-ishはかなり風変わりな、しかしよく使われる接尾辞(suffix)である。名詞や形容詞の末尾につけられる。-ishが付くと、「。。。のような、いくらか」(somewhat)、「およそ……ごろの」(approximately)という意味を表現できる。
○Practical Example
“Yeah, I’d love to see you tomorrow, Jennie. What time’s best?”
“How about twoish? That all right with you?”
「ジェニー、明日会いたいな 何時ならいい?」
「2時ぐらいはどう? その頃でもいい?」
twoishのような語は辞書にはおそらく載っていないだろう(-ishは、どんな辞書にも載っているが)。しかし、これは会話でも、そして文章でも、大変よく使われる。twoishは、「2時ごろ、2時ぐらい、2時前後」という意味になる。
●Extra Point
-ishは色や大きさ(サイズ)を示す語の末尾に付くことが多い。これによって、「……がかった、……気味の、……ぽい」といった意味が表現できる。
◎Extra Example
“What color is Etsuko’s new car”
“Well, it’s sort of bluish, maybe, well, kind of greenish.”
「恵津子の新しい車はどんな色?」
「そうだな、青っぽいかな。いや、緑ががっているかもしれない」
blueに-ishがつくと、bluishとeが欠落するので注意。bluishを載せている辞書もあると思う。実は-ishが末尾に付く語も辞書にかなり載っているのだ。ほかに何か思いつくだろうか? (明日のGetUpEnglishでいくつかご紹介します。)
誰かに何かをしてもらったことに対して、感謝の気持ちを表わしたいときは、“I am indebted to you.”と言う。日本語では「お世話になっています」「お世話になりました」が近いかもしれない。
○Practical Example
例えば、引越しをジョイスに手伝ってもらったとする。
“Thanks a lot, Joyce, for helping me out with my move. I am indebted to you.”
“Not a problem, Hiro.”
「ジョイス、引越しを手伝ってくれて、ありがとう。ほんとうにお世話になりました」
「全然よくてよ、ヒロ」
“Not a problem.” は、“No problem.”ということもできる。
●Extra Point
indebtedに修飾語がついて意味が強調されることもある。いちばんよく使われるのは、really, very, あるいはsoなどだ。これによって、「大変お世話になった」「とてもお世話になった」「大いにお世話になった」といった意味になる。
◎Extra Example
“My husband and I are very indebted to you for helping us with our English.”
“It’s my pleasure. Any time.”
「主人もわたしも、あなたに英語を教えてもらっていて、ほんとうに助かっていますわ」
「どういたしまして。いつでもどうぞ」
“That’s the thing!”は、何かをいいと思うときに、それに心から賛同できるときといったときに用いられる言い方である。日本語の「(まさに)それだ、そのとおりだ、うってつけだ」に当たると思う。
○Practical Example
“Ah, a cold beer. That’s the thing! Thanks, Nobu.”
“No problem. I could see you needed one.”
「ああ、冷たいビール。それが欲しかったよ! ノブちゃん、ありがとう」
「どういたしまして。あなた、ほんとにそれが飲みたそうな顔してたもん」
●Extra Point
“That’s the thing!”と同じ言い方に、“Just what the doctor ordered.”がある。しかし、この表現は医者や薬などには関係がない。単に「(まさに)必要なもの、(ちょうど)欲しいと思っていたもの」という意味で使われる。
◎Extra Example
“Ah, a cold beer. Just what the doctor ordered! Thanks, Nobu.”
“No problem. I could see you needed one.”
「ああ、冷たいビール。ほんとにそれが飲みたいと思っていたよ! ありがとう、ノブちゃん」
「どういたしまして。あなた、ほんとにそれが飲みたそうな顔をしてたもん」
どの国の英語のネイティヴスピーカーも、この言い方をよくする。“Forget it.”は“That’s fine.”と同じだ。日本語の「(いや)何でもないよ、構わないよ」という意味に当たる。
○Practical Example
“Thanks very much for all your help, Noriko.”
“Forget it. It’s nothing.”
「紀子、手伝ってくれてありがとう」
「こんなの何でもないわ。大したことないよ」
“Forget it.”だからといって、「それは忘れなさい」という日本語にしてはならない。
●Extra Point
“Forget it.”は、誰かが謝ってきたときに、「いや、 (それは)もういいよ、心配しなさんな」という意味で使われることもある。
◎Extra Example
“Oh, Noriko, I’m really sorry for what I said to Gary about you yesterday. I think I’ve spoiled your relationship with him.”
“Forget it. Just don’t do it again, okay?”
