
Golden Slumbers
Carry That Weight
The End