世の中は首相の辞任のニュースでもちきりだが、時間を長く取って考えると人類の滅亡は避けられない。これは10年や20年はたまた数百年のオーダーの話ではないが、100億年のオーダーだと確実にいえることである。
ではお前はデカダンスにならないのかといえば、ならない。それを知った上で、すなわち、すべてが長時間的に見れば無為なことを知った上で、今自分にできることをするのが人間だと思うからである。これは宗教的信念でもなんでもない。そういうものだという悟りはもうすでに若いときにもった。多分十代の終わり頃のことだろう。それ以来その信念はまったく変わらない。
H. G. ウエルズ「世界史概説」(岩波新書)には世界史は地球の歴史から始まっているので、少し自然科学的視点が入っている。そこが他の歴史書と比べて優れているところであろう。ただ、そのウエルズも太陽系の創生とかについては書いていなかったと思う。
なぜこういうことをいい出したかといえば、先日書いたmarginal stabilityのことを調べているからである。太陽系の惑星の軌道は安定であって、太陽が新星爆発するまでそのままでありそうに思える。もちろんそうかもしれないのだが、最近の研究ではそうともいえないという結果が出ているのである。しかし、その惑星の軌道安定性は100億年のオーダーであって、太陽の寿命が尽きるのとどちらが早いかはいまのところははっきりしないらしい。
もっとも人類の滅亡というシナリオについても大学の頃に友人と議論したところではそういうことも将来のことであるので、いくつかの可能性があるという。いま、大きなタンカーで原油を運んでいるように大きなロケットを製造してそこに人類の子孫の幾人かが乗り込んで地球に似た惑星を銀河の中で探すだろうというのが友人の見解であった。私はそこまで楽観的ではなかったが、その可能性はなくはないので、完全に人類の滅亡を信じているわけではない。
話は少しみみっちくなるがいつか、人類の火星移住計画について昔聞いた話を述べてみたい。