■戦後七〇年に見る現代戦
スポーツ未経験の生徒たちが創意工夫で全国大会へ短期間で実力をつけ臨み廃校や廃部を免れるために汗を流す、フィクションではよくある話ですが現実では難しい。
前回までの視点、大規模な人員を確保する必要がないならば、懐疑者の視点からは短期化して徴兵制が指向される可能性は無いのか、欧州各国では、冷戦終結後、大規模な陸軍が不要となった事を受け、徴兵期間を大きく短縮する事で対応しました。最短で六か月、というものがありました。こうした事が行われる危惧は杞憂なのでしょうか。
結論を先に示せば杞憂です。何故ならば、現代戦はプロでなければ勤まらずその要請は簡単ではない、欧州各国が、スイスやスウェーデンにフィンランドなど永世中立国を例外として徴兵を終了もしくは無期限停止した背景には、短すぎる徴兵期間では兵員の練度を十分に上げられないからです。体力一つとっても、半年間で練成できる能力には余りに制約が多い。
現代戦はプロでなくては務まらず一朝一夕には無理です、半年間の徴兵、我が国が仮に徴兵制度を半年とした場合ですが、自衛隊の人員規模は55万名、となるでしょう。これならば駐屯地を二段ベッドや護衛艦のような三段ベッドとして、隊舎を高層化して、なんとか詰め込めるかもしれません。食堂と浴場は足りませんが、まあ、非現実的であっても限度を超えた常識の範疇の非現実、というところでしょう。
しかし、自衛隊は教育期間だけで半年を要するのです。自衛隊は最低限度の第一線戦闘要員としての資質と小銃の射撃と整備などに入隊から三か月間、前期教育として基礎を習得させます。そして次の三か月間で、普通科や機甲科や特科など専門教育を行う後期教育を第一線部隊で行います。そして新隊員特技課程を履修する。
戦後七〇年、少々古い視点からは簡単に見える第一線要員の練成は簡単で張りません。現在は自衛官候補生課程として10週間に短縮していまして、少々、例えば早い時期に徒歩機動10kmが組み込まれ、体力練成が追いつかない、という話があります。完全武装10km徒歩機動はかなり厳しいようで、もっとも最近の若者は体力の限界を超えて倒れるまで頑張る連中が多く感心する、と班長さんがたは驚いているようですが。
新隊員が4月に入隊したとして、6月に自衛官候補生から前期教育を修了して部隊での後記教育へ、教育修了による中隊配属は9月、となります。半年間の徴兵、などとなりますとこれだけで終わってしまうのです。教育が修了すればそれでいいではないか、というのは誤解、これはあくまで個人が軍事機構の一員として参画する素養を身につけただけに過ぎません。
自衛隊では1四期の4から6月にかけ、小隊規模演習と演習場整備を行うと共に師団旅団競技会へ錬成訓練を射撃と格闘と銃剣道及び持続走で実施し、装備と車両は物品と会計と補給及び保全の各種検査を行います。続いて2四期の7から9月にかけ中隊や連隊若しくはその戦闘団の検閲を行い、これらを行わない年度は師団演習と各種競技会を行う。
続く3四期の10から12月にかけ中隊規模の演習か検閲を行うかより大型の部隊の戦闘団の錬成訓練を行う。4四期の1から3月に掛け射撃や陣地構築に整備といった各種戦技錬成と各種競技会を行い来年度に向けての計画策定を進める、こうした体制を基本としています、行うとしと行わないとし、と示したのですが、これは自衛官の任期が二年であるため、という訳です、それ以下は想定していません。
すると、半年の徴兵期間で無理矢理人員を集めても、それは、最低限装備を以て10km程度は徒歩で移動できて、攻撃と防御へ姿勢を換えたり、小銃を整備し機関銃を扱え、無反動砲か迫撃砲の教育を受ける事は出来ましょうが、そこまで、部隊としての訓練はほとんど出来きない、という事が分かりますが、これでは意味がないという事が分かるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
