■FH-70お手入れ
信太山駐屯地特集、本日は訓練展示終了後の火砲整備の様子を掲載したい。装備品展示会場近くで行われた様子で、非常に珍しいものである。
特科火砲は、訓練展示において陣地展開と空包発射を展示する。特に空包発射は、発射薬の燃焼ガスに点火することで、物凄い轟音と、高熱のガスが砲口から出た瞬間に空気を燃焼させる砲焔の迫力は一言では言い表せない。なお、東富士での3km実弾射撃では砲焔は出ないため、空包の方が発射薬は多いのではないかと考える。
勇ましい砲焔と同時に、火薬の燃焼によって生じる残滓は、放置すると砲身を腐食させる為、命中精度の維持や砲身の寿命を維持する為にも砲身洗浄は欠かせない。ペットボトルから液体(洗浄液か純水か、と思われる)を洗浄ロットにしみこませている。
班長が砲身の砲口からも液体を注ぎ、号令をかける。FH-70榴弾砲の操作要員は9名、FH-70について簡単に記すと、口径は155㍉、74式特大トラック(中砲牽引車)により移動するが暫定的な自走も可能な主力火砲である。
号令に合わせて、各員がロットを前後させる。液体が重要部分に掛からないようにであろうか、古着と思われるものが沢山敷き詰められている。野戦特科の隊員であるが、火砲操作時における自衛用に小銃を携行するため、弾帯にはマガジンパウチが装備されている。
特科射撃は、緻密な観測や弾道評定により目標を発見し、数十km先の目標に数十㍍単位の誤差で火力を投射する。訓練展示で示される砲焔も、こうした整備により、万一の際に有効な威力を発揮するのであろう。
装備品展示会場に到着したFH-70榴弾砲。砲を折畳んだ走行状態での登場である。信太山駐屯地祭へは姫路駐屯地から二門が参加、文字通り見た目が大砲であるFH-70には、終日子供達が行列を作っていた。
HARUNA
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