パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

曲を聞いて思い浮かべる風景

2016年04月03日 09時35分25秒 | 徒然なるままに

音楽を聞くと風景が浮かぶということがある 
それは個人の生活の歴史・記憶に左右されるので
風景を見た時に思い浮かべる音楽よりは一般的ではないかもしれない

と大げさなことを何やら言い始めたが
全く個人的な(ということはどうでもいいこと)
音楽を聞くと思い浮かべる2つのシーンについて
徒然なるままに

一つは「ジークフリート牧歌」ヴァーグナーがコジマの誕生日に
階段で演奏したとか言うエピソードのある曲
特別好きというわけでもないが、一番最初にこの曲を聞いた時
頭に浮かんだ風景があった
よく晴れた小高い丘に、緑の背の高い草(もしかして麦)が風に揺れている
それはまだヨーロッパに行ったことのない頃に浮かんだのだが
とても鮮烈に覚えている
ところが、この風景見たこともないはずだったのに
自分が疾風怒濤の時代に後先も考えずドイツに出かけ
ヴァーグナーの聖地バイロイトの少し小高い祝祭歌劇場まで行き
歌劇場とは反対の方向
まだ開発されていなかった風景(緑の草など)を見た時
風に揺れて植物が光を反射している穏やかな風景は
音楽を聴いて思い浮かべたのはこの風景だった
と何故か妙に確信をもった
その確信を持った実感は今でも記憶に強く残っている

少し残念なのは昨年バイロイトに出かけ、その風景をみようとしたところ
季節も緑がない時期だったのもあるが、その穏やかな丘はもう既になかった
(生活感たっぷりの普通の風景しかなかった)
結局小高い丘からの緑の風に揺れる風景はもう記憶の中にしかない
そして記憶の中だけに、それは益々美化されて現実以上に切ない美しいもののように
感じられたりする 

しかし今でも超リアルな思い浮かべた風景とあの時見た風景の一致は
何だったんだろうと思わざるをえない
どこかでそんな風に思い込もうとしている脳の働きがあるのだろうか

どうでもいいこと、その2
ベートヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」第二楽章を聴いた時思い浮かべる風景
これは何故か無条件にウィーンのハイリゲンシュタットの エロイカガッセというか
ベートーヴェンハウスのあるあのあたりの風景が連想される
(ベートーヴェンはここハイリゲンシュタットで遺書を書き、田園等を作曲したらしい)
というよりあの風景がこの曲を生み出したと納得できる
田園を作曲したという川沿いの道はあまりにも貧弱で 想像力も働かなったが
ベートヴェンが実際に暮らしていて、いつも見ていた風景を(時代の経過で
多少違いはあるかもしれないが)実体験として見ると想像力は勝手に
働いてくれるようだ

あと曲を聴いていつも同じ光景が浮かぶのは
マーラーの5番の第2楽章(4楽章ではない)
ボーンウイリアムズのグリーンスリーブスによる幻想曲
辻邦生が肖像画を見て(触発されて)いくつかの小説を書き上げたが 
その気持がなんとなく解る気がする 


 

コメント
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