「ああ、紀子。昨日はゲーリーにあなたの噂を吹き込んでしまって、ほんとうにごめんなさい。わたし、あなたたち二人の関係を壊してしまったかな」
「いいのよ。でも、もう二度と彼にそんなことは言わないでね」
この場合、紀子は「いいのよ」といっているものの、その話し方や状況から、彼女が怒っていることがわかる。 状況や文脈によって、意味がすっかり変わってしまう。状況や文脈から切り離して語や表現を考えようとしても、意味がない。
to be specificは、「あることについて、しっかりとした、確固たる情報を与える」「一般的にではなく、特定して、特殊に、特別に」といった意味で用いられる。日本語では、「具体的に言うと」がこれに当たると思う。
○Practical Example
“Mochizuki, your ideas for the new environmental policy are too general. Please be specific.”
「望月君、きみの新しい環境政策に対する考え方は、あくまで一般論に過ぎない。もっと具体的に話してほしい」
ここで望月君は、新しい環境政策についてどう考えているか、もっと具体的に話してほしい、とお願いされているのである。
●Extra Point
specificの動詞形はto specifyだ。何がほしいか明確にするのであれば、それについて「特に」詳しく言ったり書いたりしなければならない。
◎Extra Example
“Please specify what you want, Mochizuki.”
“I’d like to. But I’m waiting on specific budget details from Noro. When I get those, I’ll be able to be more specific about the policy.”
「望月君、きみは何をしたいのか、詳しく話してほしい」
「そうしたいです。でも、野呂の予算明細を待っています。それをもらいましたら、政策について具体的に述べられると思います」
(昨日、「sureから派生した語にassureやinsuranceがあるが、これらの語と同じように、su-をsh-と発音する語がほかにも一つある」という問題を出しました。答えは……sugarです。みなさんなら、当然おわかりでしたね。あまりにも簡単で、問題として「甘かった」かもしれません。)
4月4日に、橋田力さんから、sureの使い方について教えてほしい、とのコメントをいただきました。
http://getupenglish.blog.ocn.ne.jp/getupenglish/2006/04/weve_been_expec_13d2.html#comment-2839346
もちろん、お答えしますよ、力さん。(Sure I can, Tsutomu.)
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“Sure.”(はい、もちろん、いいとも)は、アメリカやカナダだけで使われるものではない。確かに、アメリカ人やカナダ人以外の英語のネイティヴスピーカーは、“Sure.”をあまり言わないかもしれない。彼らアメリカ人やカナダ人以外の英語のネイティヴスピーカーは、“Sure.”にちょっと語を付け足して使うことが多いように思う。 例えば、“Sure I can.”(もちろん、できます。)あるいは“Sure it is.”(はい、そうです。)のように。
○Practical Example
“Can you give me a buzz tonight after 8:00?”
“Sure. What’s your mobile number?”
「今夜8時過ぎに電話してくれない?」
「わかった。ケータイの番号教えてよ?」
to give a buzzは「電話をかけること」である。to give a ringも同じ意味でよく使われる。
●Extra Point
“Sure.”の代わりに、同じ意味で“Certainly.”や“Of course.”もよく使われる。またこの頃は“Absolutely.”もよく用いられる。どれも大体同じ意味である。
◎Extra Example
“How about a game of golf this Sunday?”
“Sure. Absolutely. I’ll give you a buzz Saturday night to set up a time.”
「今度の日曜日にゴルフに行かないか?」
「いいね。ぜひやろう。土曜日の夜に電話するから、時間を決めよう」
ところで、sureから派生した語にassureやinsuranceがあるが、これらの語と同じように、su-をsh-と発音する語がほかにも一つある。おわかりだろうか? (答えは明日のGetUpEnglishをご覧下さい。)
to fancy somethingは、「たしなむ、好む、……が気に入る」「欲しい」という意味である。"What do you fancy?" で、「何かお好きですか?」(What would you like?)という意味になる。何をしたいか、何を見たいか、何を食べたいか、人にたずねるときに用いる。
○Practical Example
"Let's see a movie tonight. What do you fancy, a comedy or a love story?"
"Oh, I fancy something funny. Let's see the new Woody Allen movie."
「今晩、映画を観よう。どんな映画がいい? コメディ? それともラブストーリー?」
「ああ、笑えるのがいいわ。ウッディ・アレンの映画にしましょうよ」
●Extra Point
to fancyは「欲しい」という意味も示すと先ほど述べた。「何かをほしい」と伝えたいときは、"I (or, I'd) really fancy XXX now."と言えばいい。
◎Extra Example
"I'd really fancy something cold right now. It's so hot and I'm very thirsty."
"Would you fancy a beer?"
"Yeah, that sounds great."
