■新型戦車!(08式戦車?)
陸上自衛隊の新戦車が三菱重工相模原製作所にて発表された。いつもお世話になっている軍事専門家の方に写真をみせていただいたので、ここから注目した点を幾つか。なお、北大路機関は行ってない(当たり前)し、新戦車の写真を持っていないので、90式戦車の写真で代用。
新戦車の砲塔正面は複合装甲が用いられているとされる。照準器のサイトから砲塔先端までの距離を考えるとレオパルド2A5のような砲弾エネルギーを複合装甲に適した角度に調整する機能があると考えられる。
砲塔側面には装甲がバルジにように出ているが、おそらくRPG対策の中空装甲と考えられる。バルジ部分は正面装甲と段差になっていることから、段差になっているのは、正面装甲の装甲部分はその後ろに乗員がいない為で、このことから装甲厚が推測できる。
砲塔正面部分を精査するとボルト留めされているモジュール装甲と呼ばれる部分がよくわかる。蛇足ながら、徹甲弾のような運動エネルギー弾の直撃場合、着弾の衝撃で外れないか、という疑問が頭をよぎったり・・・。
90式戦車が120ミリ滑腔砲の3発の直撃に耐える映像があるようだが、この戦車もそういった防護力はあると考える。軽量化と両立した点は、これが18年の技術進歩?。90式戦車と同じく装甲開発に京セラと三菱マテリアルが参加しているのであれば、セラミックとチタンの複合装甲、ということになるのだろうか。レオパルド2は複数のチタンプレートを器具で固定する拘束コンポジットアーマー方式を採用しているとされるが、一枚セラミックと比べて継ぎ目の部分(これは重ねることで対処している)が弱点とされましたが、京セラの技術ならば一枚プレートを重ねているのかな、と。こうすれば防御力は上る。
新戦車の砲塔各所にはセンサーが取り付けられている。操縦手用のハッチとなりにもなにか、カメラ的なものが配置されている。新戦車は協同交戦能力の充実に力点が置かれている為、陸上装備体系において最高の防護力を有する戦車が先頭に情報を収集する一手段ということか。
専門誌などで、90式は砲塔側面の装甲が中空装甲ではないと指摘されているが、前述のRPG対策により、この点は解決された。更に砲塔側面と足回りのゴムスカートがRPG対策を盛り込んでいる模様。他方、スカート部分(これは、実は中身がギッシリの可能性もあってよくみないとわかりませんが)、そこまで厚くないので、ここに被弾した場合、足回りに被害が及ばないか、このあたりが不安になるところ。
砲塔と車体の隙間部分(ここに被弾すると砲塔が機能停止、場合によっては貫徹する)は新戦車ではほぼ無くなっている模様。
車長用サイトは、90式戦車では旋回が限定されていた(まわりに銃架などがあった)が、旋回余裕は確保されたようで、61式戦車の測距器キューポラ部分を少しだけ思い出したり。更に日本戦車の伝統的(?)問題点とされた砲塔上の機銃が後ろから接近する航空機を狙えない(旋回が制限されている)部分は新しい銃架の採用により解決されている。
主砲は排炎器の形状から、もしかして国産砲?、カバーついてないラインメタル製にもみえますが・・・。
小さい点ながら、ハッチの形状に注目してみると、おもいのほか薄い。
丸いハッチがスライドして開くようですが、これにより開閉方法が大きく変わり、ハッチを半開け状態で車外を視察できるところまではいいものの、厚さが15~20㍉?とみえる、155ミリ砲弾の曳火射撃で無力化されるのでは、とおもったりするが、いくらなんでも薄すぎるので、セラミックを用いている十分な防御力を確保している可能性が高い。
極力、自動装填装置、乗員三名化により車内容積を削減し、必要な防御力を有しつつ車体全体を小型化しよう、という点は90式戦車の設計思想を継承している。
ニュース映像などをみると、サスペンションが左右の傾斜も行ったようで、これは74式戦車の技術や地形防御を利用するという思想を継承。
火力では想定される最大脅威に対応することができるというのは、61式戦車開発の思想。まさに日本型戦車の最新といえよう。
これだけの性能で44トンにまとめた、という点がいちばん驚くべきなのだが、同時に価格が7億円(開発費を除く)という点も凄い(韓国のK2が11億円だったと記憶)。巨大化するばかりの第三.五世代戦車技術に投じた一石、というべきやも。
HARUNA
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