■防衛フォーラム
新たな重要装備品等の選定結果について。
防衛省は無人水陸両用車の開発を開始します。これは“新たな重要装備品等の選定結果について”という令和6年1月25日に公開された文書において示されたもので、三菱重工が開発を進めている水陸両用車を元に無人型を開発するもようです。陸上自衛隊の水陸機動団は現在AAV-7両用強襲車を装備していますが、設計が古く暫定的な装備といえる。
無人水陸両用車は、珊瑚礁など我が国島嶼部における敵部隊着上陸後の占領地域へ投入するものですが、現在装備されているAAV-7では水上速度は17km/h、水陸両用車としてはかなりの速度ではありますが、遮蔽物の無い海上を敵前で行動するには、他戦車ミサイルや戦車砲などあらゆる脅威に対して低速であり、装甲防御力も脆弱といわざるを得ない。
三菱重工の水陸両用車は、凌波装置を全面に展開し抵抗を最小限とする事で高速航行を可能とさせる設計ですが、防衛省の新しい装備開発は、第一波などを無人とする事で敵に撃沈された場合でも損耗を最小限とし、水陸両用部隊の第一波が事実上の威力偵察であり、大きな損耗を度外視している運用から脱却する事がその開発目的と考えられます。■
防衛省は無人水陸両用車の開発を重要装備品に位置付けています。重要な点は、現在開発されている水陸両用車について、その無人化を進める背景と共に国産開発が決断された背景です。防衛省でゃ、機動性能と無人化の実現性の双方に要点を絞り事業評価を行ったうえで、実現性があるとし、令和6年度予算案に開発関連費を計上したと説明しています。
無人水陸両用車の生産単価は8億8000万円を見込んでおり、量産された場合のライフサイクルコストは2822億円と見積もっているとのこと。ただ、防衛省の発表では8億8000万円という生産単価をどの程度量産した場合としたのか、算出根拠は示しておらず、選定段階における見積りだと説明、ライフサイクルコストについても同様に暫定的な見積もり。
AAV-7よりも高速航行が可能であるとしつつ、しかし輸送は無人化する背景には水陸両用作戦における輸送の危険性を示したものですが、同時に着上陸後の後方連絡線を無人装備により維持するという意思の表明でもあります。一方、この種の装備は沿岸部の災害派遣などにも有用であり、人員輸送なども可能、南海トラフ地震での活用が期待されます。■
防衛省は新地対艦・地対地精密誘導弾の開発を開始します。これは令和6年1月25日開示の“新たな重要装備品等の選定結果について”において示されたものです。88式地対艦誘導弾や12式地対艦誘導弾の後継となる装備で、現在12式地対艦誘導弾は射程を900km以上に大幅に延伸した改良型を開発中ですが、この装備はそれに続く新装備です。
新地対艦・地対地精密誘導弾について防衛省は、脅威対象による迎撃が一層困難な先進的スタンドオフミサイルとして位置付けられているとのことで、離島に配備するだけではなく、九州や本州などに配備し離島周辺への敵に対し投入できる程度の非常に長い射程が見込まれているもよう。また飛行場施設や揚陸艦など点目標や移動目標に対し有効という。
88式地対艦誘導弾以来の地形追随昨日を保持する他、ミサイルそのものに残存性という機能が求められており、相手の迎撃を回避する能力が求められている。これはミサイルをステルス設計とする、また速度を超音速とした上でシースキミング性能を付与させるなどの選択肢が考えられます。計画のライフサイクルコストは5165億円に達するとの事でした。■
防衛省は対空電子戦装置の取得を開始します。令和6年1月25日開示の“新たな重要装備品等の選定結果について”によれば、量産単価は約28億円、ライフサイクルコストは10基取得の場合で約459億円を見込んでいるとのこと。八輪式車両に大型のパラボラアンテナを搭載したもので、一見、東宝特撮映画のメーザー砲のような形状の装備です。
対空電子戦装置は新編される対空電子戦部隊に装備し早期警戒管制機等に対し電波妨害を展開しレーダ機能を喪失させ無力化するというもので、東宝特撮映画のメーザー砲のような形状の装備ですが用途はAサイクル光線車のような装備となっています。この装備は既に令和2年に完成し、評価試験を実施、一連の評価を経て令和6年度予算に盛り込まれた。
電子戦装備は領域横断作戦に必要な装備体系となっていますが、各国が輸出市場に供給している電子戦装備はドローンを筆頭とした小型無人機やランセットドローン対策のものが中心となっており、数百km先の早期警戒機の索敵能力を標的としたものは輸出市場には多くありません。これが国産による量産取得決定に大きく影響したと考えるべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
新たな重要装備品等の選定結果について。
