北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

信太山駐屯地創立50周年記念行事 観閲行進編

2007-06-19 00:35:27 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■普通科部隊の観閲行進

 信太山駐屯地祭詳報は、部隊整列編に続き本日は信太山駐屯地祭観閲行進特集を掲載する。陸上自衛隊の作戦部隊体系の中核は、普通科部隊である。これは師団の作戦基本単位である連隊戦闘団が普通科連隊を中核として編成されることから端的に見て取れる。

Img_8708  普通科部隊といえば、無反動砲小隊と迫撃砲部隊のみが車両化され、本部管理中隊隷下の車両小隊により若干の部隊が自動車化される、とかつては解説されたが、今日では自動車化され、一部は装甲化、また火力もミサイルなどにより強化されている。その様子を、本日は写真にて紹介したい。

Img_8416  連隊幕僚が乗車した82式指揮通信車を先頭に会場に入る。掲げられているのは連隊旗で、後方に続く車両は本部管理中隊本部班の車両である。その後方からは徒歩行進部隊が続く。通常の普通科連隊による観閲行進では幕僚の乗車した車両に続き徒歩行進が行われる。

Img_8422  昨年と同じ場所から撮影。信太山駐屯地は観閲行進を一段高い高台から、しかも正面あら撮影することが出来、モータープールも高台、しかも勾配の向こうにある為望遠レンズを用いた圧縮効果で、様々なアングルから撮影することが可能だ。

Img_8432  中隊旗を先頭に普通科中隊の各小隊から代表の一個小銃班が集められ、小隊規模の行進を展示する。普通科中隊は37連隊には五個あり、各中隊は四個の小銃小隊と対戦車小隊、中迫撃砲を装備する迫撃砲小隊より編成されている。

Img_8434  普通科中隊は戦闘基幹部隊として近接戦闘にあたり、小銃を中心とする携帯火器を以て陣地に立て篭もる敵を掃討し、奪取し、地域を警備する。観閲行進を行う部隊。多くは着剣した89式小銃を携帯しているが、MINIMI分隊軽機を携行する隊員も見える。MINIMI分隊軽機とは小銃弾を用いる機関銃である。

Img_8446  続いて誘導隊の観閲行進。89式小銃の構え方から違う彼らは、紛争地帯に取り残された邦人の救出を担当する部隊で、各部隊が持ち回りで配置する。個人装備もやや重いが高い防護力を有する戦闘防弾チョッキ2型を着用している。

Img_8454  本部管理中隊車両部隊の観閲行進。本部管理中隊は、偵察を行う情報小隊、掩体構築などの作業を行う施設小隊、通信小隊、衛生小隊などより編成されている。師団隷下部隊から一切支援を受けられない状況においても即応して部隊が行動する上で必要な装備が集められた部隊といえる。

Img_8697  施設小隊のドーザー。通常のブルドーザーであるが、自走した場合には充分な速度を出すことが出来ない為、73式大型トラックに載せられ運搬される。小型ながら陣地という地形防御に頼り戦闘を行う防御戦闘を遂行する上では、陣地は火力を防ぐ重要な役割を有し、従って施設器材の重要性は高い。

Img_8701  ホイールローダー、そして資材運搬車が観閲行進を行う。不整地においても装備を運搬可能な資材運搬車は中隊本部にも装備されており、人力運搬不能な装備をまさかという場所に配置し有効な複合陣地を形成する。その後方からは衛生小隊の救急車が続く。

Img_8468_2  普通科中隊の観閲行進。写真は高機動車。10名の普通科隊員を迅速に展開させる車両で、バンパーに書かれた所属部隊は第2中隊とある。装甲こそないものの1990年代より急速に普通科部隊への部隊配備が進み、東北や北海道の一部の普通科部隊を除けば配備が行き渡っている。

Img_8469  第三中隊と第二中隊の73式小型トラック。いわゆるジープと呼称された旧73式小型トラックに代わり急速に部隊配備が進む車両である。三菱自動車のパジェロを母体とした為、路上性能は素晴しく、舗装の進んだわが国においては路上移動速度が事態拡大防止の観点からは重要である。

Img_8473_2  高機動車に搭載された81㍉迫撃砲。車載下状態では恐らく射撃を行うことは危険が伴う。5600㍍の射程を有する中型迫撃砲で、発射速度が早く、軽量でどこへでも分解し人力輸送が可能。普通科中隊の迫撃砲小隊に配備、第一線に木目細かな火力支援を行う装備である。

Img_8476  軽装甲機動車。2001年より配備が開始され、毎年100輌以上が生産されている普通科部隊近代化の代名詞。第三師団には2005年より配備開始、37連隊には昨年から配備が開始された。写真は第五普通科中隊の車両で、訓練展示には第二普通科中隊の軽装甲機動車も参加、このほか本部管理中隊にも配備されていた。

Img_8487  01式軽対戦車誘導弾を携帯。この他にMINIMI分隊軽機を搭載する車両がある。軽装甲機動車は一個小銃班を複数の車両に乗車させることで一個小隊の車両数を増加させ、木目細かな戦闘を可能とし、また、乗車戦闘により高い機動打撃能力を確保することにあったとされる(参考文献:次世代の陸上自衛隊 かや書房)。

Img_8716_1  重迫撃砲中隊の120㍉重迫撃砲RT。持続射撃能力や命中精度では105㍉軽砲には劣るものの、射程延伸弾で13000㍍の射程を有し、射程では軽砲を凌駕している。重迫牽引車により高い機動力を有しており、普通科部隊へ直接支援火力を供している。

Img_8723_1  姫路駐屯地第三特科隊のFH-70榴弾砲。牽引式の39口径155㍉榴弾砲であるが、自走も可能である。

 後方には同じく姫路駐屯地より展開した第三高射特科大隊の93式近距離地対空誘導弾が後続している。

Img_8727  第三高射特科大隊の81式地対空短距離誘導弾発射機。近年、新型であるC型の配備が進んでいる。

 後続するのは第三化学防護隊から拡大改編された第三特殊武器防護隊の化学防護車、続いてモータープールからは機甲部隊が姿を現している。

Img_8504  今津駐屯地より展開した第三戦車大隊の96式装輪装甲車と、74式戦車。96式装輪装甲車は、73式装甲車に代わり昨年度より第三戦車大隊に配備が開始されたもので、大隊本部の他、中隊本部にも配備され、大隊幕僚の他、必要に応じて戦車を掩護する普通科隊員を乗車させることもある。しかし可能であれば普通科連隊に中隊規模で配備が望まれる装備だ。

Img_8733  74式戦車。昨年より多い二輌が参加。第二世代戦車として開発された国産戦車で、夜戦能力とデータリンクによる協同交戦能力に限界があるが、新型105㍉砲弾の採用など攻撃力では第一線級の能力を維持している。地形防御を活用するべく車体を傾斜させる油気圧サスペンションを有しており、地皺を活かした戦闘が可能である。

Img_8736  観閲行進に続く祝賀飛行。やはり昨年より機数が多い。八尾駐屯地に駐屯する第三飛行隊の観測ヘリOH-6D、多用途ヘリUH-1J、そして方面隊直轄の第五対戦車ヘリコプター隊所属、AH-1S対戦車ヘリが明野駐屯地からそれぞれ二機、計6機が編隊飛行を行った。50周年ということもあり、規模が拡大した観閲行進であった。

信太山駐屯地祭詳報は更に訓練展示編、そして装備品展示編へ続く。お楽しみに!

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする