■JDSC:包括安全保障協力宣言
我が国外洋練習航海部隊がフィリピンスービック海軍基地からヴェトナムカムラン湾基地へ入港しました。そこで、今回は進む日越日比防衛協力とJDSC、という視点から考えてみましょう。
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外洋練習航海部隊がヴェトナムのカムラン軍港へ寄港、前回がダナンでしたので今回はカムランか、と考えていたところですが、NHK始め多くのメディアが大きく報じていまして驚きました。海上自衛隊の艦船ヴェトナム入港は今回が四回目です。外洋練習航海部隊は現在実施されています近海練習航海部隊と同日に江田島を出航した部隊です。飛行幹部候補生課程を修了した3尉が乗艦していまして、海外を中心に航海します。
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近海練習航海部隊は、日本全土の港湾へ寄港し艦隊勤務の実能力について、実勤務を通じて習得し、その後世界を一周する遠洋航海へ向かいます。対して、外洋練習航海は40日間程度の航海です、こういうのも、飛行幹部の責務は航空機操縦課程を経て航空搭乗員となる事ですので、海上自衛官としての艦隊勤務素養を最初に身に着けたうえで、近海練習航海部隊が遠洋航海に向かう頃には、練習機へ向き合わなければならない、ということ。
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今年の外洋練習航海は外洋練習航海部隊に所属する潜水艦がフィリピンを訪問した際も含め、非常に国内での注目報道が為されていますね、ヴェトナムへの艦船親善訪問は、もちろんカムラン湾への寄港は旧海軍時代以来のものではあるのですけれども、2014年6月6日に輸送艦くにさき、がパシフィックパートナーシップ2014として入港しました。この際に丁度中国の海洋法執行機関がヴェトナム船に無差別衝突事案を頻発させていましたが、偶然です。
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パシフィックパートナシップの時期に入り日米の大型艦を含め航行するようになりますと、中国公船の動きが沈静化、くにさき、は大歓迎を受けました。パシフィックパートナーシップは、官民一致の防災や人道支援への多国間訓練で、我が国の参加は鳩山内閣時代に開始の友愛ボートとしての派遣から始まりました、集団的自衛権行使には否定的見解を持っていると考えられた当時の民主党政権が、各国軍との連携を含む演習への参加は意外に感じられたものですが、自民党政権復帰後も継続しています。
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ヴェトナムへの外洋練習航海部隊入港は、昨年も実施されていまして2015年4月16日に護衛艦きりさめ、あさゆき、二隻が入港しています。外洋練習航海部隊はヴェトナム第5軍区司令部及び海軍第3管区司令部を訪問しており、5月にはP-3C哨戒機もダナン海軍基地を親善訪問しています。今年、注目報道が為されるというのは、国内メディアの関心の表れなのでしょうか。
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JDSC,包括安全保障協力宣言Joint Declaration on Security Cooperation、現在我が国は2007年にオーストラリアと締結、その後インドとも締結しました。2000年代からの国際法の新しい潮流としまして、条約のような国家間協力関係とは一歩置く、国家間協定や国家間合意原則宣言等がソフトローという新しい国際関係を形成しています。JDSC,包括安全保障協力宣言は同盟条約ではありません、が、協力分野は同盟条約と重なる部分も存在する。
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ヘリコプター搭載護衛艦いせ、オーストラリアやフィリピンとヴェトナムに韓国など18か国の大尉級士官を乗艦させ航海を行う、とのこと。いせ艦内の多目的区画をそのまま利用することでシンポジウムの実施は、過去に観艦式付帯行事などで実施されてきましたが、多国間海洋安全保障シンポジウムを洋上で実施するとは時代も変わったものです。他方、加えて海上自衛隊はパラオで実施されますパシフィックパートナーシップ2016を予定しています、当初はこの関係で派遣されるものと思われましたが、実施地域の関係上、別の派遣となるようです。
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安全保障関連法制への反対議論の一つとしてアメリカの戦争に日本が巻きこまれる、という視点がありますが、フィリピンと中国の紛争に日本が巻き込まれる、という反対論や、ヴェトナムと中国との戦争に日本が巻き込まれる、という視点は無いようなのですよね、すると、日豪や日印で締結したJDSC,包括安全保障協力宣言Joint Declaration on Security Cooperationのような安全保障協力枠組み、この締結の際にも主立った反対はありませんでしたが、こうしたかたちで協力の強化、という施策は考え得るのか考えてしまいます。
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憲法上、我が国は他国との同盟条約の締結については大きく制限されています。しかし、包括安全保障協力宣言については、理念の共有と協力関係の締結であり、単純な軍事同盟とは異なる大きな定義に基づくものであると同時に、必要であれば同盟条約と同等として機能させる事が可能となっていまして、特に海軍力を近代化しこれ以上自国領土を過去の様に中国に切り取られたくないとするヴェトナムとフィリピンとの協力関係強化の施策へは、応用できるでしょう。
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JDSC,包括安全保障協力宣言、とは日豪JDSC及び日印JDSCの協力分野としまして、第一に国際犯罪との戦いに関する法執行、第二に国境保安協力、第三にテロ対策協力、第四に軍縮並びに大量破壊兵器及び運搬手段拡散対処、第五に国際平和活動、第六に戦略情報交換、第七には海上航空安全確保、第八として災害救援等人道支援活動、第九には感染症大流行等緊急事態対応計画、以上の9分野での協力が含まれています。こうした方式での協力が今後日越間や日比間でも模索される可能性は、あるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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我が国外洋練習航海部隊がフィリピンスービック海軍基地からヴェトナムカムラン湾基地へ入港しました。そこで、今回は進む日越日比防衛協力とJDSC、という視点から考えてみましょう。
