■最新“輸送防護車”初登場!
日曜日、宇都宮駐屯地創設記念行事において、最新装備輸送防護車が行事初公開となりました。

輸送防護車は豪州製ブッシュマスター耐爆車両を輸入し取得したもので、全長7.04m、全幅2.50m、全校2.65m、戦闘重量14t、300馬力のキャタピラー3126ATAACディーゼルエンジンを搭載し最高速度100km/h、燃料386lにより1000kmの路上航続距離を持つ車両です。防弾能力は7.62mm弾対応という96式装輪装甲車や軽装甲機動車と同程度かそれ以下ですが、車体底部がV字型底板構造を採用しており、その分車高は高くなりますが地雷等の損害に対し防御力を高めている点が特色です。

防衛省は輸送防護車として4輛を9億円で取得、中央即応連隊へ集中配備しています。これは、邦人10名が犠牲となった2013年1月16日のアルジェリアガスプラント襲撃事件を受け、海外の紛争地やテロ事件などで孤立した邦人が従来法では紛争地から自衛隊が展開する飛行場や港湾まで自力で脱出する事が求められたのに対し、現実的ではないとのことで直接自衛隊が救出へ展開する際、邦人を安全に輸送する防護車両として調達、96式装輪装甲車の二倍程度の取得費用となりました。

ブッシュマスターはオーストラリア軍が機動歩兵部隊用の高機動車両として1998年に開発、C-130輸送機等に搭載可能で、1000両以上が豪州陸軍へ納入されました。自衛隊へは右ハンドルの採用と車幅が道路運送車両法に適合する規模である点が評価されましたが、併せてオランダ陸軍がアフガニスタン警備用に約90両を、イギリス空軍が施設警備用とアフガニスタン派遣用に24両を、インドネシアやジャマイカでも採用されていますが、この背景となったのは、アメリカ製FMTVトラックと部品の半分以上を共用している点が挙げられるでしょう。

FMTVトラックはアメリカ陸軍が20000両以上を採用した中型基本戦術車両で、アメリカのほか、カナダやギリシャ等NATO諸国にニュージーランド、台湾にタイやUAEとサウジアラビアやシンガポール、ヨルダンにイラク等中東諸国や東南アジア諸国でも広く採用されており、アフガニスタン派遣などを契機にLTAS装甲キットが開発されています。ブッシュマスターはこのFMTVとエンジンや変速機などを共通化させるとともに完全な装甲車体と組み合わせる事で堅実な装甲車両を開発する事が出来た、ということ。

輸送防護車の第一印象は思ったよりも小型という点で、96式装輪装甲車よりも軽量ということですので、車格を比較すれば車高が高い分確かに大型ではあるのですが、米海兵隊が日本国内で公開する耐爆車両MRAPの印象と比べれば、現実的な大きさ、という印象でした。他方、これで96式装輪装甲車よりも高いのか、という不満点も拭えず、FMTVトラックと共通化する車両よりは陸上自衛隊の旧称73式大型トラック、3t半トラックと共通化させた国産車を開発した方が堅実で整備性の高いものが製造できると思いつつ、緊急として導入した車両であることを考えればいち早く装備化でき一般公開できる水準までの短期間には、驚くべきもの、と感心しました。

96式装輪装甲車よりも輸送防護車は軽量で、96式装輪装甲車は野戦用として低姿勢を重視しましたが、輸送防護車の設計は地雷への対応が重視されています。地雷への耐性を強化する場合は車高が大きくなるため、自衛隊は専守防衛の防衛戦略上、地雷を敷設し敵を迎え撃つ状況は多くとも敵の防御地雷原が重厚に完成するのを待って反撃するという悠長な選択肢は無く、車高を最小限として敵の戦車や火力戦闘部隊へ発見されない低姿勢を重視してきました。この為、海外の紛争地へ対応するべく、新規にこの輸送防護車を導入した訳です。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
日曜日、宇都宮駐屯地創設記念行事において、最新装備輸送防護車が行事初公開となりました。

