北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】第9戦車大隊・第10戦車大隊・第13戦車中隊廃止-第9偵察戦闘大隊・第10偵察戦闘大隊・第13偵察戦闘大隊新編

2024-03-28 20:11:07 | 防衛・安全保障
■防衛フォーラム
 第二世代戦車の時代が終わった、年度末改編により師団旅団三つの戦車部隊が廃止され陸上自衛隊から74式戦車が完全退役しました。

 陸上自衛隊は第9偵察戦闘大隊を新編しました。新しい部隊は岩手県滝沢市の岩手駐屯地に3月21日創設され、青森県青森市に司令部を置く第9師団の隷下部隊となります。そして、この前日に長らく74式戦車を運用し青函地区という戦略重要地域の防衛に当たってきました第9戦車大隊、またあわせて第9偵察隊は廃止となりました。

 第9師団長田尻祐介陸将から大隊長白﨑日出美2佐に隊旗が授与され新編された偵察戦闘大隊は定員290名、第9戦車大隊と第9偵察隊の人員を捻出し新編され、16式機動戦闘車と87式偵察警戒車などを装備します。部隊は大隊本部と戦闘中隊に偵察中隊、今回の新編により少なくとも10両以上の16式機動戦闘車が配備されたとのこと。

 第9戦車大隊は本州の部隊としては最初に74式戦車を装備した部隊で、冷戦時代にはソ連軍北海道侵攻に際し本州と北海道を結ぶ青函地区を遮断し本州からの増援部隊を妨害する可能性が高いとして、北部方面隊と並ぶ重点防衛地域として重視され、戦車大隊や特科連隊は本州の師団に在って最も数が多く、装備面でも重視されていた部隊です。
■第10戦車大隊廃止
 滋賀県の戦車部隊が廃止され滋賀県からは第10師団隷下部隊も全て移駐したかたちです。

 陸上自衛隊は豊川駐屯地において第10偵察戦闘大隊の編成完結式を実施、行事には220名が参加し最新装備である16式機動戦闘車が報道公開されました。式典には第10師団長の酒井秀典陸将から大隊長坂東正崇大隊長に部隊旗を授与、第10戦車大隊と第10偵察隊の伝統を引き継ぎ新しい伝統を作り上げ地域に愛される部隊となるよう訓示した。

 第10戦車大隊は最も新しい74式戦車運用の戦車大隊で2000年まで一部中隊に61式戦車が残っていた部隊であるとともに、第10戦車大隊は第3師団管区である滋賀県の今津駐屯地に駐屯しており、また第10偵察隊も春日井駐屯地に駐屯、今回新編の第10偵察戦闘大隊は中部東部方面隊境界近く愛知県東部の豊川駐屯地へ置かれる事となりました。

 金鯱の部隊マークで親しまれた第10戦車大隊マークは廃止され、梟をもとにした新しい部隊マークも公表されました。豊川駐屯地では年度末改編で第10特科連隊が廃止され中部方面特科連隊第2大隊となり、第10師団隷下部隊は第10高射特科大隊のみとなっていますが、3月21日の偵察戦闘大隊新編により師団隷下大隊が二つ揃う事となりました。
■第13戦車中隊廃止
 三本の矢という部隊マークも無くなりました。

 陸上自衛隊は出雲駐屯地に第13偵察戦闘大隊を創設しました。3月21日に挙行された式典では第13旅団徳永勝彦旅団長が、第13偵察戦闘大隊宗像秀樹大隊長へ部隊旗を手渡し、式典には隊員ら200名が参加しています。この偵察戦闘大隊は岡山県の日本原駐屯地にあった第13戦車中隊と出雲駐屯地の第13偵察隊を廃止し新編された部隊です。

 第13戦車中隊は自衛隊の師団旅団に在って山陽山陰地方という最も広大な地域を防衛警備する第13旅団の74式戦車運用部隊です。一方、出雲駐屯地は駐屯地とは言うものの配備部隊は偵察隊のみで、大幅な人員拡大です。他方、日本原駐屯地は旅団隷下には第13高射特科中隊のみ、あとは第13特科隊廃止により中部方面特科連隊第3特科大隊が。

 74式戦車はこの時点で第9戦車大隊に2個中隊と第10戦車大隊に2個中隊及びこの第13戦車中隊に1個中隊が配備されていましたが、3月21日の偵察戦闘大隊新編によりこの5個中隊が全て廃止され、本州に配備された教育用以外の戦車部隊は全て廃止、また自衛隊からも74式戦車という第2世代戦車は全て廃止され世代交代を完了しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-ロプチャー型戦車揚陸艦2隻への攻撃とロストフから占領地へ鉄道を敷設

2024-03-28 07:00:51 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 損害の程度は確認中との事ですが、さてロプチャー級戦車揚陸艦といえばアリゲーター級と並んで有事の際に北海道へ押し寄せてくると考えられたものだ。

 ロシア黒海艦隊揚陸艦最後の2隻が攻撃により火災が発生したもようである、ISWアメリカ戦争研究所3月24日付戦況報告によれば、ウクライナ軍参謀本部発表としてウクライナ軍はクリミア半島のロシア海軍セヴァストポリ軍港を攻撃し、ロシア海軍揚陸艦2隻と通信センターや基地関連設備などを破損させることに成功したとしています。

 ロシア側ミルブロガーの情報としてこの攻撃には巡航ミサイル40発以上と自爆用無人機などを用いたとしていますが、詳細については確認ができません。ウクライナ海軍のプレチュンテツ報道官によれば、揚陸艦2隻が火災を起こしたものの、その破損規模は評価中としました。黒海艦隊に残る揚陸艦は2隻のみ、ほかは既に全損か撃沈されました。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 修理可能だとしてもセバストポリのドックはウクライナの射程圏内にあり黒海沿岸にはほかにドックもなく修理着手は終戦後となります。

 ロシア海軍黒海艦隊揚陸艦について。ロシア海軍黒海艦隊はクリミア半島とロシア本土を結ぶ橋梁が、もともと開戦前にウクライナのアゾフ海から国会への船舶航行を阻害することを目的として橋脚を低くしたため、度々無人艇攻撃により破壊ないし破損による交通制限に見舞われ、その際に揚陸艦は貴重な代替の兵站輸送手段でした。

 ロプチャー型戦車揚陸艦、現在はアゾフとヤマールが攻撃前には稼働状態でしたが、ミンスクが2023年9月にミサイル攻撃を受け大破、ノボチェルカルスクが2023年12月に大破修理不能、2024年2月にツェーザリクリニコフが撃沈、また北海艦隊のオレネゴールスキイゴルニャークもノボロシスク基地で無人機攻撃を受け破損しています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 揚陸艦の破損とともにロシア軍の兵站輸送の問題についてですが鉄道を建設するというものの敷設予定地はウクライナの射程圏内だ。

 ロシア軍はロストフからウクライナ領内占領地へ鉄道を敷設する、3月24日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告によれば、ロストフからクリミア半島のセヴァストポリまでの鉄道線を開通させる方針といい、これは3月18日にプーチン大統領が建設を発言したものの具体的な敷設計画というもので、既存のケルチ海峡大橋などを補うもの。

 ロシア軍の占領地鉄道建設はドネツク州南部で既に実施されており、8か月間を用いて頃スキーと紙安価を結ぶ60㎞の鉄道を建設しています。イギリス国防省の分析ではマリウポリのアゾフスターリ製鉄所などを将来ロシアが接収し修理し用いる可能性があり、ウクライナ重工業施設を自国の生産に転用する試みの一環という可能性を分析しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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