力学や統計力学等で出てくるconfiguration spaceの訳語だが、大学では「配位空間」と教わった。ところが本によっては「配置空間」と訳している本もある。位置空間と訳したいところだが、そういう訳語にはなっていない。なぜか「配」という字がついて位置のうちの一語のうち「位」か「置」がついている。
この言葉の関係から位置に関係した空間だということがわかる。configuration を辞書で引いてみると意味として輪郭とか形状とかあって、分子の配置といった訳は後の方に出てくる。
configuration spaceはphase spaceと対照して出てくる語でphase spaceの方は「位相空間」という訳語があてられている。これは座標と運動量とをあわせた空間である。それに対してconfiguration spaceは座標だけの空間である。
とはいっても粒子がたくさんあれば、それぞれの粒子に3つずつ座標が付与されるから、n個の粒子に対しては3n個の座標があることになる。一方、phase spaceでは1個の粒子に対して位置座標が3個、運動量が3個の合わせて6個の変数がつき、そのような粒子がn個あれば、6n個の変数が現れる。
実は訳語としては「配位空間」でも「配置空間」でもどちらでもいいのだが、一つの本の中ではどちらかを一貫して使う方がいいだろう。いま校正刷を読んでそういうことを思っている。
ついでといってはおかしいが、「配向」という用語もあって、これは何かと思うが、要するに向きorientationの訳語である。なぜ配がついているのかわからないが、物質の電気的な分極の向き等を表す語として使われる。どうも日本語というのはやっとその対応する英語を知ってその意味がわかるという難解な言語である。因みにこれらの語は普通の辞書には載っていない。
と書いて、いま「配位」を広辞苑で引いてみると2版には何も出ていなかったが、5版では分子の配位といった意味で載っている。辞書も進化している。しかし、当然のことながら「配向」はまだ載っていない。