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【京都発幕間旅情】手力雄神社(岐阜各務原)各務原総鎮守は織田信長と岐阜基地所縁の社殿

2020-11-25 20:18:50 | 旅行記
■龍神信仰と木曽川治水の祈念
 岐阜基地を含む各務ヶ原総鎮守の神社が基地撮影地の航空公園から徒歩一時間半当たりのところに在ります。

 手力神社。岐阜県各務原市那加手力町に鎮座しています織田信長ゆかりの社殿です。その歴史については詳細は定かではありませんが、奈良時代の6世紀末期頃に当地当時の中里を支配していた村国氏と各務氏といった豪族により造営された社がその始まりという。

 龍神信仰がある。手力神社は木曽川河畔にありますが、過去一度も水害被害に見舞われていないといいます。ここが大河を龍神と見立てた信仰に繋がっているとの事でして、昨今は巨大水害が日本に世界に多い中、当方も参拝に治水安寧を心から祈りました次第です。

 手力雄神社、正しくはこう称しまして、各務原市那加地区の産土神である真幣明神が祀られています。不思議な事に手力雄神社はこの各務原市と同じ名前の社殿が岐阜市にも鎮座していまして更に不思議な事に共に龍神信仰を掲げているという。そちらも行ってみたい。

 各務氏。別に某大学の名物事務員さんではありません、内輪ネタですね。さて各務氏、考えてみますと各務原地名はこの豪族に由来するものと納得できまして、村国氏と各務氏、鎌倉時代からは此処に土岐氏、薄田氏と佐良木氏が家来として神社に崇敬寄せたと伝わる。

 総鎮守。手力神社は各務原一帯の総鎮守と位置づけられています。そして岐阜基地一帯も安土桃山時代の頃には社領とされていたのですね。基地を探訪した際には寺社仏閣観光を、と常々書いていますが、実はこの手力神社へ参拝したのは今回初めてでした。その理由は。

 岐阜基地航空祭、初めて行ったのは、いや連れて行ってもらったというのが正しいか、ブルーインパルスがまだT-2練習機の時代でした。その頃からの岐阜基地ですが、手力神社参拝が30年近く後になったのは、基地撮影位置から6kmも離れている為、要するに遠い。

 織田信長所縁の社殿。織田信長と社殿のかかわりは不思議なものでした。永禄10年の西暦1567年、尾張より美濃国へ侵攻を開始した織田信長の軍勢は木曽川をいとも容易く渡河し、一挙に斎藤氏の居城稲葉山城へと迫ります。その道中にこの手力雄神社が鎮座しています。

 武威を以て威光を示すのだ、社伝によれば織田信長は恭順しない周辺村落を次々に焼き討ちし、社殿を素通りして稲葉山城に機動力こそが勝敗を決するとばかりに急ぎますが、突如濃霧が立ち込めて左右前後は勿論上下もわからなくなり、落馬してしまうのですね。

 神罰ではないかと恐れた信長は、一旦進軍を停止させ戦勝祈願を此処で行います。桶狭間の戦いが永禄3年の西暦1560 年ですから、こんなところで行軍を停止しては今度は自分が今川義元の二の舞となりかねませんが、それでも神罰を恐れた、ということでしょうか。

 各務野原近里全て合せ千三百町歩を社領として、織田信長は美濃平定ののちに寄進します。そしてこの崇敬は江戸時代にこの地域が幕府天領となりますと旗本の所領等が広がりますが、その頃にも崇敬と寄進は続きまして、今日の比較的大きな社殿となっているようです。

 龍神信仰と落馬は関係あるのか、と問われますと木曽川に堤防築堤が始まったのが江戸時代の1650年代からといいますので、この地域は常に木曽川の空気の流れとともに洪水による地形の変化が続いていた訳でして、川霧も発生しやすかったのでしょうか定かではない。

 勝利祈願の社殿。織田信長の弓掛けの桜など、落馬したとはいえ織田信長が寄進した神社でもあり、勝利祈願の神社としても有名という。第二次世界大戦では旧社領の岐阜基地周辺の各務原中心部は絨毯爆撃を受けましたが、幸い当社は戦災を免れ、今日に至ります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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