北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

検証-首都直下地震【3】危機管理か国民管理か?災害対策の難しい深度と必要な主権者意識

2019-12-09 20:11:10 | 防災・災害派遣
■巨大地震か大地震止まりか
 巨大災害と云いますが何処まで想定するかで国の関与拡大が必要な場合もあれば個人で対応できるものもある、さじ加減次第で危機管理か国民管理かとなる。

 首都直下型地震、最大規模で発生した場合には個々人での防災準備に限界があるように思うのです。これは南海トラフ地震に際しても同様の論理が成り立つのですが、例えば一週間分の食料と水に一定期間の予備電源や耐震補強に家具固定を行おうとも、住宅が大火災で延焼しては意味がありません。南海トラフ地震では津波で根こそぎ流失の懸念がある。

 事前備蓄を行い、避難持ち出し袋で避難するとしますが、一週間分の非常食料と水を最小限度の着替えや貴重品と防災資材と共に梱包しますとかなりの重量となります。普段から登山や予備自衛官として鍛えておくならば別として、充分な準備を行って重量が増大する避難装備一式を以て、火災旋風や津波災害から無事に逃げおおせるものなのでしょうか。

 国家非常事態法制、財産権の制限による破壊消防の実施による火災旋風鎮圧、戒厳令による外出禁止令を通じた群衆雪崩阻止、物資統制による避難者救護物資の徴収や帰宅困難者輸送力提供、想定外の規模の首都直下型地震へ本気で被災者を減らそうとするならば、非常大権というものを考慮せねばなりませんが、これは為政者を選ぶ国民の責任を重くする。

 日本は現行憲法下において国民主権ですので、こうした強権を政治に付与する事で防災を確たることとする選択肢はありますが、現状の通り、既存の現行法で、多少犠牲者は多くなりましょうが、前の戦争程の犠牲者は出ない、その範疇で出来るだけのことを行い、それで不可能な地震被害は、想定外、として諦める。一応そうした選択肢はない訳ではない。

 無論、時間は掛かりますが木造家屋の建築を首都圏で法的に制限し火災被害を局限化、都市部には防火帯整備へ土地収用を進め、ガス火災やガソリン火災を阻止するべく段階的に電気自動車以外を禁止し住宅はオール電化とする、スイスの様に個人住宅にはシェルター設置を義務付ける、首都圏全域でこれを徹底できるならば、地震被害の大半を抑え得る。

 現実的か。上記の施策は全く不可能かと問われれば、やればできるのですが、大変な財投を必要としますし、制限区域内では住宅を持つには相当の掲示的余裕を必要とするようになり、これは残念ながら現実的に支持される施策とは思えません。実現したならば、例えば巨大地震以外に核攻撃の脅威にも耐えうる強靭な大都市となるのでしょうけれども、ね。

 非常事態法制により個人の限界を社会全体で支え合う構造を構築するか。巨大災害には想定外として諦めるか。現実的では無いが数百年後の完成を夢見て暫定的にでも強靭な都市を次の巨大地震は別として整備するか。選択肢はあるように思います。個人的には非常事態法制による国家総動員での防災が望ましい。しかし政府強権付与への不安も理解できる。

 個人防災の限界、勿論すべてを否定するつもりはありません。例えば大阪府北部地震では震度七が計測され、最大震度では兵庫県南部地震と同規模でしたが、マグニチュードの多寡、即ち、地震エネルギーの関係上から震度七であっても激震の持続が短く、2名が亡くなりましたが6500名以上が亡くなったあの阪神大震災の様な被害とはなりませんでした。

 首都直下型地震はマグニチュード8.0規模の懸念もありますが、マグニチュード7.0水準にとどまる可能性もあります、逆にマグニチュード9.0の海溝型地震を誘発する前駆地震ともなり得るのですが。従って首都直下型地震であっても例えば2005年千葉県北西部地震よりも強い程度にとどまる可能性もあり、この場合は個人防災が大きな意味を帯びるでしょう。

 千葉県北西部地震は2005年7月23日に発災、この日は横須賀地方隊伊勢湾展示訓練にて艦上にいまして、丁度洋上から名古屋港に寄港しますと、東京で久々に震度五強の強震が観測される地震発生した報道に接し、幸い死者は出ませんでしたが、阪神大震災から十年目の慰霊の日を迎えた年度であり、地震被害を忘れてはならないと感じましたものです。

 明治東京地震、1894年6月20日に発生した南関東地震で首都直下型地震です。マグニチュード7.0、この規模は1923年関東大震災を引き起こした相模湾震源である関東大地震のマグニチュード7.9乃至マグニチュード8.2よりは桁外れに小規模ではありますが、関東大震災死者数が10万を超えたのに対し明治東京地震は死者31名という被害に留まりました。

 安政江戸地震、しかし明治東京地震に遡る1855年には、当時首都は京都でしたので首都直下型地震の定義には外れますが関東平野において南関東地震に分類されるマグニチュード7.4規模の直下型地震が発生し、火災が数十か所で発生し僥倖にも折からの降雨で翌日には自然鎮火しましたが、それでも江戸市中を中心に最大で10000名規模の死者が出ています。

 首都直下型地震には規模の多寡があり、ここまで議論しました様な巨大地震、最悪の場合は南関東地震である安政江戸地震規模の地震が発生した事で相模湾震源の関東大地震規模の地震を誘発させ関東大震災再来となる可能性も否定できません。過度に警戒しますと小規模なものに留まる可能性もあれば逆もある。これが危機管理の難しさであり、それを班d難するのは政治でしかなく、その政治を選ぶのは我々選挙民としての主権者なのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (軍事オタク)
2019-12-14 17:12:40
皆様これからもよろしくお願いします。
返信する
Unknown (軍事オタク)
2019-12-14 17:09:47
はるな様
いつもありがとうございます。
痛み入ります。
いろんな意見を出し合うのが楽しいと自分も思います。
返信する
表現の広場 (はるな)
2019-12-14 16:22:46
unknown 様