「何か冷たいのが飲みたいな。ほんとに暑くて、のどがカラカラだよ」
「ビールでも飲む?」
「ああ、それはいいね」
“Can't complain. ”は、“I can't complain.”を短くした言い方である。おわかりのように、代名詞が省略されるのは、日本語だけではない! “Can't complain.”は、日本語の「まあまあだね、悪くはないね、こんなもんだろう」あるいは「まあ、なんとかやっているよ」ぐらいに大変近い。日本語で、「お元気ですか?」と聞かれると、「なんとかやってます」と応えることが多いと思う。英語をよく知らない日本人に、「なんとかやってる」に相当する英語はない、とぼくはよく言われる。“Can’t complain.”と「まあ、なんとか」は、まったく同じ意味ではないが、かなり近い。
○Practical Example
“Hey, Masa, how you doin'?”
“Can't complain.”
「よお、マサ、調子はどう?」
「まあ、なんとかやってるよ」
●Extra Point
“Can’t complain.”と言ったあとで、なぜ「不平を言うことはできない」か、説明したくなるかもしれない。その場合は、その理由をちょっと付け加えればいい。
◎Extra Example
“Hey, Masa, how you doin'?”
“Can't complain. Things are going pretty well these days.”
「よお、マサ、調子はどう?」
「なんとかやっているよ。ここんところなかなか調いいんだ(うまくやってるよ)」
○Practical Example
"Hi, I work in IT. What do you do?"
"Oh, I'm a high school teacher. Nice to meet you."
「こんにちは。ぼくはIT業界で働いてます。君は?」
「ああ、わたしは高校の教師をしています。よろしくお願いします」
●Extra Point
上の会話では最初に声を掛けた人が"I work in...."と、まず自分の職業を相手に知らせていることに注意。やはりこれが普通である。この言い方について、もう少し考えてみよう。
◎Extra Example
"Mr. Baba is in investment banking. But he used to be in advertising."
「馬場さんは投資銀行業務を行なっています。その前は広告業をしていました」
よって、"What do you do?"の代わりに"What are you in?" と言って相手の職業を尋ねることができる。("What are you in?" といきなり言っても相手には通じないかもしれない。やはり相手の職業は何であるかとか、何で生計を立てているかについて話しているときでないと、理解してもらえないだろう。)
“I’ll only be a second”は、ある場所を離れて、そこにすぐに戻ってくるつもりであるときに言う。日本語の「すぐに戻ります」に相当する。
○Practical Example
“I’m just going down to the garage. I’ll only be a second.”
「ちょっとガレージに行ってくる。すぐに戻るよ」
“I’ll only be a second.”とa secondと言っているが、それは「一秒」を指すわけではもちろんない。ガレージに行って帰って来るのであれば、やはり最低でも2,3分はかかる。a secondは「すぐに」「まもなく」という意味である。
●Extra Point
「すぐに」「まもなく」は、a secondのほかに、a few seconds, a minute, a moment, a little whileなど、ほかにも言い方がある。どれも基本的にはほぼ同じであるが、a little whileはa secondやa minuteよりもちょっと時間が長いように感じられる。
◎Extra Example
部屋で電話が鳴って、そこにいる友だちに言う……
“I’ll get it. I’ll only be a minute.”
「ぼくが出るよ。すぐ終わるから」
この場合の“I’ll only be a minute.”は「すぐ終わるから」という意味。状況から判断すると、この人が部屋のなかにいることはあきらかだ。
何と言ったらいいか、ちょっとそのことばを探しているときに、よく“How shall I put it?”と言う。日本語の「どう言ったらいいかな」に当たる。
○Practical Example
“I think I’m a bit sick. Uh, my tummy feels?how shall I put it??like I’ve eaten enough for three people.”
「ちょっと体調が悪いんだ。その、おなかに……何と言ったらいいかな……3人分の食事を詰め込んでしまったかのようだよ。
●Extra Point
“How shall I put it?”は、相手に自分が無礼であると思われたくない、礼儀正しく、遠慮深い(reserved)人間と思われたい、というときにも用いられる。“How shall I put it?”と言いながら、どう言えば相手を傷つけずに済むか、考えることができるのだ。
◎Extra Example
“Well, Horie, how shall I put it? We went to the restaurant you recommended and, frankly, it was, well, just okay.” 「ああ、堀江君、その、何と言ったらいいかな。君が薦めてくれたレストランに行ってみたけどね、正直言うと、まあまあだけだったよ(良くも悪くもなかったよ)」
“Just okay”は「まあまあ」という意味であるが、この場合は明らかに「かなりひどい」ということである。
“We’ve been expecting you.” 家に招待していた客人が到着したときは、よくこのように言って出迎える。日本語の 「お待ちしておりました」がこれに当たる。家に客人を迎えたときは、“waiting for you”ではなく、このように“We’ve been expecting you.”と言うのがよい。…waiting for…と言ってしまうと、「ずいぶん前からお待ちしておりましたよ」という感じになってしまう。
○Practical Example
“Hello, we’ve been expecting you. Please come in. Did you find the house easily?”
