パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

とんでもなくいい加減な物語

2017年08月01日 10時52分20秒 | 音楽

オペラなどというと、その世界に縁のない人は「高尚」などとの言葉を使い
少しばかり距離をおきたがる人が人がいるが、そのオペラのなかには
とんでもなくいい加減な物語がある

姉妹には恋人がそれぞれいた
あるおせっかいな哲学者は、彼女の恋人の二人の若者に、女の貞節なんというものは
当てにならないとふっかけた
「そんなことはない!」
若い士官の二人は断固として哲学者の意見を受け入れない
そこで、賭けをすることとなった
それを手伝うのは、世間を知ったかぶりの女中さん

さて、どんなことをするかと言えば
この二人の士官は変装して、それぞれ今度は違う女性を口説くことにする
「どうだ、私の恋人は簡単に口説かれないだろう、、、」
と安心したいのだが、、、そのうちに、、、

これはモーツァルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」
高尚のイメージがあるオペラは、こんなとんでもないお話を扱っている
さすがにこの物語は道徳的にいい加減すぎて(?)真面目なベートーヴェンは
批判的な評価しかできなかったようだ

しかし、本当にとんでもない物語だ
こんなことを賭けにしてお遊びをするなんて、、
そう言えば、同じモーツァルトの「フィガロの結婚」もとても道徳的とは言えない内容だ
「ドン・ジョバンニ」もナンパ師を主人公にしているし

でも、それでも、このようないい加減な人たちなんだが
それだけにリアリティーがある
目的に向かって真面目に取り組むひとよりは、どこにでもいそうな
いい加減な人たちのその場その場での真面目さぶり、、
これは、ゆるい自分にはとてもしっくりくる
おまけにモーツァルトの音楽が、本当に出場人物に生命力を与えている

大好きな「魔笛」もその場しのぎの物語みたいにいい加減な物語
でも、好きなんだな、、
真面目だけでなく、いい加減な人も、、いても良い世の中、、
そんな人ばかりでは困るけど、弱い人間もいても良いとする世の中
それは吉本新喜劇にも通じるような、、肯定的な世界観かもしれない

でも、コジ・ファン・トゥッテはホントとんでもない物語だな 

コメント
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