輸送防護車は豪州製ブッシュマスター耐爆車両を輸入し取得したもので、全長7.04m、全幅2.50m、全校2.65m、戦闘重量14t、300馬力のキャタピラー3126ATAACディーゼルエンジンを搭載し最高速度100km/h、燃料386lにより1000kmの路上航続距離を持つ車両です。防弾能力は7.62mm弾対応という96式装輪装甲車や軽装甲機動車と同程度かそれ以下ですが、車体底部がV字型底板構造を採用しており、その分車高は高くなりますが地雷等の損害に対し防御力を高めている点が特色です。

防衛省は輸送防護車として4輛を9億円で取得、中央即応連隊へ集中配備しています。これは、邦人10名が犠牲となった2013年1月16日のアルジェリアガスプラント襲撃事件を受け、海外の紛争地やテロ事件などで孤立した邦人が従来法では紛争地から自衛隊が展開する飛行場や港湾まで自力で脱出する事が求められたのに対し、現実的ではないとのことで直接自衛隊が救出へ展開する際、邦人を安全に輸送する防護車両として調達、96式装輪装甲車の二倍程度の取得費用となりました。

ブッシュマスターはオーストラリア軍が機動歩兵部隊用の高機動車両として1998年に開発、C-130輸送機等に搭載可能で、1000両以上が豪州陸軍へ納入されました。自衛隊へは右ハンドルの採用と車幅が道路運送車両法に適合する規模である点が評価されましたが、併せてオランダ陸軍がアフガニスタン警備用に約90両を、イギリス空軍が施設警備用とアフガニスタン派遣用に24両を、インドネシアやジャマイカでも採用されていますが、この背景となったのは、アメリカ製FMTVトラックと部品の半分以上を共用している点が挙げられるでしょう。

FMTVトラックはアメリカ陸軍が20000両以上を採用した中型基本戦術車両で、アメリカのほか、カナダやギリシャ等NATO諸国にニュージーランド、台湾にタイやUAEとサウジアラビアやシンガポール、ヨルダンにイラク等中東諸国や東南アジア諸国でも広く採用されており、アフガニスタン派遣などを契機にLTAS装甲キットが開発されています。ブッシュマスターはこのFMTVとエンジンや変速機などを共通化させるとともに完全な装甲車体と組み合わせる事で堅実な装甲車両を開発する事が出来た、ということ。

輸送防護車の第一印象は思ったよりも小型という点で、96式装輪装甲車よりも軽量ということですので、車格を比較すれば車高が高い分確かに大型ではあるのですが、米海兵隊が日本国内で公開する耐爆車両MRAPの印象と比べれば、現実的な大きさ、という印象でした。他方、これで96式装輪装甲車よりも高いのか、という不満点も拭えず、FMTVトラックと共通化する車両よりは陸上自衛隊の旧称73式大型トラック、3t半トラックと共通化させた国産車を開発した方が堅実で整備性の高いものが製造できると思いつつ、緊急として導入した車両であることを考えればいち早く装備化でき一般公開できる水準までの短期間には、驚くべきもの、と感心しました。

96式装輪装甲車よりも輸送防護車は軽量で、96式装輪装甲車は野戦用として低姿勢を重視しましたが、輸送防護車の設計は地雷への対応が重視されています。地雷への耐性を強化する場合は車高が大きくなるため、自衛隊は専守防衛の防衛戦略上、地雷を敷設し敵を迎え撃つ状況は多くとも敵の防御地雷原が重厚に完成するのを待って反撃するという悠長な選択肢は無く、車高を最小限として敵の戦車や火力戦闘部隊へ発見されない低姿勢を重視してきました。この為、海外の紛争地へ対応するべく、新規にこの輸送防護車を導入した訳です。
北大路機関:はるな くらま
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