パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

若き日の詩

2014年02月01日 21時24分54秒 | 創作したもの
昔は空想するだけで、どれだけでも時間を潰すことができた
そんな時、今では決して作ることのできない詩などを
書いた事があった

どんなことを書いたのかは、うすうす覚えていたが
急に思い立って日記を引っ張りだしてみた

古い歌だ
勢いだけの理屈になっていない詩にしか過ぎない
しかし、懐かしい、その時にしかつくれないような味わいもある

出来の良し悪しは別にして、振り返っても良い時期になっている

自分の生きた証というより、感性の変遷をたどる意味で
今書き移してみることとする
(ほとんどその時のまま)

【古代】

口唇を突き出して
シュメールと言ってみる
遠い昔の粘土板の思いが
薄暗い写真から
そっと訪れる

羽根の生えた獅子が
国を守り
蛇の冠をかぶった
髭の王が
国を司る

そこにだって生活はあったのに
過去はいつだって
夢の中だけにある

シュメールと
もう一度口唇を突き出して
言ってみる

強靭な体格の巨人が
かつてこの国を治めた
光のない国を恐れながら
巨人たちは死の世界を考えた

砂漠の中で
謎を発した動物は
やがて不幸な男により
退治された

死後の世界を信じた王は
自分の運命を知らなかったばかりに
時間と呆れるほどの労力をかけて
偉大な労作を促した

葦の笛は悲しみを歌い
木造りの小舟は
大河の中を彷徨った

人間たちの夢は
人間たちの幸福は
子どもの寝返りのように
そっと消えた


【無題】

僕の心は飛んでいった
白い羽根が生えて飛んでいった
だけど、空の天井にぶつかって
血だらけになって戻ってきた


【煙】

黒い屋根から
白い煙が
?の形をして
青い空に
のぼっていった

【夏】

陽は真上から石畳に照りつけている
ぐったりとカスターニエンの木は
しかし日陰をつくる
長椅子に寝そべった男の顔に
蜂が近づく
羽の音に気がつくが
男は目を閉じたまま
くすぐったい足の気配
ふいに土埃を挙げて風が吹く
蜂は飛ばされて
男から離れる

またのんびりとした夏の昼
男の首に汗が光る

【少女】

水をいっぱいにいれた透明のコップの向こうに
ぼんやりと見える少女は
(私の眼の焦点が少女に向かった)
自分の思いが
余りにも平面的に
その大きな瞳に表れていた
少女の前には
大理石のギリシア彫刻のような
少年がいるはずだった


【影】

季節外れの海に面して
壊れかかった2階建ての家がある
窓をあけっぱなしにしても
波の音もしない
私の影は沈む太陽につれ
どんどん長くなった
私は体の重さを感じなかった

【万年筆】

小さな容器の液体が
金の切れ目に流れる
エボナイトに、体温が残る


本当に何が言いたいのか分からない
というのが自分でも正直なところ
しかし、何故かこうでなくてはならない
という気もする

確かに自分にも若い時があったということ

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