防衛省は無人水陸両用車の開発を開始します。これは“新たな重要装備品等の選定結果について”という令和6年1月25日に公開された文書において示されたもので、三菱重工が開発を進めている水陸両用車を元に無人型を開発するもようです。陸上自衛隊の水陸機動団は現在AAV-7両用強襲車を装備していますが、設計が古く暫定的な装備といえる。
無人水陸両用車は、珊瑚礁など我が国島嶼部における敵部隊着上陸後の占領地域へ投入するものですが、現在装備されているAAV-7では水上速度は17km/h、水陸両用車としてはかなりの速度ではありますが、遮蔽物の無い海上を敵前で行動するには、他戦車ミサイルや戦車砲などあらゆる脅威に対して低速であり、装甲防御力も脆弱といわざるを得ない。
三菱重工の水陸両用車は、凌波装置を全面に展開し抵抗を最小限とする事で高速航行を可能とさせる設計ですが、防衛省の新しい装備開発は、第一波などを無人とする事で敵に撃沈された場合でも損耗を最小限とし、水陸両用部隊の第一波が事実上の威力偵察であり、大きな損耗を度外視している運用から脱却する事がその開発目的と考えられます。■
防衛省は無人水陸両用車の開発を重要装備品に位置付けています。重要な点は、現在開発されている水陸両用車について、その無人化を進める背景と共に国産開発が決断された背景です。防衛省でゃ、機動性能と無人化の実現性の双方に要点を絞り事業評価を行ったうえで、実現性があるとし、令和6年度予算案に開発関連費を計上したと説明しています。
無人水陸両用車の生産単価は8億8000万円を見込んでおり、量産された場合のライフサイクルコストは2822億円と見積もっているとのこと。ただ、防衛省の発表では8億8000万円という生産単価をどの程度量産した場合としたのか、算出根拠は示しておらず、選定段階における見積りだと説明、ライフサイクルコストについても同様に暫定的な見積もり。
AAV-7よりも高速航行が可能であるとしつつ、しかし輸送は無人化する背景には水陸両用作戦における輸送の危険性を示したものですが、同時に着上陸後の後方連絡線を無人装備により維持するという意思の表明でもあります。一方、この種の装備は沿岸部の災害派遣などにも有用であり、人員輸送なども可能、南海トラフ地震での活用が期待されます。■
防衛省は新地対艦・地対地精密誘導弾の開発を開始します。これは令和6年1月25日開示の“新たな重要装備品等の選定結果について”において示されたものです。88式地対艦誘導弾や12式地対艦誘導弾の後継となる装備で、現在12式地対艦誘導弾は射程を900km以上に大幅に延伸した改良型を開発中ですが、この装備はそれに続く新装備です。
新地対艦・地対地精密誘導弾について防衛省は、脅威対象による迎撃が一層困難な先進的スタンドオフミサイルとして位置付けられているとのことで、離島に配備するだけではなく、九州や本州などに配備し離島周辺への敵に対し投入できる程度の非常に長い射程が見込まれているもよう。また飛行場施設や揚陸艦など点目標や移動目標に対し有効という。
88式地対艦誘導弾以来の地形追随昨日を保持する他、ミサイルそのものに残存性という機能が求められており、相手の迎撃を回避する能力が求められている。これはミサイルをステルス設計とする、また速度を超音速とした上でシースキミング性能を付与させるなどの選択肢が考えられます。計画のライフサイクルコストは5165億円に達するとの事でした。■
防衛省は対空電子戦装置の取得を開始します。令和6年1月25日開示の“新たな重要装備品等の選定結果について”によれば、量産単価は約28億円、ライフサイクルコストは10基取得の場合で約459億円を見込んでいるとのこと。八輪式車両に大型のパラボラアンテナを搭載したもので、一見、東宝特撮映画のメーザー砲のような形状の装備です。
対空電子戦装置は新編される対空電子戦部隊に装備し早期警戒管制機等に対し電波妨害を展開しレーダ機能を喪失させ無力化するというもので、東宝特撮映画のメーザー砲のような形状の装備ですが用途はAサイクル光線車のような装備となっています。この装備は既に令和2年に完成し、評価試験を実施、一連の評価を経て令和6年度予算に盛り込まれた。
電子戦装備は領域横断作戦に必要な装備体系となっていますが、各国が輸出市場に供給している電子戦装備はドローンを筆頭とした小型無人機やランセットドローン対策のものが中心となっており、数百km先の早期警戒機の索敵能力を標的としたものは輸出市場には多くありません。これが国産による量産取得決定に大きく影響したと考えるべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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