大学で力学と称する講義を6単位1年半も聞いたのに、力学の何たるかがわかっていない。
アメリカから帰ってきたばかりのM先生は長身でなかなかスマートな先生で、使ったのは寺沢寛一著の「力学概論」、2年生から3年生の前半までの間だった。このテキストはマトリックスを使って書いてあり、当時としてはなかなかスマートな書き方に思えた。
もっとも講義が終わってからは一度もこのテキストを読んだことがないから、このテキストで力学を勉強したとはいえない。私がもっぱら読んだのは一年下の学年にいた妹がやはりM先生から習っていたときのテキストの原島鮮著「力学」であった。
これは大学院の入試を受けるために自分で勉強したのであるが、試験に出そうな解析力学を中心にして勉強したと思う。
それからは力学を勉強したのは2,3度力学を講義したときくらいにしかすぎない。それでも自分が力学のテキストを書くとすれば、いくつかのところは独特の書き方をしたいと思うが、テキストを書くことはないだろう。
改良したいことの一つは寺沢さんのテキストにあったようなマトリックスを使いたいということである。もっとも座標変換のところをあまり記憶力のよくないものにもできるだけ無理のないようにできたらと思っている。
そのマトリックスだが、マトリックスの微分を導入したいと思う。線形代数ではマトリックスの微分はあまり出てこない。だから、そこをまずどう教えるかだが、そこがクリアできると一気にすっと進めるのではないかと考えている。
優れた人は記憶力も相当あって、私のような記憶力の足らないものとは違ってなんでも記憶できてしまう。そこを何とかしたいと考えているが、前にもいったように力学のテキストを書くこと機会はまったくないであろう。