スポーツ未経験の生徒たちが創意工夫で全国大会へ短期間で実力をつけ臨み廃校や廃部を免れるために汗を流す、フィクションではよくある話ですが現実では難しい。
前回までの視点、大規模な人員を確保する必要がないならば、懐疑者の視点からは短期化して徴兵制が指向される可能性は無いのか、欧州各国では、冷戦終結後、大規模な陸軍が不要となった事を受け、徴兵期間を大きく短縮する事で対応しました。最短で六か月、というものがありました。こうした事が行われる危惧は杞憂なのでしょうか。
結論を先に示せば杞憂です。何故ならば、現代戦はプロでなければ勤まらずその要請は簡単ではない、欧州各国が、スイスやスウェーデンにフィンランドなど永世中立国を例外として徴兵を終了もしくは無期限停止した背景には、短すぎる徴兵期間では兵員の練度を十分に上げられないからです。体力一つとっても、半年間で練成できる能力には余りに制約が多い。
現代戦はプロでなくては務まらず一朝一夕には無理です、半年間の徴兵、我が国が仮に徴兵制度を半年とした場合ですが、自衛隊の人員規模は55万名、となるでしょう。これならば駐屯地を二段ベッドや護衛艦のような三段ベッドとして、隊舎を高層化して、なんとか詰め込めるかもしれません。食堂と浴場は足りませんが、まあ、非現実的であっても限度を超えた常識の範疇の非現実、というところでしょう。
しかし、自衛隊は教育期間だけで半年を要するのです。自衛隊は最低限度の第一線戦闘要員としての資質と小銃の射撃と整備などに入隊から三か月間、前期教育として基礎を習得させます。そして次の三か月間で、普通科や機甲科や特科など専門教育を行う後期教育を第一線部隊で行います。そして新隊員特技課程を履修する。
戦後七〇年、少々古い視点からは簡単に見える第一線要員の練成は簡単で張りません。現在は自衛官候補生課程として10週間に短縮していまして、少々、例えば早い時期に徒歩機動10kmが組み込まれ、体力練成が追いつかない、という話があります。完全武装10km徒歩機動はかなり厳しいようで、もっとも最近の若者は体力の限界を超えて倒れるまで頑張る連中が多く感心する、と班長さんがたは驚いているようですが。
新隊員が4月に入隊したとして、6月に自衛官候補生から前期教育を修了して部隊での後記教育へ、教育修了による中隊配属は9月、となります。半年間の徴兵、などとなりますとこれだけで終わってしまうのです。教育が修了すればそれでいいではないか、というのは誤解、これはあくまで個人が軍事機構の一員として参画する素養を身につけただけに過ぎません。
自衛隊では1四期の4から6月にかけ、小隊規模演習と演習場整備を行うと共に師団旅団競技会へ錬成訓練を射撃と格闘と銃剣道及び持続走で実施し、装備と車両は物品と会計と補給及び保全の各種検査を行います。続いて2四期の7から9月にかけ中隊や連隊若しくはその戦闘団の検閲を行い、これらを行わない年度は師団演習と各種競技会を行う。
続く3四期の10から12月にかけ中隊規模の演習か検閲を行うかより大型の部隊の戦闘団の錬成訓練を行う。4四期の1から3月に掛け射撃や陣地構築に整備といった各種戦技錬成と各種競技会を行い来年度に向けての計画策定を進める、こうした体制を基本としています、行うとしと行わないとし、と示したのですが、これは自衛官の任期が二年であるため、という訳です、それ以下は想定していません。
すると、半年の徴兵期間で無理矢理人員を集めても、それは、最低限装備を以て10km程度は徒歩で移動できて、攻撃と防御へ姿勢を換えたり、小銃を整備し機関銃を扱え、無反動砲か迫撃砲の教育を受ける事は出来ましょうが、そこまで、部隊としての訓練はほとんど出来きない、という事が分かりますが、これでは意味がないという事が分かるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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