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外洋練習航海部隊がヴェトナムのカムラン軍港へ寄港、前回がダナンでしたので今回はカムランか、と考えていたところですが、NHK始め多くのメディアが大きく報じていまして驚きました。海上自衛隊の艦船ヴェトナム入港は今回が四回目です。外洋練習航海部隊は現在実施されています近海練習航海部隊と同日に江田島を出航した部隊です。飛行幹部候補生課程を修了した3尉が乗艦していまして、海外を中心に航海します。
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近海練習航海部隊は、日本全土の港湾へ寄港し艦隊勤務の実能力について、実勤務を通じて習得し、その後世界を一周する遠洋航海へ向かいます。対して、外洋練習航海は40日間程度の航海です、こういうのも、飛行幹部の責務は航空機操縦課程を経て航空搭乗員となる事ですので、海上自衛官としての艦隊勤務素養を最初に身に着けたうえで、近海練習航海部隊が遠洋航海に向かう頃には、練習機へ向き合わなければならない、ということ。
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今年の外洋練習航海は外洋練習航海部隊に所属する潜水艦がフィリピンを訪問した際も含め、非常に国内での注目報道が為されていますね、ヴェトナムへの艦船親善訪問は、もちろんカムラン湾への寄港は旧海軍時代以来のものではあるのですけれども、2014年6月6日に輸送艦くにさき、がパシフィックパートナーシップ2014として入港しました。この際に丁度中国の海洋法執行機関がヴェトナム船に無差別衝突事案を頻発させていましたが、偶然です。
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パシフィックパートナシップの時期に入り日米の大型艦を含め航行するようになりますと、中国公船の動きが沈静化、くにさき、は大歓迎を受けました。パシフィックパートナーシップは、官民一致の防災や人道支援への多国間訓練で、我が国の参加は鳩山内閣時代に開始の友愛ボートとしての派遣から始まりました、集団的自衛権行使には否定的見解を持っていると考えられた当時の民主党政権が、各国軍との連携を含む演習への参加は意外に感じられたものですが、自民党政権復帰後も継続しています。
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ヴェトナムへの外洋練習航海部隊入港は、昨年も実施されていまして2015年4月16日に護衛艦きりさめ、あさゆき、二隻が入港しています。外洋練習航海部隊はヴェトナム第5軍区司令部及び海軍第3管区司令部を訪問しており、5月にはP-3C哨戒機もダナン海軍基地を親善訪問しています。今年、注目報道が為されるというのは、国内メディアの関心の表れなのでしょうか。
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JDSC,包括安全保障協力宣言Joint Declaration on Security Cooperation、現在我が国は2007年にオーストラリアと締結、その後インドとも締結しました。2000年代からの国際法の新しい潮流としまして、条約のような国家間協力関係とは一歩置く、国家間協定や国家間合意原則宣言等がソフトローという新しい国際関係を形成しています。JDSC,包括安全保障協力宣言は同盟条約ではありません、が、協力分野は同盟条約と重なる部分も存在する。
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ヘリコプター搭載護衛艦いせ、オーストラリアやフィリピンとヴェトナムに韓国など18か国の大尉級士官を乗艦させ航海を行う、とのこと。いせ艦内の多目的区画をそのまま利用することでシンポジウムの実施は、過去に観艦式付帯行事などで実施されてきましたが、多国間海洋安全保障シンポジウムを洋上で実施するとは時代も変わったものです。他方、加えて海上自衛隊はパラオで実施されますパシフィックパートナーシップ2016を予定しています、当初はこの関係で派遣されるものと思われましたが、実施地域の関係上、別の派遣となるようです。
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安全保障関連法制への反対議論の一つとしてアメリカの戦争に日本が巻きこまれる、という視点がありますが、フィリピンと中国の紛争に日本が巻き込まれる、という反対論や、ヴェトナムと中国との戦争に日本が巻き込まれる、という視点は無いようなのですよね、すると、日豪や日印で締結したJDSC,包括安全保障協力宣言Joint Declaration on Security Cooperationのような安全保障協力枠組み、この締結の際にも主立った反対はありませんでしたが、こうしたかたちで協力の強化、という施策は考え得るのか考えてしまいます。
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憲法上、我が国は他国との同盟条約の締結については大きく制限されています。しかし、包括安全保障協力宣言については、理念の共有と協力関係の締結であり、単純な軍事同盟とは異なる大きな定義に基づくものであると同時に、必要であれば同盟条約と同等として機能させる事が可能となっていまして、特に海軍力を近代化しこれ以上自国領土を過去の様に中国に切り取られたくないとするヴェトナムとフィリピンとの協力関係強化の施策へは、応用できるでしょう。
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JDSC,包括安全保障協力宣言、とは日豪JDSC及び日印JDSCの協力分野としまして、第一に国際犯罪との戦いに関する法執行、第二に国境保安協力、第三にテロ対策協力、第四に軍縮並びに大量破壊兵器及び運搬手段拡散対処、第五に国際平和活動、第六に戦略情報交換、第七には海上航空安全確保、第八として災害救援等人道支援活動、第九には感染症大流行等緊急事態対応計画、以上の9分野での協力が含まれています。こうした方式での協力が今後日越間や日比間でも模索される可能性は、あるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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