「今日は。お待ちしておりました。どうぞお入りください。すぐにわかりましたか?」
●Extra Point
動詞のexpectはなかなか面白い。expectは、元はラテン語のexとspectareの二つの語で成り立っている。exはout(外)、spectare はto look(見る)を意味する。(spectareは、spectacle[光景、見世物;美観、壮観、見もの]やspectacular[見世物的な;壮観の、めざましい、あっといわせる、はなばなしい、すばらしい、見事な]など、いろんな英語の語のなかに見ることができる。)よって、to expect someoneは、to look out for them(誰かに注意している、目を光らせている、見張っている)ということであり、「誰かを待っている」(to await them)という意味になる。
◎Extra Example
“I haven’t heard from Makiko, but I’m expecting her any day now.”
「真紀子からまだ連絡がないけど、すぐにもらえると思う」
any day nowは、ほんとうにすぐに(very soon)の意味で、明日とか明後日(あさって)とか、そのぐらいの近い将来を示す。
"Can you spare a moment or two?"は、誰かと手短に話したいときに用いる。日本語の「2,3分よろしいでしょうか?」に当たる。
○Practical Example
"Can you spare a moment or two?"
"Of course. What's on your mind?"
「ちょっと2,3分お時間いただけますでしょうか?」
「いいですよ。何でしょうか?」
●Extra Point
あとで誰かと話したいときも、"Can you spare a moment or two?"と言ったりする。
"Can you spare a moment or two around 4:00 this afternoon?"
"Yeah, 4:00's fine. Come to my office then."
「4時ごろ少しお時間いただけますか?」
「うん、4時なら大丈夫だよ。では、その頃研究室に来てよ」
◎Extra Example
こうした場合の"To spare"は、「忙しいにもかかわらず、時間を割いてもらう」という意味を示す。日本語では、「お忙しいですが、お時間の余裕はありますでしょうか」という感じがいちばん近い。
"Can you spare a moment or two for me today?"
"No, sorry, I have no time to spare today. How about tomorrow?"
「今日、ちょっと時間ある?」
「いや、今日はまったくだめなの。明日じゃだめ?」
誰かに何かを勧めるときに、特に相手に求められたあとで何かを勧めるときに、よくこの言い方をする。日本語の「ええ、どうぞ、どうぞ」がこれに当たる。かなりていねいな言い方だ。
○Practical Examples
"May I have a bit more sushi?"
"Sure, be my guest."
「お寿司をもう少し食べてもいいですか?」
「もちろんですよ。どうぞ、どうぞ」
●Extra Point
"Be my guest" と言ったあとに、相手がどうしてそんな親切心や善意(goodwill)を示してくれるのか、その理由が明かされることがある。先ほどの用例を使って言えば……
"May I have a bit more sushi?"
"Sure, be my guest. There's plenty more where that came from."
「お寿司をもう少し食べてもいいですか?」
「もちろんですよ。どうぞ、どうぞ。まだまだたくさんありますから」
"There's plenty more where that came from."は英語のクリーシェ(決まり文句)で、「まだまだたくさんあるから」という意味だ。クリーシェはこのように決まった形でしか使えない。語順など変えずに、そのままの形で言わなければならない。しかし、この"There's plenty more where that came from."も何度も口に出して言っていれば、いつのまにか覚えてしまうだろう。
●Extra Example
"Do you mind if I sit here?"
"No, not at all. Be my guest."
「ここに座ってもよろしいですか?」
「もちろんです。どうぞ、どうぞ」
誰かに何かしてほしいときは、その人にお願いして、彼もしくは彼女の「好意」や「親切」を乞うが、そうした「好意」や「親切」をfavor(favour)と言う。
“Can I ask you a little favor?”(ちょっとお願いがあるのですが。)といった形でよく用いられる。
“Can I ask you a little favor?”につづいて、“Would you…?”という言い方がされることがよくある。
○Practical Examples
“Can I ask you a little favor? Would you go to Tsutaya and rent me a DVD of ‘Howl’ s Moving Castle’?”
「ちょっとお願いがあるの。ツタヤに行って『ハウルの動く城』のDVDを借りてきてくれないかしら?」
●Extra Point
a little favorのlittleは、日本語の「ちょっと」とか「小さな」とか「ささやかな」と同じような意味で用いられる。実際、それはまったく「ちょっと」でも「小さな」で「ささやかな」お願いではなかったりする。
“Can I ask you a little favor? Lend me 2 million yen. I promise to pay you back someday.”
「ちょっとお願いがあります。200万円ほど貸していただけないでしょうか? いつか必ずお返ししますから」
このsomeday(いつか)とは一体いつのことか? これを明確に定義できる言語はまず存在しない。。