バイロイト音楽祭の真っ最中なので、ヴァーグナーに関することについて
なかなか人物設定が面白いのが「ジークフリート」と「パルジファル」
楽劇ワルキューレの最後のシーンで周りを猛火で囲まれたブリュンヒルデを
救い出すことができる人物をヴォータンは以下のように暗示している
「炎よ、岩を包め
身のしびれるほどの恐怖をもて、臆病ものを去らしめよ!
ブリュンヒルデの岩は
神たるわしよりも
さらに自由なる者が征服するのだ」
そして、もう一度ヴォータンは繰り返す
「わが槍の穂先を恐れるものは、この炎を決して越ゆるな!」
音楽はジークフリートのライトモチーフが奏でられるので
乗り超えていく人物が誰かは容易に想像できるようになっている
この部分の音楽の饒舌さはわかっていても、ついハマってしまうが
今日は音楽のことではなくて人物設定のこと
「恐れを知らないわか者」それはジークフリートのことだが
彼は何も知らない故に神よりも自由で、やがて来る神々の黄昏を救いうる存在として
ヴォータンが期待した人物
この恐れを(何も)知らない、、ということは、大きく話は逸れるがどことなく
「よそ者、わか者、ばか者」という地方活性化のキーパーソン条件に
通じるところがあるような気がする
知らないこと、知らないが故になんでも行ってしまう、、その無鉄砲さと
可能性の拡大
小賢しい頭では解決できぬことを「恐れを知らない」ことにより
行動で突破し、その結果得られる未来(期待以上の)
気になるもう一人の人物、パルジファルも少し似た設定となっている
「同情により知を得る清らかな愚者」
これが楽劇パルジファルの舞台となる共同体を救う人物と暗示される
ここでも、やはり最初パルジファルは「無知」という設定になっている
どうやらヴァーグナーは「無知」 であることは、一つの力であると
考えているようだ
しかし、「無知」だけでは話は進んでいかない
結局のところジークフリートは、火を乗り越えてブリュンヒルデを見つけるときに
初めて「恐れ」を知ってしまうし、無知なパルジファルはクンドリーの誘惑の口づけで
同情という感情を得ることになる
確かに無知はそれだけに大きな力なのだが、それだけでなく
肝心な何かを知ることによって世の中を変えていくことができる、、、
ヴァーグナーの考えはそんなところにありそうだし、
ここでの多様な解釈が多様な演出につながっていくのだろう
無知であること、それだけ偏見がなくてニュートラルに反応でき
あらゆる可能性を自ら考えうることができる
しかし、「知ること」はその無知に更に大きな便利な材料を与える
10月に行われる新城市の市長・市議会選挙
現在は多くの人はジークフリートとかパルジファルの状態ではないだろうか
無知で(馬鹿にしているわけではなく、仕方ないものとして考えている)
ニュートラル(?)にいられると、自分では思っている可能性がある
しかし、「知ること」は、更にその判断を的確にするための材料になるはず
でも何を知る?
政策?マニフェスト?考え方?人柄?常々の仕事ぶり?
全部は知ることは出来ないが、一つでも真面目に知ろうとすることは
きっと無駄ではないと思いたいが、、