北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

雲仙普賢岳噴火災害 大火砕流から16年

2007-06-03 22:36:25 | 国際・政治

■自治体と自衛隊

 1991年6月3日、長崎県島原の雲仙普賢岳において大規模な火山災害があり、不幸なことに火砕流による人的被害はこの日だけでマスコミ関係者、火山学者や消防団員、警察官など43名にのぼった。

Img_0756  1989年より前兆現象が確認されており、長崎県、島原市は九州大学と第四師団との間で綿密な被害予想や住民避難に関する調整を行い、避難民は一万人以上に達したが、土石流や火砕流による住民人命への被害が局限となったことが、幸いであった。

Img_2487  陸上自衛隊第四師団は、大村の第16普通科連隊を中心とした島原災害派遣隊を編成し、約600名を以て火山活動監視や道路障害除去、被災者収容にあたり、過去最高の1658日にわたり活動を展開し、火山灰に覆われた地域へは75式装甲ドーザーが、また自治体関係者の現地視察には60式装甲車や73式装甲車、82式指揮通信車が活用された。

Img_0313  地表を覆った火山灰は車両や航空機の活動に大きな支障を来たし、6月6日には報道関係者を乗せた西部方面ヘリコプター隊のV-107A輸送ヘリが危険地域に不時着し、全員が無事であったが回収に第一ヘリコプター団のCH-47が出動している。

Img_9483_1  自衛隊の出動に関して議論のある阪神大震災とは対照的であるが、自治体と自衛隊の関係も対照的であった。自己完結能力を有する軍事機構は、持続力では自治体には及ばないものの、インフラなどが途絶した状況での活動能力は自治体とは比較にならない能力を有している。つまり、復旧は自衛隊、復興は自治体の責務である。

Img_1435  自治体の第一に挙げられる責務は住民の福祉であり、その責務の重要性は、平時の行政能力が途絶する大規模災害時においても変らない。この点、いち早い行政サービスの能力を復旧するべく、自治体と自衛隊は相互の能力を、首長・指揮官のレベルで平時から構築しておく必要があることを再確認しなくてはならないように感じた次第である。

HARUNA

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