北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

さよならOH-6D観測ヘリコプター【2】現代のBK-117&EC-145規模,軽ヘリコプターの活路

2020-02-25 20:05:26 | 先端軍事テクノロジー
■高性能と両立せぬ軽量機
 明野航空祭でのOH-1とOH-6の引継式も想い出の話となりましたが、観測ヘリコプターの任務は現代の課題です。

 OH-1観測ヘリコプターと同程度の監視能力が無ければ長射程化する火砲と第一線へ普及する地対空ミサイル脅威下では撃墜されに行くようなものです。特科火砲射程は40km台となり、早い話が京阪本線や阪急京都本線に匹敵、京都駅から大阪城の距離に等しく、見えない事は無いですが、OH-6Dのように双眼鏡での着弾観測は現実的に考えて難しい。

 ドイツ連邦軍はEC-145を採用しました、EC-145,要するに川崎重工BK-117のユーロコプター側名称ですね。EC-145,多用途機として運用するには過小で観測機として運用するにも限界がありますが、EC-145はドイツ陸軍において救急ヘリコプターとして導入されドイツ国内三カ所に配備されるとの事、救難ヘリコプターですが衛生軍ではなく陸軍の配備です。

 EC-145というユーロコプター社製ヘリコプターのドイツ連邦軍での採用決定、これは驚かされるものでした、EC-145は川崎重工BK-117の欧州版、共同開発しましたメッサーシュミットヘリコプターエアクラフト社と川崎重工の機体なのですね。高度な電子機材を搭載していない、だからこそ比較的安価で且つ運用が容易である小型ヘリコプターの採用です。

 救難ヘリコプターではなく救急ヘリコプター、これならば例えば山間部での戦闘救難任務や海上での墜落航空搭乗員救助というような厳しい状況での運用は想定しませんのでEC-145でも充分事足りる、ということでしょう。BK-117,実はこの機体が観測ヘリコプターに向いているのではないか、という話題は2006年頃に本論でも掲載していますがけれど。

 BK-117,その後に航空科の方といろいろとお話ししました際に、敵防空火器の圏内を飛行した場合にヘリコプターは確実に撃墜されると認識しなければならない、という現状を多くの方から強調されまして、実際、アフガニスタンでは対空火器の圏内を飛行したCH-47などが多数撃墜されたコブラ作戦という実例、その圏外から攻撃を加える性能が必要です。

 AH-64Dの重要性がこうしたかたちで示され、また大口径高射機関砲の脅威があったフランスのマリ介入作戦ではEC-665があくまで自軍上空から遠距離攻撃を行うという、文字通りの”近接”航空支援を行い成果を上げています。こうしたなかでBK-117や同程度の安価な航空機の活躍の場というものは、実際に観測任務を考えれば非常に薄かったわけですね。

 UH-72,他方でアメリカ陸軍州兵などは基本的に海外派遣に用いない用途としてEC-145の系統にあるUH-72を採用、連絡任務などに成果を上げています。ドイツ連邦軍は現在、救急ヘリコプターにUH-1Dを充てていますが要するに自衛隊ではとっくの昔に全廃となったUH-1Hよりも前の形式です、そして三カ所に配備されるという運用ではあるのですが。

 EC-145の配備を見ますと、ドイツ連邦軍は現在第1装甲師団と第10装甲師団に特殊作戦師団の三個師団体制を採用しいていますので、師団数と救急ヘリコプター部隊は同数、というかなり配慮した配備となっています。それでは話題を日本に戻しましょう、自衛隊はBK-117やEC-145のような航空機を用いにくい背景には、専守防衛の政策が在ります。

 日本の専守防衛、つまり敵の正規軍で加えて海上航空自衛隊の初動段階において一時的に絶対航空優勢を戦域確保できる相手との戦闘を、憲法上宿命づけられていますので、安易な航空機は撃墜されるだけです。憲法を変えて安価な航空機を、とも考えるのですがそれほど簡単に改憲手続きは実現しません。結果、OH-6D後継機は宙に浮いたまま、減勢が。

 OH-6D後継機は現れぬままに、年度末の全廃を待っている、という。BK-117,さて、救急ヘリコプターを念頭とした航空機に自衛隊も採用できないでしょうか、ドクターヘリと用途が重なる、と批判もあるでしょうが現行法では防衛出動時にドクターヘリを自衛隊の指揮命令体系に置く枠組みは存在しません、すると負傷者が生じた場合はどうするべきか。

 国内法の壁。更に自衛隊の場合は医師法の関係上、救急車に医療設備を十分施すことが出来ません、過去にアメリカ陸軍のストライカー装甲救急車をみる機会がありましたが医療用コンセントに輸液や心電図機材がならび在る程度の措置が可能、対して自衛隊の救急車は単価を格納し包帯所に運ぶ1t半という格差でした、この点ストライカーは衝撃的だった。

 自衛隊では現時点で、ダストオフ即ち第一線からの救急搬送に貴重な方面航空隊のUH-1Jを投入しているため、空中機動と航空救急搬送の両立が少々不安であると感じたことも事実です、すると、BK-117をOH-6の後継ではなく新しい救急航空機、そして副次的に防衛出動以外の情報収集にあてる搬送ヘリコプターとして採用し得る余地はないのでしょうか。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2 コメント

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UH-2で良いでしょう (ドナルド)
2020-02-26 23:36:46
UH-2がかなりロースペックになったので、OH6の後継と統一して良いかと思います。ぶっちゃけ、UH-72とたいして変わらないかと。

UH72で、最大離陸重量-空虚重量が1.8t
Bell 412EPで、2.3tなので。。。

機種統合の兵站効果の方が大きいと思います。
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Unknown (イチゴ)
2020-02-25 20:53:09
一つだけ不満点があります。
わかりやすい文章で書いてください。
具体的に言うと、1文を短くしてください。
貴方の書く文章は一つ一つの文が異様に長いです。
主語と述語が一致していないような文章が延々と続くため、読解が無駄に困難です。
何年も描き続けて身についてしまった悪癖なのかと思いますが、早く治してください。
それ以外は文句の付けようがないほど素晴らしいです。情勢分析、知識、提言の内容、奇抜な発想、上げればキリがありません。これらの類稀な能力が、全部台無しになっています。冗長な文章形式を見直し、短い、簡潔な文章を連ねるように改善することで、非常に読みやすいブログになるのではないでしょうか?
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