12月になって日本では第九のシーズン
演奏会に簡単に行ける地区に住んでいないので
レコード(CD)で我慢するしかないが
どうしても怖くて手を出せないレコードがある
フルトヴェングラー指揮 バイロイト祝祭管弦楽団による
有名な演奏
これが怖くて聴けない
何が怖いかといえば、以前聴いた時の感動が今度は
感じられないのではないかと言う不安
本当にこの演奏は半端じゃない
冒頭から深い意味を感じさせるが
途中から興が乗ってきたのを感じられると思ったら
あとは一気呵成で大河のように流れる音楽の奔流に
包まれる
そして、ライブなればこその、いい意味での効果的な演出
4楽章ではいつまで続くのかというフェルマータのあと
ごく小さな音で始まるその効果の凄さ
そして演奏者全員が炎のように燃えて最後に突き進む
これを初めて聴いた時は、圧倒された
そしてこんな夢みたいな時間は二度と体験できないだろうと
思ったりした
演奏という行為は1回勝負の世界なのだ
たまたまレコードという再生できるメディアを通じて体験したが
これは1回で十分、それこそ1回で十分元はとった感じがした
それからは、聴くのが怖くなっている
そういえば、聴くのが怖いのはまだある
同じフルトヴェングラー指揮のトリスタンとイゾルデ全曲盤の中から
2幕の有名な愛の二重唱のところ、ブランゲーネの警告のところまで
濃厚なロマンティシズムは、これもまた同じ感動が得られないのでは
と言う恐怖心がたってしまう
音楽は、クラシック音楽は慣れるまで楽しめないかもしれないが
一旦楽しむコツを覚えると、とてつもなく豊穣な世界が現れる
ところで、第9 やっぱり気合が入らないとこの演奏は聴けないので
今年は聴いたとしても違う人の演奏かな