いろいろな意見があるのですよ、絶望感を感じる時もあれば、しかし議論が深まる様子を見守り安堵することも。よろしければ、というか是非ハンドルネームとともに、末永くお付き合い頂ければ幸いです
返信する
Unknown (Unknown)
2019-12-14 08:55:58
人権派弁護士のやり方や主張に腹が立つ事もありますけど
あなたの主張は過激すぎます
返信する
Unknown (Unknown)
2019-12-13 21:52:33
余計なお世話でしょうけど、この人はブロックした方がいいんじゃないですか?
(ある意味、荒らしよりたち悪いですよ)
返信する
Unknown (軍事オタク)
2019-12-13 10:30:49
人権だ人権侵害だとか
個人主義と称して今の日本は、
利己主義化しすぎていると思う。

これも戦後教育、日教組による洗脳教育・マスコミの害かな。

個人の権利や人権はもちろん尊重するが、公共の利益をどうしても重んじなければいけない場合は、
しっかりと保証しながら、我慢すべきとこは我慢して譲って頂くような社会が望ましいと思います。
返信する
Unknown (Unknown)
2019-12-12 17:49:33
表現規制も個人の権利の制限も
どっちもロクなもんじゃないでしょ?
返信する
Unknown (軍事オタク)
2019-12-12 13:35:54
東京大炎上するよりは、平時から防災の観点で、
防災地帯構築や道路拡等は絶対的に必要です。
話し合いはある程度必要ですが、全くまとまらずに何もできずそのまま木密地帯が残ることが問題です。
個人の権利ももちろんありますが、
公共性も大事。
個人の権利だけ認めれば、都市部を新たに貫く道路など建設は無理。
今以上にスピーディーに土地の接収を進めるための法律や方策を考えるべきだと思います。
もちろんしっかりと補償をした上で。
今の状態だと、災害や戦争で焼け野原にならないと何も進まないのではないですか?
そして、家庭と企業に備蓄を義務化させて、税制上の優遇措置等もいいのではないでしょうか。
権利ばかり主張する風潮が強いが義務もしっかり果たすような世の中がいいと思います。
先進国で一番自然災害が多い国ですから、また唯一原爆を2発も落とされて、現在も核の恫喝を大きく受けている国ですから、
諸外国よりもなおさら備えが必要だと思います。
返信する
Unknown (Unknown)
2019-12-11 19:02:00
平時での個人の権利の制限とは、聞き捨てなりませんな
(フェミニストの主張する表現規制は悪で、保守による個人の権利の制限は善。とでも言われるか?)
返信する
Unknown (軍事オタク)
2019-12-10 12:04:52
首都の災害では

例えば
南海トラフ巨大地震による3連動巨大地震の後7日後富士山大噴火
その7日後
関東大震災
その10日後870ミリへストパスカルの
スーパー台風襲来なんてこともあり得ますね。
※最悪のタイミングの大潮・満潮時にスーパー台風直撃とか。

富士山の火山灰で車も飛行機もヘリも動かなくなるかもね、
風向きによって東京都内でも最大16センチだそうです。

降灰10センチで車は動けない。
自衛隊車両は4駆でチェーン巻けばそれなりに走れるかもしれないがね。
でも雨が降ってドロドロになって固まりだしたらダメかもね。
3センチ+雨で普通車両走行NGだそうです。
降灰
2mmで水道NG
3mmで停電
4センチ+雨で体育館損壊。
10センチで古い建物全壊
等々。

NHK震災啓発番組パラレル東京では
地震の影響だけのシュミレーションでしたが、噴火や台風の想定は無しでしたね。

ご指摘の通り備えが大事!

法制度や国民意識を変える根本として
まずは憲法改正!
緊急事態法の制定等の法整備。
さらに個人の権利を平時の状態でも制限する法律などを定め、

事前準備として、自衛隊等の救助車両・ヘリ・航空機、火力発電所等の火山灰対策吸気口フィルター設置(できるのか?)、

震災ブレーカー義務化、消火器2本義務化、粉塵用マスク&メガネ、簡易トイレ・10日分の水・食糧等の震災グッズの常備及び家具転倒防止の義務化、一軒家は屋根からの雨水を貯めるタンクの義務化及び上記全て家庭訪問によるチェック及び罰則化。

一番大事な水の確保に巨大給水タンクを各所に設置。等々を進める。

木密地域の道路拡幅や延焼防止対策、堤防嵩上げ、スーパー堤防、巨大地下遊水タンクの大幅増設、地下鉄水没防止ドアの2重3重の多数設置。ゼロメーター地域にポンプ多数設置。
首都圏から地方への人口移転を強力に促すような政策推進。

また
震災瓦礫や降灰の捨て場を事前に設定しておく。
震災時に足りなくなる重機やトラックを事前に多めに備えておく等が必要かと思います。

まあ最後は、個人個人がサバイバルしなきゃならないので、自分でペットボトルで木炭やカット綿や砂などを組み合わせて簡易浄水器を作ってしのぐとか、瓦礫の木材で煮炊きや暖をとるとかそういう逞しさが必要ですね。
キャンプ用品も一式義務化にしますか!
斧やナタも常備して
震災瓦礫木材で煮炊きができるセット込みで。
夏場は暑いからひんやりパット人数分とバケツ人数分、移動式ソーラーパネルと蓄電池とサーキュレーター2台とか。

まぁ、東京から離れて人口の半分は地方に疎開がいいですかね~
返信する

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