今回は最近読んだ文庫本をちょっと紹介。『天皇家の食卓』(秋場龍一著、角川ソフィア文庫/税別724円)。
最初は天皇家の食べる料理はどんなものか?という興味で読んだのですが、単純にそれの紹介だけをしている本ではありませんでした。
一の膳(第1章)ではタイトル通り、天皇家がどんなものを食べているかを紹介。
二の膳・三の膳ではでは弥生時代の稲作の輸入の意味するものや、米と日本人について解説。
四の膳・五の膳では肉食・牛乳に対する考察、
六の膳・七の膳では縄文時代から江戸時代に至るまでの日本人の食生活を解説、
八の膳・九の膳では現代の日本および世界の食事と食料問題に対しての警鐘を鳴らしています。
我々が普段常識としていることのいくつもが誤解であるということを紹介しています。例えば、
●縄文時代は必ずしも弥生時代に比べて食生活が貧しいわけではなかった。
●日本人にとって牛乳を飲むことは、必ずしも健康に良いことではない。むしろ悪影響を悪影響を与える可能性がある。 など。
また、今日の肉食の増加について、穀物をつくる広さを食料のエネルギーとして換算すると、牛を育てるには穀物の10倍の面積の土地が必要になり、あるいは牛肉1kgをつくるためには飼料7kgが必要となるなどのデータも紹介。
最終的にはマクロビオティック的な食生活が個々人にとっても地球環境にとっても良いというメッセージで、現代の食事事情と食料問題の改善を訴えるために多方面からのバックアップデータを紹介した、というところでしょうか。久しぶりに面白い読み物でした(漢字や言葉の起源に関する考察は我田引水的な部分も見られますが)。
よかったら書店で探してみてください。